137 / 462
カザンナ王国
帰り道
しおりを挟む
翌日の昼過ぎ。
離宮を離れ、カザナのお屋敷に向かって、馬車を走らせていた。
来たときと同じ道を戻っていく。
お休み所のカズキの実家にも寄る予定だ。
しかし、行と違って、馬車の中は静かだった。
ジーンとユーリがリーンの膝から離れないのだ。
二人して、片方づつ、リーンの太ももに跨がり、リーンにしがみついている。
最初は物入れのイスに座っていたが、落ちないように両手で抱えるのも限界があって、床に毛布を敷いて、イスに寄りかかるように座り、両手で転がらないように気を付けていた。
「なんとなく、察するのかな…」
リーンはそんな気がした。
カザナのお屋敷に戻れば、リーンも森に戻ってしまう。
幼いながらでも、感じるものが有るのかも知れない。
「…呼びに来なければ、いるよ。でも…」
さっきから側で、『風霊』がうろうろし始めている。
急ではないが、何か起こったのだろう。
「…お休み所までだね…」
リーンは二人の頭を撫でてあげる。
離れるのは寂しい。
だけど、森で助けを求めているモノ達がいる限り、私は森に戻る。
「また、来るから…。皆の言うこと聞いて、元気でいてね」
伝わっているか、分からないが、ジーンとユーリにそう囁いた。
『風霊』が、呼んでいる…。
お休み所に付く頃には、二人ともリーンに寄りかかって眠っていた。
起こさないように、そっと離し、ジェスとアオに抱っこされて馬車を降りた。
残っているのはルークと二人。
気を利かせてくれたのだろう。
「行くのか」
「うん。二人の事、よろしくね」
リーンはそう言って、靴を履き、馬車を降りようとしたら、ルークに背後に引き寄せられて、口付けられた。
「…んっ…」
こうやってルークと触れるのも、しばらくお預けだ。
「無茶するな。人手が足りなかったら俺達を呼べ」
唇が離れるとルークは真剣な眼差しでリーンを見る。
「うん。その時は連絡する」
そう言って、リーンは馬車を降りた。
外にはジェスに抱っこされたジーンと、アオに抱っこされたユーリ、そして御者席にいたガーディとカズキが待っていた。
リーンはジーンとユーリの頭を撫でると、
「この子達をお願いします」
そう言って頭を下げ、馬車から離れた。
するとリーンの回りを『風霊』達がまとわりつく。
「『風使い』」
リーンがそう呼ぶと、ふわふわとした『風使い』が姿を表す。
『虹の森、水が止まった』
リーンは青ざめ、『風使い』に案内を頼んだ。
森の水が止まると言うことは、川が流れなくなり、木々が枯れる。
その下流で住む住人の生活用水でもあり、森に住む動物や植物の生育にも関係してくる。
『虹の森』は、高い場所から水が滝のように流れ、その水飛沫が光に当り、虹を作り出すことから、そう呼ばれる森だ。
何が起こっている!
リーンは急いで『虹の森』に向かった。
離宮を離れ、カザナのお屋敷に向かって、馬車を走らせていた。
来たときと同じ道を戻っていく。
お休み所のカズキの実家にも寄る予定だ。
しかし、行と違って、馬車の中は静かだった。
ジーンとユーリがリーンの膝から離れないのだ。
二人して、片方づつ、リーンの太ももに跨がり、リーンにしがみついている。
最初は物入れのイスに座っていたが、落ちないように両手で抱えるのも限界があって、床に毛布を敷いて、イスに寄りかかるように座り、両手で転がらないように気を付けていた。
「なんとなく、察するのかな…」
リーンはそんな気がした。
カザナのお屋敷に戻れば、リーンも森に戻ってしまう。
幼いながらでも、感じるものが有るのかも知れない。
「…呼びに来なければ、いるよ。でも…」
さっきから側で、『風霊』がうろうろし始めている。
急ではないが、何か起こったのだろう。
「…お休み所までだね…」
リーンは二人の頭を撫でてあげる。
離れるのは寂しい。
だけど、森で助けを求めているモノ達がいる限り、私は森に戻る。
「また、来るから…。皆の言うこと聞いて、元気でいてね」
伝わっているか、分からないが、ジーンとユーリにそう囁いた。
『風霊』が、呼んでいる…。
お休み所に付く頃には、二人ともリーンに寄りかかって眠っていた。
起こさないように、そっと離し、ジェスとアオに抱っこされて馬車を降りた。
残っているのはルークと二人。
気を利かせてくれたのだろう。
「行くのか」
「うん。二人の事、よろしくね」
リーンはそう言って、靴を履き、馬車を降りようとしたら、ルークに背後に引き寄せられて、口付けられた。
「…んっ…」
こうやってルークと触れるのも、しばらくお預けだ。
「無茶するな。人手が足りなかったら俺達を呼べ」
唇が離れるとルークは真剣な眼差しでリーンを見る。
「うん。その時は連絡する」
そう言って、リーンは馬車を降りた。
外にはジェスに抱っこされたジーンと、アオに抱っこされたユーリ、そして御者席にいたガーディとカズキが待っていた。
リーンはジーンとユーリの頭を撫でると、
「この子達をお願いします」
そう言って頭を下げ、馬車から離れた。
するとリーンの回りを『風霊』達がまとわりつく。
「『風使い』」
リーンがそう呼ぶと、ふわふわとした『風使い』が姿を表す。
『虹の森、水が止まった』
リーンは青ざめ、『風使い』に案内を頼んだ。
森の水が止まると言うことは、川が流れなくなり、木々が枯れる。
その下流で住む住人の生活用水でもあり、森に住む動物や植物の生育にも関係してくる。
『虹の森』は、高い場所から水が滝のように流れ、その水飛沫が光に当り、虹を作り出すことから、そう呼ばれる森だ。
何が起こっている!
リーンは急いで『虹の森』に向かった。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…


【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして
ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる