神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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蜜月

リーンの部屋

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 ルークは緊張しながら、約束通り時間を作った。 
 リーンの獣人の家族に会いに行くのだ。 
 獣人の家族は、リーンがいた、森の奥の聖域に入ることの出来る一族で、目覚めたリーンの面倒を見て、家族として迎え入れてくれた獣人達なのだと聞いている。 
 時々話のなかに出てくる森の奥の聖域とは、いったいどんな場所なのだろうか。
 魔素が強くて、魔力の弱い者は近付けないと言っていた。
 だから、これから会いに行く獣人達は強い魔力を持つ者達なのだろう。
 子供達をお昼寝させ、キリトに任せ、グオルクに繋がる魔方陣の有る小屋に、リーンと共に向かった。
 寝室の横に有る、大きな壁。
 今なら、そこに魔方陣が隠れていて、少し魔力を加えれば写し出されることが分かる。
 リーンが先に魔方陣に手を添える。
「グオルクの私の部屋へ」
 そう言うと、淡く光リーンの手が吸い込まれた。
「魔力を少し加えて、こんな風に場所を指定すれば、繋がっているところへ連れていってくれる」
 そう言ってリーンは魔方陣の中へと消えていった。
 リーンが中へ入ってしまうと、何も無かったかのように、魔方陣の光も消える。
 ルークはリーンと同じように壁に触れ、魔力を加えると、再び淡く光だした。
「グオルクのリーンの部屋へ」
 そう言うと、スッと手が吸い込まれた。
 ルークが思いきって中に飛び込むと、そこは見知らぬシンプルな部屋だった。
 辺りを見回すと、ベッドとテーブル、イス、本棚が有るが、生活感の無い殺風景な部屋だった。 
 ここがリーンの部屋…。
「良かった。これで、渡れるよね。帰りは同じように、この壁に『カザナの小屋へ』で、帰れるから…」
 側にいたリーンがそう言って微笑む。
 本当にここは、獣人の町、グオルクなのだろうか…。
「リーン。帰ってきたの?」
 部屋の外から女性の声が聞こえてくる。
「チイ、つがいを連れて来たよ」
 リーンがそう言うと、部屋の扉が開いて、声の主が姿を表した。
 ひょう族だろうか…。
 頭に金茶色の耳があり、金髪のふわふわした髪を後で結んだ、優しげな女性…。
 でも確か、獣人族は女性体は少ないと聞いていてが…。
 彼女は驚いたように、目を丸くして俺をみて、そして微笑んでくれた。
「良い好みしてるじゃないの」
「初めまして。ルークと言います」
 ルークが彼女に頭を下げると、
「初めまして。チイよ。噂には聞いていたけど、魔力のつがいなってるわね」 
 チイがそう言って、リーンは頬を染めた。
「魔力のつがいとは?」
 ルークはつがいは獣人族の伴侶の事だと思っていたが、魔力のつがいとは、聞いたことがなかった。
「…『魔力の交合』をして、最高値まで上げれる相手の事だよ…。ルークの抑制されていた魔力が元に戻ったから…出きるわけで…」
「人族で言う、生涯の伴侶になる相手の事よ」
 チイが楽しそうに答える。
「私は嬉しいの、リーンが誰かの手を握った事が…」
 …いつも一人で旅をして、森を守るリーンの拠り所…。
「立ち話もなんだから、こっちへいらっしゃい。ルナももうすぐ目を覚ますわ」
 チイはそう言って、部屋を出ていった。
「ルナとは?」
「チイの子供だよ。ちょうど同じ頃、産まれたから今は三才。かわいいよ」
 そう言ってリーンは微笑む。
 獣人の子供はあまり見かけない。
 ましてや、産まれて数年だと、親元から離さないからだ。
「楽しみだな」
 ルークはリーンに連れられて、チイのいる居間に向かった。
  

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