164 / 462
滅び行く大地
小さな冒険 1
しおりを挟む
ジーンとユーリは、なぜこんなところに居るのか分からなかった。
…知らない部屋。
…ここは、どこ…。
ベッドとテーブル、椅子が置いてあるだけの、あまりに生活感が無い、シンプルな部屋。
不意に、部屋の外から足音が聞こえてきた。
ジーンとユーリは不安になり、震えながら互いに抱き締めあった。
ジーンとユーリは、リーンが一日しか居てくれなくて、すぐに、何処かに行ってしまうこ事が寂しくて、拗ねて、クローゼットの中に隠れてしまった。
しばらく会えなかったのに、また、何処かに行ってしまう。
ずっと側にいて欲しいのに、気持ちとは反対の行動を取ってしまっていた。
「リーン。どこに行くのかな…」
「すぐ、帰ってくるかな…」
二人はクローゼットの中で身体を寄せ会い、うずくまりながら、話をしていた。
「もっと頭を撫でてもらいたかった…」
「膝の上で、本を読んでもらいたかった…」
ぐずっと鼻を鳴らし、涙目になる。
「リーン…」
「…リーン…」
二人はそう言いながら、丸まって眠ってしまった。
しばらくして、ルークがそっとクローゼットを開け、二人をベッドに寝かせる。
「…しばらく会えなくて、寂しいのはお前達だけではないぞ…」
そう言って、二人の寝顔を見ながら髪を撫でる。
…二日間、独占して充電させてもらったから、ルークは強く言えない。
「今度はもう少し、長くいてくれると良いな…」
ルークは一人、そっと呟いた。
ジーンとユーリは、この屋敷の奧にある小屋に、よく出入りしていた。
そこは、リーンが作業したり泊まったりする場所で、リーンの匂いが残っているから落ち着くのだ。
草の…葉っぱの香りがして、寝室で昼寝をするのが好きだった。
もうすぐ、王都に行く事になるから、ここにも、なかなか来れなくなってしまう。
「リーンに会いたいよ…」
ジーンがベッドの上で寝転がりながら、そう呟く。
「うん。会いたいね…」
ユーリがベッドの側の壁に寄りかかる。
あの日は結局、眠ってしまい、何処かに出掛けてしまうリーンと『行ってらっしゃい』が、出来なかった。
『行ってらっしゃい』と言って、見送れば、『ただいま』と、帰ってくるのだと、父様に教えてもらった。
そして『お帰り』と、出迎えれば、リーンは照れくさそうに笑うから、ソレが可愛いのだとノロケも一緒に聞かされた。
「父様は、寂しくないのかな…」
ジーンはベッドに顔を埋めて、思い出して涙目になる。
「どこに行けば、リーンに会えるのかな…」
ユーリがそう呟くと、背後の壁が光を放ち、壁の中に沈み始めた。
「えっ!?何!?ジーン!?」
ユーリはパニックになって、ジーンに手を伸ばす。
ジーンも慌てて身体を起こし、光の中に消えそうなユーリの腕を掴む。
「ユーリ!?」
だが、壁に吸い込まれていくユーリの身体を支えきれず、ジーンも光の中に吸い込まれていく。
「「うわあっ…!!」」
二人はぎゅっと目を閉じ、身体を強ばらせた。
そして、二人の姿が小屋から消えた。
…知らない部屋。
…ここは、どこ…。
ベッドとテーブル、椅子が置いてあるだけの、あまりに生活感が無い、シンプルな部屋。
不意に、部屋の外から足音が聞こえてきた。
ジーンとユーリは不安になり、震えながら互いに抱き締めあった。
ジーンとユーリは、リーンが一日しか居てくれなくて、すぐに、何処かに行ってしまうこ事が寂しくて、拗ねて、クローゼットの中に隠れてしまった。
しばらく会えなかったのに、また、何処かに行ってしまう。
ずっと側にいて欲しいのに、気持ちとは反対の行動を取ってしまっていた。
「リーン。どこに行くのかな…」
「すぐ、帰ってくるかな…」
二人はクローゼットの中で身体を寄せ会い、うずくまりながら、話をしていた。
「もっと頭を撫でてもらいたかった…」
「膝の上で、本を読んでもらいたかった…」
ぐずっと鼻を鳴らし、涙目になる。
「リーン…」
「…リーン…」
二人はそう言いながら、丸まって眠ってしまった。
しばらくして、ルークがそっとクローゼットを開け、二人をベッドに寝かせる。
「…しばらく会えなくて、寂しいのはお前達だけではないぞ…」
そう言って、二人の寝顔を見ながら髪を撫でる。
…二日間、独占して充電させてもらったから、ルークは強く言えない。
「今度はもう少し、長くいてくれると良いな…」
ルークは一人、そっと呟いた。
ジーンとユーリは、この屋敷の奧にある小屋に、よく出入りしていた。
そこは、リーンが作業したり泊まったりする場所で、リーンの匂いが残っているから落ち着くのだ。
草の…葉っぱの香りがして、寝室で昼寝をするのが好きだった。
もうすぐ、王都に行く事になるから、ここにも、なかなか来れなくなってしまう。
「リーンに会いたいよ…」
ジーンがベッドの上で寝転がりながら、そう呟く。
「うん。会いたいね…」
ユーリがベッドの側の壁に寄りかかる。
あの日は結局、眠ってしまい、何処かに出掛けてしまうリーンと『行ってらっしゃい』が、出来なかった。
『行ってらっしゃい』と言って、見送れば、『ただいま』と、帰ってくるのだと、父様に教えてもらった。
そして『お帰り』と、出迎えれば、リーンは照れくさそうに笑うから、ソレが可愛いのだとノロケも一緒に聞かされた。
「父様は、寂しくないのかな…」
ジーンはベッドに顔を埋めて、思い出して涙目になる。
「どこに行けば、リーンに会えるのかな…」
ユーリがそう呟くと、背後の壁が光を放ち、壁の中に沈み始めた。
「えっ!?何!?ジーン!?」
ユーリはパニックになって、ジーンに手を伸ばす。
ジーンも慌てて身体を起こし、光の中に消えそうなユーリの腕を掴む。
「ユーリ!?」
だが、壁に吸い込まれていくユーリの身体を支えきれず、ジーンも光の中に吸い込まれていく。
「「うわあっ…!!」」
二人はぎゅっと目を閉じ、身体を強ばらせた。
そして、二人の姿が小屋から消えた。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして
ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる