142 / 462
蜜月
カザナの小屋
しおりを挟む
カザンナ王国の、カザナお屋敷の小屋の寝室には、獣人の町グオルクへの直通の魔方陣が張り付けてある。
普段は封印して、使えないようにしてあるが、魔力をほとんど使わず、簡単には移動できる。
それは、誰にも言っていない。
言ったら、ルークや子供達が、付いて来てしまいそうだから…。
移動用の魔方陣は、主要な場所に張り付けてある。
だから、魔方陣から出たとき、目の前に、ベットで眠るジーンとユーリがいるとは思わなかった。
二人はもうすぐ三歳になる。
気持ち良さそうに手足を伸ばして、ベットですやすやとお昼寝をしていた。
思わず笑みが浮かぶ。
ガチャリと音がして、寝室の扉が開いた。
「…起きた…リーン!」
扉を開けたのは、獣人のキリトだった。
産まれた時から子供達の守役をしていて、長い時間、子供達と一緒に居てくれ、私より懐いているのではないだろうか。
「しーっ」
驚くキリトに、微笑みかけた。
「…。」
リーンはキリトと寝室を出て、隣の部屋に行き、そっと扉を閉め、ソファーに座り、キリトを見上げると、キリトはため息をついて、質問してきた。
「あの魔方陣は、封じられていたのでは…」
やっぱり魔方陣には気付いていたんだ。
「そうだよ。…当分グオルクの私の部屋に、繋がったままにしておくから、何かあったら使って…」
きっと家に、チイはいるだろうから、緊急用に行き来して連絡が取れる。
「…。いつまで、ここに居れるんだ?」
「しばらくは居るよ」
子供達の誕生日と、それから少しは…。
一ヶ月後の満月まで…。
「…そして、しばらく帰れないのか?」
「…そうだね…」
察しの良いキリトには隠し事は出来ない。
きっとルークにも、分かってしまうだろう。
…今後の事が有るから、現状を話して措いた方が、安全なのかも知れない。
近いうちに、皆を集めて話をしよう。
「ヒイロ達と、ちょっと遠くに行く…。その前の、休暇だよ」
「…。」
急に寝室の扉が開いた。
「…キリ…ト…?」
寝ぼけたジーンが目を擦りながら、扉の向こうに立っていた。
「…リーン…?」
ジーンの視線がリーンの前で止まる。
「まだ、お昼寝の途中だろ。…一緒に寝ようか?」
「うん!」
ジーンは目を輝かせ、リーンを見てくる。
リーンはソファーから立ち上がり、上着を脱ぎ、ソファーに置くと寝室に向かう。
「お昼寝しよう」
リーンは微笑みながらジーンの頭を撫でて、共にベットにもぐ仕込み、ユーリを起こさないように横になった。
ジーンは嬉しそうにリーンの腕の中に潜り込む。
「さあ、目を閉じて…。起きたら一緒に、おやつを食べよう」
リーンは目を閉じたジーンの髪を撫でる。
しばらくすると、ジーンの寝息が聞こえてきて、リーンも一緒に目を閉じた。
可愛いな…。
この子達の未来の為にも、原因を突き止めなくてはいけない。
たとえ時間がかかっても…。
寂しい思いをさせてしまっても…。
大切な人達の生活を守るために…。
普段は封印して、使えないようにしてあるが、魔力をほとんど使わず、簡単には移動できる。
それは、誰にも言っていない。
言ったら、ルークや子供達が、付いて来てしまいそうだから…。
移動用の魔方陣は、主要な場所に張り付けてある。
だから、魔方陣から出たとき、目の前に、ベットで眠るジーンとユーリがいるとは思わなかった。
二人はもうすぐ三歳になる。
気持ち良さそうに手足を伸ばして、ベットですやすやとお昼寝をしていた。
思わず笑みが浮かぶ。
ガチャリと音がして、寝室の扉が開いた。
「…起きた…リーン!」
扉を開けたのは、獣人のキリトだった。
産まれた時から子供達の守役をしていて、長い時間、子供達と一緒に居てくれ、私より懐いているのではないだろうか。
「しーっ」
驚くキリトに、微笑みかけた。
「…。」
リーンはキリトと寝室を出て、隣の部屋に行き、そっと扉を閉め、ソファーに座り、キリトを見上げると、キリトはため息をついて、質問してきた。
「あの魔方陣は、封じられていたのでは…」
やっぱり魔方陣には気付いていたんだ。
「そうだよ。…当分グオルクの私の部屋に、繋がったままにしておくから、何かあったら使って…」
きっと家に、チイはいるだろうから、緊急用に行き来して連絡が取れる。
「…。いつまで、ここに居れるんだ?」
「しばらくは居るよ」
子供達の誕生日と、それから少しは…。
一ヶ月後の満月まで…。
「…そして、しばらく帰れないのか?」
「…そうだね…」
察しの良いキリトには隠し事は出来ない。
きっとルークにも、分かってしまうだろう。
…今後の事が有るから、現状を話して措いた方が、安全なのかも知れない。
近いうちに、皆を集めて話をしよう。
「ヒイロ達と、ちょっと遠くに行く…。その前の、休暇だよ」
「…。」
急に寝室の扉が開いた。
「…キリ…ト…?」
寝ぼけたジーンが目を擦りながら、扉の向こうに立っていた。
「…リーン…?」
ジーンの視線がリーンの前で止まる。
「まだ、お昼寝の途中だろ。…一緒に寝ようか?」
「うん!」
ジーンは目を輝かせ、リーンを見てくる。
リーンはソファーから立ち上がり、上着を脱ぎ、ソファーに置くと寝室に向かう。
「お昼寝しよう」
リーンは微笑みながらジーンの頭を撫でて、共にベットにもぐ仕込み、ユーリを起こさないように横になった。
ジーンは嬉しそうにリーンの腕の中に潜り込む。
「さあ、目を閉じて…。起きたら一緒に、おやつを食べよう」
リーンは目を閉じたジーンの髪を撫でる。
しばらくすると、ジーンの寝息が聞こえてきて、リーンも一緒に目を閉じた。
可愛いな…。
この子達の未来の為にも、原因を突き止めなくてはいけない。
たとえ時間がかかっても…。
寂しい思いをさせてしまっても…。
大切な人達の生活を守るために…。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして
ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる