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蜜月
リーンの家族
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魔方陣を抜けると、本当にさっき出てきた、ヒイロとチイの家の玄関だった。
正確には、家の外の玄関の横の壁。
…何も置いていない筈だ。
他の場所には植木鉢やプランターが置かれているのに、ココだけは何も置いていなかったのだ。
家の中に入ると、夕食の美味しそうな匂いが漂ってきた。
ルークはチイに買ってきたハムの塊を渡し、来たときに座っていたソファーに座る。
ふと見ると、ヒイロの膝の上に座ったルナが、こちらをじっと見ている。
…気になるのだろう。
ソファーの前のテーブルに、チイが料理を運びだし、リーンも手伝い始めた。
…中の良い姉弟のようだ。
テーブルに並べられたのは、鳥の唐揚げ、生野菜のサラダ、野菜と肉の煮込み料理などと、さっき買ってきたハムのスライスが並べられた。
取り皿やお椀を置いたら、テーブルいっぱいになっていた。
ルナの分はワンプレートに、食べやすいように少し細かくされ、並べられていた。
チイがルナを挟んでヒイロの横に座ると、食事が始まった。
食事をしながら、リーンとの出会いの話や、人魚の湖の話、これから調査する場所の話など、会議さながらな内容だった。
こうやって、獣人達とも共通の課題を話し合うと、違う視点でモノを捉え、視野が広がる気がした。
この後、調査に出掛けてしまって話せないが、機会があればまた、話をしたいと思った。
食事を終え、チイとリーンがテーブルを片付けている間、柔らかい絨毯の上に胡座をかいて、ヒイロと座って話をしていると、ヒイロの膝の上に座っていたルナが、急に立ち上がった。
「ルナ?」
ヒイロがどうしたんだと、訪ねると、ちょこちょこと歩いて、ルークの胡座をかいた足の上に座った。
「「…。」」
思わずヒイロと目を合わせ、吹き出してしまった。
「…ルナ、そこに座りたかったのか…」
ルークがルナの頭を撫でると、ルナは手を伸ばしてきて払われてしまう。
それもまた、可愛くて、再び頭を撫でる。
今度は、じっとされるがままに、大人しくしている。
「…気に入ったみたいだな」
ヒイロが苦笑いして、こちらを見てくる。
「我が家だと、取り合いになるから、今日はルナの一人占めだな…」
「ああ、ジーンとユーリだったか…」
「そうだ。二人して膝の上に乗ってきて、押し合いしている。…それもまた、可愛いんだが」
ルークは思い出して、ほほが緩む。
「幸せそうで、何よりだ」
「…いつか、もう少し子供達が大きくなったら、ルナと会わせて仲良くなってくれると良いが…」
「そうだな。…人族の子供には、ココは魔素が強いだろうから…」
獣人の子供達は親のお腹の中にいるときから、ココの魔素を受け、慣れていくから大丈夫だが、魔素の弱い人族の地域では、耐性が出来ていないため、昏倒したり、呼吸困難になったり、眠くて起きていれなくなったり、症状は様々だ。
なので人族では、訓練して少しずつ慣らしていくのだ。
「…楽しみだな」
二人は顔を見合せ微笑んだ。
「何の話?」
リーンがルークに寄りかかるように、隣に座る。
「ああ、ジーンとユーリが大きくなったら、ルナと一緒に遊ばせたいな…って、話」
「…すぐに出来るようになるよ」
リーンはそう言って微笑んだ。
正確には、家の外の玄関の横の壁。
…何も置いていない筈だ。
他の場所には植木鉢やプランターが置かれているのに、ココだけは何も置いていなかったのだ。
家の中に入ると、夕食の美味しそうな匂いが漂ってきた。
ルークはチイに買ってきたハムの塊を渡し、来たときに座っていたソファーに座る。
ふと見ると、ヒイロの膝の上に座ったルナが、こちらをじっと見ている。
…気になるのだろう。
ソファーの前のテーブルに、チイが料理を運びだし、リーンも手伝い始めた。
…中の良い姉弟のようだ。
テーブルに並べられたのは、鳥の唐揚げ、生野菜のサラダ、野菜と肉の煮込み料理などと、さっき買ってきたハムのスライスが並べられた。
取り皿やお椀を置いたら、テーブルいっぱいになっていた。
ルナの分はワンプレートに、食べやすいように少し細かくされ、並べられていた。
チイがルナを挟んでヒイロの横に座ると、食事が始まった。
食事をしながら、リーンとの出会いの話や、人魚の湖の話、これから調査する場所の話など、会議さながらな内容だった。
こうやって、獣人達とも共通の課題を話し合うと、違う視点でモノを捉え、視野が広がる気がした。
この後、調査に出掛けてしまって話せないが、機会があればまた、話をしたいと思った。
食事を終え、チイとリーンがテーブルを片付けている間、柔らかい絨毯の上に胡座をかいて、ヒイロと座って話をしていると、ヒイロの膝の上に座っていたルナが、急に立ち上がった。
「ルナ?」
ヒイロがどうしたんだと、訪ねると、ちょこちょこと歩いて、ルークの胡座をかいた足の上に座った。
「「…。」」
思わずヒイロと目を合わせ、吹き出してしまった。
「…ルナ、そこに座りたかったのか…」
ルークがルナの頭を撫でると、ルナは手を伸ばしてきて払われてしまう。
それもまた、可愛くて、再び頭を撫でる。
今度は、じっとされるがままに、大人しくしている。
「…気に入ったみたいだな」
ヒイロが苦笑いして、こちらを見てくる。
「我が家だと、取り合いになるから、今日はルナの一人占めだな…」
「ああ、ジーンとユーリだったか…」
「そうだ。二人して膝の上に乗ってきて、押し合いしている。…それもまた、可愛いんだが」
ルークは思い出して、ほほが緩む。
「幸せそうで、何よりだ」
「…いつか、もう少し子供達が大きくなったら、ルナと会わせて仲良くなってくれると良いが…」
「そうだな。…人族の子供には、ココは魔素が強いだろうから…」
獣人の子供達は親のお腹の中にいるときから、ココの魔素を受け、慣れていくから大丈夫だが、魔素の弱い人族の地域では、耐性が出来ていないため、昏倒したり、呼吸困難になったり、眠くて起きていれなくなったり、症状は様々だ。
なので人族では、訓練して少しずつ慣らしていくのだ。
「…楽しみだな」
二人は顔を見合せ微笑んだ。
「何の話?」
リーンがルークに寄りかかるように、隣に座る。
「ああ、ジーンとユーリが大きくなったら、ルナと一緒に遊ばせたいな…って、話」
「…すぐに出来るようになるよ」
リーンはそう言って微笑んだ。
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