神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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カザンナ王国

帰り道

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 翌日の昼過ぎ。
 離宮を離れ、カザナのお屋敷に向かって、馬車を走らせていた。
 来たときと同じ道を戻っていく。
 お休み所のカズキの実家にも寄る予定だ。
 しかし、いきと違って、馬車の中は静かだった。
 ジーンとユーリがリーンの膝から離れないのだ。
 二人して、片方づつ、リーンの太ももに跨がり、リーンにしがみついている。
 最初は物入れのイスに座っていたが、落ちないように両手で抱えるのも限界があって、床に毛布を敷いて、イスに寄りかかるように座り、両手で転がらないように気を付けていた。
「なんとなく、察するのかな…」
 リーンはそんな気がした。
 カザナのお屋敷に戻れば、リーンも森に戻ってしまう。
 幼いながらでも、感じるものが有るのかも知れない。
「…呼びに来なければ、いるよ。でも…」
 さっきから側で、『風霊』がうろうろし始めている。
 急ではないが、何か起こったのだろう。
「…お休み所までだね…」
 リーンは二人の頭を撫でてあげる。
 離れるのは寂しい。
 だけど、森で助けを求めているモノ達がいる限り、私は森に戻る。
「また、来るから…。皆の言うこと聞いて、元気でいてね」
 伝わっているか、分からないが、ジーンとユーリにそう囁いた。

『風霊』が、呼んでいる…。


 お休み所に付く頃には、二人ともリーンに寄りかかって眠っていた。
 起こさないように、そっと離し、ジェスとアオに抱っこされて馬車を降りた。
 残っているのはルークと二人。
 気を利かせてくれたのだろう。
「行くのか」
「うん。二人の事、よろしくね」
 リーンはそう言って、靴を履き、馬車を降りようとしたら、ルークに背後に引き寄せられて、口付けられた。
「…んっ…」
 こうやってルークと触れるのも、しばらくお預けだ。
「無茶するな。人手が足りなかったら俺達を呼べ」
 唇が離れるとルークは真剣な眼差しでリーンを見る。
「うん。その時は連絡する」
 そう言って、リーンは馬車を降りた。
 外にはジェスに抱っこされたジーンと、アオに抱っこされたユーリ、そして御者席にいたガーディとカズキが待っていた。
 リーンはジーンとユーリの頭を撫でると、
「この子達をお願いします」
 そう言って頭を下げ、馬車から離れた。
 するとリーンの回りを『風霊』達がまとわりつく。
「『風使い』」
 リーンがそう呼ぶと、ふわふわとした『風使い』が姿を表す。
『虹の森、水が止まった』 
 リーンは青ざめ、『風使い』に案内を頼んだ。
 森の水が止まると言うことは、川が流れなくなり、木々が枯れる。
 その下流で住む住人の生活用水でもあり、森に住む動物や植物の生育にも関係してくる。
 『虹の森』は、高い場所から水が滝のように流れ、その水飛沫が光に当り、虹を作り出すことから、そう呼ばれる森だ。
 何が起こっている!
 リーンは急いで『虹の森』に向かった。



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