神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
上 下
151 / 462
蜜月

ヒイロの出入口

しおりを挟む
 ヒイロの書類分けを手伝い、約束の2時間がたち、後で迎えに来ると伝え、リーンとルークは、さっき通り過ぎた獣人の町へ向かった。
 やはり、そこにいるのが獣人と言うだけで、人族と変わらない活気が、町の市場には溢れていた。
 ただ、見たことの無い、食べ物や果物?野菜?が並んでいたり、料理が売られていた。
 食生活は多少違うのだろう。
 …そう言えば、気兼ね無く町を見て回れる。
 人族の中では、カザンナ王国の王子として、回りの目が気になるが、ココでは誰もそんな事など知らない。
 もしかして、ソレもあって、ここへ連れてきてのか…。
 リーンの気遣いに、何となく照れてしまう。
 軽食を買って食べ、お土産用に見たことの無いお菓子を買い、夕食用にハムの塊を買った。
 これならば、残ったとしても、日持ちするし、気兼ねしないで、もらってくれるだろう。
 少し日が傾き、リーンと一緒に、ヒイロの仕事場に戻った。
 少しは進んでいるだろうか…。
 扉を開けると、書類の山は減り、疲れた顔をしたヒイロが出迎えてくれた。
「今日はこれまで!!」
 リーンはそう言って、ヒイロの部屋のカギを閉める。
 なぜ内側からカギを閉める?
「…分かっているよ…」
 ヒイロは力無く返事して、イスから立ち上がり、壁に手をかざすと、魔方陣が写し出された。
「俺とチイの家へ」
 ヒイロがそう言うと、淡く光ヒイロの手が吸い込まれた。
「さて、帰るか…」
 ヒイロは当たり前のように使っているが、もしかして、家と仕事場の往復に魔方陣を使うのか…?
「…ココから家に繋がっているのか?」
 ルークは驚いてヒイロを凝視する。
「…ああ。玄関だけど…」
「…。」
 玄関って…。
 ヒイロの家の玄関だよな…。
「…やっぱ、家の玄関を出ないと、仕事との切り替えが難しくてな…」
 ヒイロは苦笑いして答えるが…。
「…誰でも使えるわけでは無いだろ?」
「ああ、限定登録されている。…ほら帰るぞ」
 そう言って、ヒイロは淡く光る魔方陣の中に消えていった。
「…。こんな気軽に使っているんだな…」
 当たり前のように、生活に使っている。
 人族では、そこまで出来る者は数少ないだろう…。
「まあね。でも、皆じゃないよ。魔力がある程度上級者でないと、使えない…」
 まあ、ソレはそうだろう。
 俺達が魔方陣を使う分の魔力は、たいした魔力ではないが、使えなかった時の事があるから良く分かる。
 気軽に使えるものではない。
 リーンが、ヒイロが手をかざしていた壁に、手をかざした。
「ヒイロとチイの家へ」
 再び淡く魔方陣が光る。
「ルーク」
 リーンが微笑んで、手を伸ばす。
 ルークは荷物を持っていない手を伸ばし、リーンの手を握り返した。
 そして、二人は魔方陣の中へ消えていった。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

迷える子羊少年と自称王様少年

ユー
BL
「その素晴らしい力オレの側にふさわしい、オレの家来になれ!」 「いや絶対嫌だから!」 的なやり取りから始まる 超能力が存在するSF(すこしふしぎ)な世界で普通になりたいと願う平凡志望の卑屈少年と 自分大好き唯我独尊王様気質の美少年との 出会いから始まるボーイミーツボーイ的な青春BL小説になってればいいなって思って書きました。 この作品は後々そういう関係になっていくのを前提として書いてはいますが、なんというかブロマンス?的な少年達の青春ものみたいなノリで読んで頂けるとありがたいです。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義

大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。 帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか? 国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

処理中です...