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滅び行く大地
小さな冒険 1
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ジーンとユーリは、なぜこんなところに居るのか分からなかった。
…知らない部屋。
…ここは、どこ…。
ベッドとテーブル、椅子が置いてあるだけの、あまりに生活感が無い、シンプルな部屋。
不意に、部屋の外から足音が聞こえてきた。
ジーンとユーリは不安になり、震えながら互いに抱き締めあった。
ジーンとユーリは、リーンが一日しか居てくれなくて、すぐに、何処かに行ってしまうこ事が寂しくて、拗ねて、クローゼットの中に隠れてしまった。
しばらく会えなかったのに、また、何処かに行ってしまう。
ずっと側にいて欲しいのに、気持ちとは反対の行動を取ってしまっていた。
「リーン。どこに行くのかな…」
「すぐ、帰ってくるかな…」
二人はクローゼットの中で身体を寄せ会い、うずくまりながら、話をしていた。
「もっと頭を撫でてもらいたかった…」
「膝の上で、本を読んでもらいたかった…」
ぐずっと鼻を鳴らし、涙目になる。
「リーン…」
「…リーン…」
二人はそう言いながら、丸まって眠ってしまった。
しばらくして、ルークがそっとクローゼットを開け、二人をベッドに寝かせる。
「…しばらく会えなくて、寂しいのはお前達だけではないぞ…」
そう言って、二人の寝顔を見ながら髪を撫でる。
…二日間、独占して充電させてもらったから、ルークは強く言えない。
「今度はもう少し、長くいてくれると良いな…」
ルークは一人、そっと呟いた。
ジーンとユーリは、この屋敷の奧にある小屋に、よく出入りしていた。
そこは、リーンが作業したり泊まったりする場所で、リーンの匂いが残っているから落ち着くのだ。
草の…葉っぱの香りがして、寝室で昼寝をするのが好きだった。
もうすぐ、王都に行く事になるから、ここにも、なかなか来れなくなってしまう。
「リーンに会いたいよ…」
ジーンがベッドの上で寝転がりながら、そう呟く。
「うん。会いたいね…」
ユーリがベッドの側の壁に寄りかかる。
あの日は結局、眠ってしまい、何処かに出掛けてしまうリーンと『行ってらっしゃい』が、出来なかった。
『行ってらっしゃい』と言って、見送れば、『ただいま』と、帰ってくるのだと、父様に教えてもらった。
そして『お帰り』と、出迎えれば、リーンは照れくさそうに笑うから、ソレが可愛いのだとノロケも一緒に聞かされた。
「父様は、寂しくないのかな…」
ジーンはベッドに顔を埋めて、思い出して涙目になる。
「どこに行けば、リーンに会えるのかな…」
ユーリがそう呟くと、背後の壁が光を放ち、壁の中に沈み始めた。
「えっ!?何!?ジーン!?」
ユーリはパニックになって、ジーンに手を伸ばす。
ジーンも慌てて身体を起こし、光の中に消えそうなユーリの腕を掴む。
「ユーリ!?」
だが、壁に吸い込まれていくユーリの身体を支えきれず、ジーンも光の中に吸い込まれていく。
「「うわあっ…!!」」
二人はぎゅっと目を閉じ、身体を強ばらせた。
そして、二人の姿が小屋から消えた。
…知らない部屋。
…ここは、どこ…。
ベッドとテーブル、椅子が置いてあるだけの、あまりに生活感が無い、シンプルな部屋。
不意に、部屋の外から足音が聞こえてきた。
ジーンとユーリは不安になり、震えながら互いに抱き締めあった。
ジーンとユーリは、リーンが一日しか居てくれなくて、すぐに、何処かに行ってしまうこ事が寂しくて、拗ねて、クローゼットの中に隠れてしまった。
しばらく会えなかったのに、また、何処かに行ってしまう。
ずっと側にいて欲しいのに、気持ちとは反対の行動を取ってしまっていた。
「リーン。どこに行くのかな…」
「すぐ、帰ってくるかな…」
二人はクローゼットの中で身体を寄せ会い、うずくまりながら、話をしていた。
「もっと頭を撫でてもらいたかった…」
「膝の上で、本を読んでもらいたかった…」
ぐずっと鼻を鳴らし、涙目になる。
「リーン…」
「…リーン…」
二人はそう言いながら、丸まって眠ってしまった。
しばらくして、ルークがそっとクローゼットを開け、二人をベッドに寝かせる。
「…しばらく会えなくて、寂しいのはお前達だけではないぞ…」
そう言って、二人の寝顔を見ながら髪を撫でる。
…二日間、独占して充電させてもらったから、ルークは強く言えない。
「今度はもう少し、長くいてくれると良いな…」
ルークは一人、そっと呟いた。
ジーンとユーリは、この屋敷の奧にある小屋に、よく出入りしていた。
そこは、リーンが作業したり泊まったりする場所で、リーンの匂いが残っているから落ち着くのだ。
草の…葉っぱの香りがして、寝室で昼寝をするのが好きだった。
もうすぐ、王都に行く事になるから、ここにも、なかなか来れなくなってしまう。
「リーンに会いたいよ…」
ジーンがベッドの上で寝転がりながら、そう呟く。
「うん。会いたいね…」
ユーリがベッドの側の壁に寄りかかる。
あの日は結局、眠ってしまい、何処かに出掛けてしまうリーンと『行ってらっしゃい』が、出来なかった。
『行ってらっしゃい』と言って、見送れば、『ただいま』と、帰ってくるのだと、父様に教えてもらった。
そして『お帰り』と、出迎えれば、リーンは照れくさそうに笑うから、ソレが可愛いのだとノロケも一緒に聞かされた。
「父様は、寂しくないのかな…」
ジーンはベッドに顔を埋めて、思い出して涙目になる。
「どこに行けば、リーンに会えるのかな…」
ユーリがそう呟くと、背後の壁が光を放ち、壁の中に沈み始めた。
「えっ!?何!?ジーン!?」
ユーリはパニックになって、ジーンに手を伸ばす。
ジーンも慌てて身体を起こし、光の中に消えそうなユーリの腕を掴む。
「ユーリ!?」
だが、壁に吸い込まれていくユーリの身体を支えきれず、ジーンも光の中に吸い込まれていく。
「「うわあっ…!!」」
二人はぎゅっと目を閉じ、身体を強ばらせた。
そして、二人の姿が小屋から消えた。
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