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滅び行く大地
それぞれの役割
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山小屋、滞在一日目。
夜明けと共に転移魔法を完了させ、行動範囲と簡単な取り決め、段取りを決めた。
まずは、アレクが上空から方位磁石を使って、湖の東西南北に魔法の掛かったポールを打ち込む。
後は上空からの地図を、紙に書き込んで行く作業。
スーサーは湖の水質と、土壌を確認。
飲み水として使えるのか、どれくらいの濃度が有るのか、土壌は、作物が育てることが出来るのか、の検査。
ダグラスは山小屋周辺の倒木や、立ち枯れた木を集めてきて山小屋の周辺に簡単な柵を作り始めた。
もし、獣が襲ってきた場合、柵が有れば音がして、反射的に気がつく。
もしくは抑止力になるからだ。
まだ、どんな生物が住んでいるのか分からないから、予防に越したことはない。
セスは山小屋とグオルクの本部を繋ぐ、移動魔法の基盤を作っていた。
本格的なのは、魔力が回復してからだ。
リーンとヒイロは小屋周辺の草花などの、植物の調査をしていた。
「ココ最近、人が入った形跡は無いよね…」
「ああ。…たが、かつて住んでいた形跡は、所々有る」
リーンも気付いていた。
山小屋を転移させた場所は、かつて家があった為、平地にある程度整備されていて、湖の水位が上がっても影響の無い、少し高台にもなっていた。
それに山小屋周辺は、草木が多い繁り、山に戻らないように古い魔法が掛けられていた。
「まだ、有るかもしれないね」
「そうだな。今日はゆっくり周辺調査だけにして、明日からココを拠点に左右に別れて湖の回りを歩こう。アレクに描いてもらった絵に、書き込んで行く形で進んでいけば、どれだけの川が流れ込んでいるのか分かるからな…」
「そうだね。一周回れば、何かあるかもしれない…」
…リーンの記憶に、何か分からないが、引っ掛かる残像が横切った。
…なんだ、今の…。
「…どうした?」
リーンは首を傾げた。
「…何でもない…」
それよりは、今日のお昼はどうするのだろう。
食料も少し送ってきてもらっているから、新鮮な野菜や冷凍された魚もあったけど…。
「…ヒイロ。もうすぐ昼だけど、どうする?簡単なサンドイッチぐらいなら、すぐ作れるけど…」
「そうだな。そろそろ日が真上だ。一旦戻るか…」
リーンとヒイロは視界に山小屋を捉えた場所までしか動いていないので、昼食の準備くらいはできる。
リーンは戻りながら、明日は、お弁当を持って移動した方が良いな…。と、思った。
昼食を食べ、再びそれぞれの作業に取りかかった。
アレクはすでに何枚も絵を描いていて、気になる場所にメモを追加で張り付けていた。
風の魔法で、長時間上空に滞在出来るのは、さすがに有翼族だ。
有翼一族の族長の末息子は、気ままで何事にもすぐ飽きる。と、噂だったが、多分それは、彼のやりたい事では無く、与えられたモノばかりだったからだろう。
今の姿を彼らの親族に見せてあげたい。
それくらい、真剣に取り組んでくれる。
アレクを連れてきて正解だったな…。
これで、明日からの調査に目標が出来る。
リーンはダグラスと、早めの夕食の準備をして、その間に、他のメンバーは交代でシャワーを浴びて、夕食後、久しぶりのベッドで眠った。
…疲れもあったのだろう。
皆、あっという間に睡魔に襲われて、眠っていた。
リーンは一人、外に出て、改めて辺りを見回した。
そして、大地に寝転がり、夜空を見上げる。
…この場所…知っている…。
…正確には、映像で見たことがある。
…『記憶の図書館』
…あの場所で見た。
…この山小屋の位置から、湖を見る角度…。
樹木は繁って、多少変わっているけれど…。
…この場所だ。
…何か意味が有るのか?
「…リーン。…眠れないのか?」
身体を起こすと、ヒイロが近付いて来ていた。
「ちょっと考え事…」
そう言って苦笑いすると、リーンは立ち上がった。
「もう、戻って眠るよ…」
リーンはヒイロと共に山小屋に戻り、ベッドに身体を横たえた。
…明日から、地道な調査が始まる。
夜明けと共に転移魔法を完了させ、行動範囲と簡単な取り決め、段取りを決めた。
まずは、アレクが上空から方位磁石を使って、湖の東西南北に魔法の掛かったポールを打ち込む。
後は上空からの地図を、紙に書き込んで行く作業。
スーサーは湖の水質と、土壌を確認。
飲み水として使えるのか、どれくらいの濃度が有るのか、土壌は、作物が育てることが出来るのか、の検査。
ダグラスは山小屋周辺の倒木や、立ち枯れた木を集めてきて山小屋の周辺に簡単な柵を作り始めた。
もし、獣が襲ってきた場合、柵が有れば音がして、反射的に気がつく。
もしくは抑止力になるからだ。
まだ、どんな生物が住んでいるのか分からないから、予防に越したことはない。
セスは山小屋とグオルクの本部を繋ぐ、移動魔法の基盤を作っていた。
本格的なのは、魔力が回復してからだ。
リーンとヒイロは小屋周辺の草花などの、植物の調査をしていた。
「ココ最近、人が入った形跡は無いよね…」
「ああ。…たが、かつて住んでいた形跡は、所々有る」
リーンも気付いていた。
山小屋を転移させた場所は、かつて家があった為、平地にある程度整備されていて、湖の水位が上がっても影響の無い、少し高台にもなっていた。
それに山小屋周辺は、草木が多い繁り、山に戻らないように古い魔法が掛けられていた。
「まだ、有るかもしれないね」
「そうだな。今日はゆっくり周辺調査だけにして、明日からココを拠点に左右に別れて湖の回りを歩こう。アレクに描いてもらった絵に、書き込んで行く形で進んでいけば、どれだけの川が流れ込んでいるのか分かるからな…」
「そうだね。一周回れば、何かあるかもしれない…」
…リーンの記憶に、何か分からないが、引っ掛かる残像が横切った。
…なんだ、今の…。
「…どうした?」
リーンは首を傾げた。
「…何でもない…」
それよりは、今日のお昼はどうするのだろう。
食料も少し送ってきてもらっているから、新鮮な野菜や冷凍された魚もあったけど…。
「…ヒイロ。もうすぐ昼だけど、どうする?簡単なサンドイッチぐらいなら、すぐ作れるけど…」
「そうだな。そろそろ日が真上だ。一旦戻るか…」
リーンとヒイロは視界に山小屋を捉えた場所までしか動いていないので、昼食の準備くらいはできる。
リーンは戻りながら、明日は、お弁当を持って移動した方が良いな…。と、思った。
昼食を食べ、再びそれぞれの作業に取りかかった。
アレクはすでに何枚も絵を描いていて、気になる場所にメモを追加で張り付けていた。
風の魔法で、長時間上空に滞在出来るのは、さすがに有翼族だ。
有翼一族の族長の末息子は、気ままで何事にもすぐ飽きる。と、噂だったが、多分それは、彼のやりたい事では無く、与えられたモノばかりだったからだろう。
今の姿を彼らの親族に見せてあげたい。
それくらい、真剣に取り組んでくれる。
アレクを連れてきて正解だったな…。
これで、明日からの調査に目標が出来る。
リーンはダグラスと、早めの夕食の準備をして、その間に、他のメンバーは交代でシャワーを浴びて、夕食後、久しぶりのベッドで眠った。
…疲れもあったのだろう。
皆、あっという間に睡魔に襲われて、眠っていた。
リーンは一人、外に出て、改めて辺りを見回した。
そして、大地に寝転がり、夜空を見上げる。
…この場所…知っている…。
…正確には、映像で見たことがある。
…『記憶の図書館』
…あの場所で見た。
…この山小屋の位置から、湖を見る角度…。
樹木は繁って、多少変わっているけれど…。
…この場所だ。
…何か意味が有るのか?
「…リーン。…眠れないのか?」
身体を起こすと、ヒイロが近付いて来ていた。
「ちょっと考え事…」
そう言って苦笑いすると、リーンは立ち上がった。
「もう、戻って眠るよ…」
リーンはヒイロと共に山小屋に戻り、ベッドに身体を横たえた。
…明日から、地道な調査が始まる。
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