神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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滅び行く大地

転移魔法

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 夜明けと共に、リーンとセス、アレク、スーサーが転移魔法を発動させた。
 ダグラスがならした平地に、魔方陣が写し出され、強い光を放つ。
 そして、いままで何もなかった場所に、突如、山小屋が出現した。
 グオルクの本部周辺に作った、山小屋だ。
 魔方陣の光が収まると、ダグラスはすぐさま、支障が無いか確認を始めた。
 山小屋の歪みや破損が無いかを確認し終えると、扉を開けて、ダグラスは小屋の中から杭とハンマーを取り出し、山小屋を固定し始めた。
 このままでは、風や地震などで、山小屋が動いてしまうからだ。
 リーンとスーサーは、山小屋と一緒に運ばれた食料や物資の確認を始め、セスとヒイロは、山小屋内に取り付けてある通信用の鏡を起動させ、本部へ転移完了の報告と、現在の状況を報告し始めた。
 アレクは、始めて大きい魔法を使い、その場に座り込んで、動けないでいた。
「…何で皆、…そんなに…普通なわけ?」
「…経験の差、だと思うよ」
 リーンは苦笑いして、アレクに手を貸してあげ、アレクはふらふらと歩いて山小屋の中に移動した。
「数日間はココで魔力回復と、この湖周辺の状況を把握するために滞在するから安心して」
「…助かった。…しばらくベッドで寝れる」
 アレクはベッドが恋しかったらしい。
 夜営や野宿をの経験があまり無い、アレクには待ちに待った山小屋のベッドなのだろう。
 多分、普段のベッドよりも固いだろうけれど…。

 一通りの作業が終えると六人は、ダイニングでテーブルを囲むように椅子に座った。
「行動するときは、必ず二人で移動すること。日没までに小屋に戻って、夕食の後、各自の報告をする事。取りあえずは、それくらいは決めておこう」
 ヒイロが皆の顔を見て、確認しあった。
「その方が良いね。日没までに帰れるくらいの距離なら、行動範囲が広がる」
「後は、だいたいの地図みたいなものでも描ければ、湖の傾向が分かるのだが」
 湖の何処に川があり、どっちの山に繋がっているかを描き込んでいけば、後で確認したり、他の作業をするにも便利だろう。
「はい!」
 さっきまでは、ぐったりとしていたアレクが手を上げる。
「僕、絵を描くの好きだから、任せてもらって良いかな。まずは上空から湖周辺を見て、川の道筋とか形とか、書き込むよ」
 自分の役割が明確になって、アレクは元気を取り戻していた。
「それは良いですね。そこに実際見てきた我々が細かく書き込んで行く」
 セスがそう言うと、スーサーが、
「同じものをもう一枚、描いてくれるかな。私は地中を探って、地下水がどの辺に流れているのか探って見ます」
「良いよ。何枚でも描く!」
 アレクは嬉しそうに、微笑んだ。
「そうだな。それを最終的に、一枚に書き込んで行くと、何か見えてくるかも知れないな…」
 ヒイロがそう言うと、アレクが待てないかのように、セスに話しかけた。
「セスさん。通信魔法で僕の家と繋いでくれる?紙とかペンとか道具が必要なんだ」
「分かりました。でも、転送用の魔法は自分で繋いで下さいね」
「やっぱり。…頑張ります」
 アレクは苦笑いして、必要なものをメモり始めた。
  
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