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滅び行く大地
ちょっと休憩
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初めての調査に出発して、気が付けば、一ヶ月が過ぎていた。
リーンとヒイロは、獣人の町、グオルクに戻ってきていた。
ずっと山の中を歩き続け、一回目の調査が終わり、久しぶりに戻って来たのだ。
ヒイロはチイとルナの顔を見て、一日のんびりと過ごすと、次の日には、処理しきれない仕事が有ると、ヒイロの補佐官に呼び出され、しぶしぶ仕事場に向かった。
リーンはグオルクの自分の部屋でのんびりと過ごし、ルナと遊び、昼寝をした。
…休暇は五日目間有る。
そして、再び、山に入る予定だ。
…最近、風霊達は沈黙している。
何事もなければ、安心なのだが…。
「…リーンは、カザンナ王国の家に帰らなくても良いの?」
のんびりとグオルクの家にいるリーンに、チイが声をかけてくる。
「…。」
「…ちゃんと顔を見せてきなさいよ。元気だって…」
…どうしようか迷っている部分がある。
帰っても、滞在出来るのは二日間くらい…。
「…心配していると思うよ」
チイは、お昼寝中のルナの寝顔を見ながら、髪の毛を撫でて言う。
「…うん」
分かってはいる。
でも、顔を見てしまったら、離れがたくなってしまう。
「…子供達の寝顔を見て、癒されてくるだけでも、違うもんだよ」
チイは、ヒイロ達としている調査がどれだけ大変なものか、よく分かっている。
今は子育ての為に、仕事から半分くらい離れているが、実際は、ヒイロのもう一人の補佐官でもあるのだ。
ヒイロがいない間、ルナを連れて仕事場に行き、側近と一緒に、たまる書類を処理していると聞いている。
「…すぐに行けるんだから、ちょこっと行って、癒されてきなさいよ」
分かってはいるのだが…。
「…。」
「…それとも、ルークにこっちに来てもらう?」
リーンはその言葉に、まじまじとチイを、見た。
…ルークに、こっちにって…。
「…いつの間に、仲良くなったの…」
気軽に名前を呼んで、そんな事を言うと言うことは、連絡を取り合っていなければ、言えないこと…。
「だって、リーンはルークに何も、報告してないでしょ。今、どんな常態で、どこにいるとか…」
チイは何気なく、そう言う。
「…もしかして、帰って来てることも、話して有る?」
リーンは恐る恐る聞いてみる。
報告をしていると言うことは、その可能性もある。
「…ヒイロが帰ってくる予定だけは、話したわよ」
…ソレって、話してあるのと同じことだ。
ヒイロと一緒に行動しているのだから…。
「…行ってくる」
行かなければ、グオルクのリーンの部屋に突撃して、やって来てしまう…。
カザナのお屋敷の小屋と、グオルクのリーンの部屋は繋がったままなのだから…。
「行ってくる。ではなくて、帰る。でしょう」
チイが、微笑んでリーンにそう言う。
…そうだ。
カザンナ王国にいる、家族のもとに帰るのだ。
「…家に…帰ってくる」
リーンはソファーから立ち上がり、自分の部屋へ戻った。
そして、壁に手を当て、光を放つ。
「カザナの小屋へ」
リーンとヒイロは、獣人の町、グオルクに戻ってきていた。
ずっと山の中を歩き続け、一回目の調査が終わり、久しぶりに戻って来たのだ。
ヒイロはチイとルナの顔を見て、一日のんびりと過ごすと、次の日には、処理しきれない仕事が有ると、ヒイロの補佐官に呼び出され、しぶしぶ仕事場に向かった。
リーンはグオルクの自分の部屋でのんびりと過ごし、ルナと遊び、昼寝をした。
…休暇は五日目間有る。
そして、再び、山に入る予定だ。
…最近、風霊達は沈黙している。
何事もなければ、安心なのだが…。
「…リーンは、カザンナ王国の家に帰らなくても良いの?」
のんびりとグオルクの家にいるリーンに、チイが声をかけてくる。
「…。」
「…ちゃんと顔を見せてきなさいよ。元気だって…」
…どうしようか迷っている部分がある。
帰っても、滞在出来るのは二日間くらい…。
「…心配していると思うよ」
チイは、お昼寝中のルナの寝顔を見ながら、髪の毛を撫でて言う。
「…うん」
分かってはいる。
でも、顔を見てしまったら、離れがたくなってしまう。
「…子供達の寝顔を見て、癒されてくるだけでも、違うもんだよ」
チイは、ヒイロ達としている調査がどれだけ大変なものか、よく分かっている。
今は子育ての為に、仕事から半分くらい離れているが、実際は、ヒイロのもう一人の補佐官でもあるのだ。
ヒイロがいない間、ルナを連れて仕事場に行き、側近と一緒に、たまる書類を処理していると聞いている。
「…すぐに行けるんだから、ちょこっと行って、癒されてきなさいよ」
分かってはいるのだが…。
「…。」
「…それとも、ルークにこっちに来てもらう?」
リーンはその言葉に、まじまじとチイを、見た。
…ルークに、こっちにって…。
「…いつの間に、仲良くなったの…」
気軽に名前を呼んで、そんな事を言うと言うことは、連絡を取り合っていなければ、言えないこと…。
「だって、リーンはルークに何も、報告してないでしょ。今、どんな常態で、どこにいるとか…」
チイは何気なく、そう言う。
「…もしかして、帰って来てることも、話して有る?」
リーンは恐る恐る聞いてみる。
報告をしていると言うことは、その可能性もある。
「…ヒイロが帰ってくる予定だけは、話したわよ」
…ソレって、話してあるのと同じことだ。
ヒイロと一緒に行動しているのだから…。
「…行ってくる」
行かなければ、グオルクのリーンの部屋に突撃して、やって来てしまう…。
カザナのお屋敷の小屋と、グオルクのリーンの部屋は繋がったままなのだから…。
「行ってくる。ではなくて、帰る。でしょう」
チイが、微笑んでリーンにそう言う。
…そうだ。
カザンナ王国にいる、家族のもとに帰るのだ。
「…家に…帰ってくる」
リーンはソファーから立ち上がり、自分の部屋へ戻った。
そして、壁に手を当て、光を放つ。
「カザナの小屋へ」
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