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蜜月

報告と決断

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 楽しい誕生会が終わり、子供達が眠った後、リーンは大人達を集めて、今、森で起こっていることを説明した。
 ルークと仲間のアオ、ガーディ、カズキ、ジェス。
 獣人族のキリト、元魔女のサラ。
 信用できる彼らなら、今後の対策を考えてくれるはず…。
 リーンはそう決断し、全てを伝えた。
 ヒイロ達による調査と、各国での水量減少の現実。
 今は、『おや?』と、言う程度だが、確実に減少していくだろう。
 魔女王のソフィアと、地下に貯水槽を作る話をしたのは、何年も前の話だ。
 まさかこれ程、各地に少しづつ影響が出てくると、黙ってはいられない。
 大事になる前に、原因を調べにいくしかない。と、説明した。
 皆、頭を抱え込んで唸っていた。
「大雨が降って、土砂崩れが起こるくらいなのに、地下水の水が増えないのもそのせいか?」
「わからない。だが、可能性はある」
 水を扱うアオが、頭を抱える。
「この辺はまだ、影響はない。川沿いに、それで生計を立てている者達には、少なからず影響が出ている可能性がある」
 川魚などの水産、水を引いて使う田畑など、流れる水の恩恵をもらって、成り立っている。
「『人魚の湖』は、どうだ?」
 リーンがルークに訪ねる。
 ルークは『人魚の湖』担当だ。
 何かあれば報告が全て、ルークの元に集まる。
「何も聞いていないが、今度、変化が無いか聞いてみる」
 ルークはため息をついた。
「サラは…。あっ、言って良いのか?」
 リーンは思わず躊躇した。
 サラは元、魔女だ。 
 秘密にしておかなくては、いけないのなら、全てを話すわけにはいかない。
「大丈夫ですよ」
 そう言って、サラは微笑んだ。
「ココに呼ばれた時点で、覚悟は決めていました。…私はシラミネの元魔女です。魔女と言っても、魔力は弱く薬草学が得意なだけです。…リーン様が言いたいのは、ソフィア様との連絡の事ですよね」
 察しの良いサラはそう言って、リーンを見る。
「そう。私は直接ソフィアと連絡は取れない」
 サラは微笑んだ。
「分かりました。ソフィア様には私から伝えます」
「異変を感じたらすぐに教えて欲しいと伝えて」
「はい」
 サラが頷くと、ルークは遠慮がちに、質問してきた。
「…知り合い…なのか?」
「…魔女の森に居た幼い頃、ソフィア様に連れられた、リーン様とはお会いしているのです」
 サラは素直に答えた。
 今さら隠しても、仕方ない。
「…。」
 ルークが驚いてリーンを見てきたので、リーンは苦笑いした。
「昔の話だよ」
 それよりは、今の話しだ。
「ルークはカザンナ王国の川沿いの調査をしてみて。あと、森の様子で変わったことが無いか…。全ての森を回れないから、把握しきれていないから」
「ああ、わかった。兄上に相談して、カザンナ王国全土を調べる」
「時間は掛かるけど、同時に貯水槽の話も考えておいてもらって。必要になるかもしれない」
「ああ。」
「子供達が大きくなる頃には、原因がわかって、対策がとれていると良いけどね…」
 リーンは苦笑いした。
 そして大人達は頷いた。
「それまでに、何とかしよう」
「それを目標に、まずは調査からだな」
 大人達は団結して、今の生活を守るために、新たな調査を開始することになった。
 
 




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