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滅び行く大地
小さな冒険 3 ~積み木~
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蜂蜜入りのホットミルクを飲んで、少し落ち着いたジーンとユーリは、チイに質問攻めをした。
リーンの家族だと言うチイは、微笑みながら、質問に答えてくれる。
「リーンはココにも帰ってくるの?」
「帰ってくるわよ」
「いつ」
「そうね、この間、出掛けたばかりだから、しばらくは帰ってこれないと思うけど…」
ジーンとユーリが顔を見合せる。
「何処に行けば、リーンに会えるの?」
「…。今は、遠くにいるから、会いに行けないの…」
チイは困った顔をする。
「遠く?」
「ずっとずっと離れた場所に行ったから、簡単には行けないのよ」
「…リーンは寂しくないの?」
「一緒に行っている、仲間がいるからね…」
「仲間?」
「そう。仲間。…私の旦那さんも一緒だから、寂しくないし、頑張れるんだよ」
「…旦那さん?」
「ルナのお父さんよ。私より、あの人の方が、リーンとの付き合いは長いから、兄弟みたいなものかしら…」
「リーンの兄弟…が、お父さん…」
そう言って、ルナを見る。
ルナは、黙ってクッキーを美味しそうにサクサクと食べている。
「…う~ん、難しい…」
チイがクスクスと笑う。
「お迎えが来るまで、ルナと一緒に遊ぼうね」
「お迎え?」
ジーンとユーリが首を傾げる。
「なぜ、あの扉が開いたのか分からないけど、二人では帰れないから。ルークの仕事が終わったら、迎えに来てくれるわよ」
「…。」
お父様が迎えに来るまで、まだ時間がある。
いつも、お仕事があって、帰ってくるのは、僕たちが眠る頃…。
「何して遊ぶの?」
ユーリがそう言って、マグカップをテーブルの上に置く。
「そうね…。積み木つみ。…集中力が無いと、すぐに崩れるわよ」
そう言ってチイが微笑む。
「やりたい!!」
ユーリが叫ぶと、ジーンがユーリを突っつく。
「ユーリは集中力は無いだろ…。この間も、水の玉、すぐに割ってたし…」
「こらこら、その、集中力を付けるための遊びだから、何度、崩しても良いのよ。ひとつでも多く積み上げた方が勝ちよ」
チイはそう言って、ソファーから立ち上がり、部屋の棚から大きめの箱を取り出して、持ってくる。
そして、テーブルの上にあったクッキーの乗った皿と、マグカップをサイドテーブルに乗せると、箱の中から、いろんな形の積み木を出してきて、ガラガラとテーブルに乗せた。
「ルナは得意だものね」
そう言うと、ルナは積み木を積み上げ始めた。
「…すごい…」
あっという間に、危ういバランスのまま、積み上げられていく。
「私も…」
そう言ってユーリも積み上げ始め、遅れてジーンも積み上げ始めた。
集中、集中…。
積み上げては、崩れて、また、積み上げては崩れて…。
幾度となく繰り返している内に、少しずつ高さが高く積み上げられていく。
「ちょっとジーン!!テーブルを動かさないでよ!!」
「動かして無いよ!!ユーリこそテーブルの上に手をついて、動かすなよ!!」
「…二人とも…うるさい」
ぽそりとルナが二人に注意する。
「「…はい…」」
二人は項垂れるが、また、しばらくすると同じように言い合いし始める。
チイは小さく笑って、ソレを見守りながら、夕食の段取りを始めた。
リーンの家族だと言うチイは、微笑みながら、質問に答えてくれる。
「リーンはココにも帰ってくるの?」
「帰ってくるわよ」
「いつ」
「そうね、この間、出掛けたばかりだから、しばらくは帰ってこれないと思うけど…」
ジーンとユーリが顔を見合せる。
「何処に行けば、リーンに会えるの?」
「…。今は、遠くにいるから、会いに行けないの…」
チイは困った顔をする。
「遠く?」
「ずっとずっと離れた場所に行ったから、簡単には行けないのよ」
「…リーンは寂しくないの?」
「一緒に行っている、仲間がいるからね…」
「仲間?」
「そう。仲間。…私の旦那さんも一緒だから、寂しくないし、頑張れるんだよ」
「…旦那さん?」
「ルナのお父さんよ。私より、あの人の方が、リーンとの付き合いは長いから、兄弟みたいなものかしら…」
「リーンの兄弟…が、お父さん…」
そう言って、ルナを見る。
ルナは、黙ってクッキーを美味しそうにサクサクと食べている。
「…う~ん、難しい…」
チイがクスクスと笑う。
「お迎えが来るまで、ルナと一緒に遊ぼうね」
「お迎え?」
ジーンとユーリが首を傾げる。
「なぜ、あの扉が開いたのか分からないけど、二人では帰れないから。ルークの仕事が終わったら、迎えに来てくれるわよ」
「…。」
お父様が迎えに来るまで、まだ時間がある。
いつも、お仕事があって、帰ってくるのは、僕たちが眠る頃…。
「何して遊ぶの?」
ユーリがそう言って、マグカップをテーブルの上に置く。
「そうね…。積み木つみ。…集中力が無いと、すぐに崩れるわよ」
そう言ってチイが微笑む。
「やりたい!!」
ユーリが叫ぶと、ジーンがユーリを突っつく。
「ユーリは集中力は無いだろ…。この間も、水の玉、すぐに割ってたし…」
「こらこら、その、集中力を付けるための遊びだから、何度、崩しても良いのよ。ひとつでも多く積み上げた方が勝ちよ」
チイはそう言って、ソファーから立ち上がり、部屋の棚から大きめの箱を取り出して、持ってくる。
そして、テーブルの上にあったクッキーの乗った皿と、マグカップをサイドテーブルに乗せると、箱の中から、いろんな形の積み木を出してきて、ガラガラとテーブルに乗せた。
「ルナは得意だものね」
そう言うと、ルナは積み木を積み上げ始めた。
「…すごい…」
あっという間に、危ういバランスのまま、積み上げられていく。
「私も…」
そう言ってユーリも積み上げ始め、遅れてジーンも積み上げ始めた。
集中、集中…。
積み上げては、崩れて、また、積み上げては崩れて…。
幾度となく繰り返している内に、少しずつ高さが高く積み上げられていく。
「ちょっとジーン!!テーブルを動かさないでよ!!」
「動かして無いよ!!ユーリこそテーブルの上に手をついて、動かすなよ!!」
「…二人とも…うるさい」
ぽそりとルナが二人に注意する。
「「…はい…」」
二人は項垂れるが、また、しばらくすると同じように言い合いし始める。
チイは小さく笑って、ソレを見守りながら、夕食の段取りを始めた。
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