神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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蜜月

ヒイロの出入口

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 ヒイロの書類分けを手伝い、約束の2時間がたち、後で迎えに来ると伝え、リーンとルークは、さっき通り過ぎた獣人の町へ向かった。
 やはり、そこにいるのが獣人と言うだけで、人族と変わらない活気が、町の市場には溢れていた。
 ただ、見たことの無い、食べ物や果物?野菜?が並んでいたり、料理が売られていた。
 食生活は多少違うのだろう。
 …そう言えば、気兼ね無く町を見て回れる。
 人族の中では、カザンナ王国の王子として、回りの目が気になるが、ココでは誰もそんな事など知らない。
 もしかして、ソレもあって、ここへ連れてきてのか…。
 リーンの気遣いに、何となく照れてしまう。
 軽食を買って食べ、お土産用に見たことの無いお菓子を買い、夕食用にハムの塊を買った。
 これならば、残ったとしても、日持ちするし、気兼ねしないで、もらってくれるだろう。
 少し日が傾き、リーンと一緒に、ヒイロの仕事場に戻った。
 少しは進んでいるだろうか…。
 扉を開けると、書類の山は減り、疲れた顔をしたヒイロが出迎えてくれた。
「今日はこれまで!!」
 リーンはそう言って、ヒイロの部屋のカギを閉める。
 なぜ内側からカギを閉める?
「…分かっているよ…」
 ヒイロは力無く返事して、イスから立ち上がり、壁に手をかざすと、魔方陣が写し出された。
「俺とチイの家へ」
 ヒイロがそう言うと、淡く光ヒイロの手が吸い込まれた。
「さて、帰るか…」
 ヒイロは当たり前のように使っているが、もしかして、家と仕事場の往復に魔方陣を使うのか…?
「…ココから家に繋がっているのか?」
 ルークは驚いてヒイロを凝視する。
「…ああ。玄関だけど…」
「…。」
 玄関って…。
 ヒイロの家の玄関だよな…。
「…やっぱ、家の玄関を出ないと、仕事との切り替えが難しくてな…」
 ヒイロは苦笑いして答えるが…。
「…誰でも使えるわけでは無いだろ?」
「ああ、限定登録されている。…ほら帰るぞ」
 そう言って、ヒイロは淡く光る魔方陣の中に消えていった。
「…。こんな気軽に使っているんだな…」
 当たり前のように、生活に使っている。
 人族では、そこまで出来る者は数少ないだろう…。
「まあね。でも、皆じゃないよ。魔力がある程度上級者でないと、使えない…」
 まあ、ソレはそうだろう。
 俺達が魔方陣を使う分の魔力は、たいした魔力ではないが、使えなかった時の事があるから良く分かる。
 気軽に使えるものではない。
 リーンが、ヒイロが手をかざしていた壁に、手をかざした。
「ヒイロとチイの家へ」
 再び淡く魔方陣が光る。
「ルーク」
 リーンが微笑んで、手を伸ばす。
 ルークは荷物を持っていない手を伸ばし、リーンの手を握り返した。
 そして、二人は魔方陣の中へ消えていった。



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