136 / 462
カザンナ王国
夜の街
しおりを挟む
ルークの父や兄達は仕事が有ると、城内の者が呼びに来て、中庭を順番に出ていった。
ローレンスの妃は、そんな私達を、お茶に誘ってくれた。
ジーンとユーリはロバートに遊んでもらえて、楽しかったのか、お昼寝どころではなくなっていた。
部屋の一角を借りて、リーンが二人のおしめを変え、また、ロバートと一緒に遊び始めたのだ。
「帰るときは、アオが呼びに来るから、それまで、好きに遊ばせておこう」
「いいのか?」
リーンはルークに訪ねた。
「良いんですよ。ロバートも毎日、勉強ばかりで…」
サラがそう言って苦笑いする。
「こんなに興奮して、笑い声を上げるのは久しぶりではないかしら…」
そんな風に三人を見守りながら、ルークとリーンの出会いの話をさせられ、リーンは赤面しながら、王城での短い時間を過ごしていた。
アオが迎えにきて、子供達は名残惜しそうに、グズリ始めた。
お昼寝をしていないから、眠くなったのもあるだろう。
ロバートも寂しそうに二人を見る。
「また、連れてくるから、そしたら遊んであげてくれ」
ルークはそう言って、ロバートの頭を撫でた。
「はい。」
リーンがユーリを抱いて、アオがジーンを抱いて、なだめながら馬車に向かっていると、寝息をたてて眠ってしまった。
「眠たかったんだな…」
「楽しかったんだよ」
リーンはユーリの寝顔を覗き込みながら微笑んでいた。
王城から離宮に戻ってきたのは、夕方だった。
少し早めの夕食を食べ、子供達は眠ったばかりなので、起きたら食べれるように準備してもらい、街に出掛けた。
子供達は、ガーディとカズキが見ていてくれるそうだ。
王都を歩くのは初めだ。
ルークと一緒に、護衛にジェスとアオの四人で、明かりが灯った賑やかな街を歩いた。
「この辺は、夜の市場です。夕食を食べて来てしまいましたが、気になるものが有れば、食して見ませんか」
ジェスが道案内をしながら、市場の中を歩く。
肉や野菜を串にさして焼いている店や、大きな鍋にいろんな野菜が煮込まれた汁物の店、薄い生地に果物やクリームを包んだ食べ物、衣を付けた揚げ物、変わった色の飲み物、見たことの無いものばかりで、目移りしてしまって、何を選べば良いのか分からなくなってしまう。
「…どれが食べてみたいか、分からない」
リーンがそう言うと、ジェスが空いた席を見つけ、聞いてきた。
「甘いもの、食べれますか?」
「食べれるよ」
「ここで待っていてください。」
ジェスはそのまま、人混みに紛れていった。
ルークとアオと、イスに座って辺りを眺めた。
「すごい人だね。夜なのに、こんなに店が出ているなんて思わなかった」
「この辺の地域は、夕食をここで食べる方が多いそうですよ」
アオが解説してくれる。
同じ王都でも、地域によって、食生活も多少違うみたいだ。
人混みに流されるのは、大変だけど、こうやって眺めて観察するのも悪くない。
そんな事を思っていると、ジェスが色々と買い込んできた。
「リーンには甘いもの」
そう言って、さっき見た、薄い生地に果物やクリームを包んだ食べ物を差し出された。
「何の果物が入っているか楽しみながら食べてください」
「ありがとう」
リーンは角のほうから一口かじると、甘酸っぱいイチゴとクリームの味がする。
二口目には、酸味のあるベリーが入っていた。
これは楽しいかも…。
リーンは少しづつ食べ始めた。
「あとは、焼き鳥と唐揚げと、飲み物」
そう言って、ジェスはテーブルの上に、それぞれの店の袋を開けて、並べた。
「たくさん買ってきたな…」
「オマケしてくれたんです」
そう言ってジェスは微笑む。
「オマケしてもらったとしても、この量は結構あるぞ」
「気にしないでください」
そう言って、ジェスは唐揚げに手を伸ばす。
そして、隣に座るアオに、こっちにも聞こえるように、耳打ちする。
「さっき、見て回ったとき、ルーク様と、リーンに見とれていた店に行ってきたんだ」
「…。」
その為に、めぼしい店の前を連れて回ったんだな…。
用意周到というか…。
ジェスでないと、出来ない事だな…。
「後で、『美味しかったよ』って、微笑んであげてくださいね」
「…。」
まあ、実際に美味しいのだが…。
夜の市場で四人は楽しく時間を過ごした。
王都にまで来ると、村とは違って、これだけ生活圏が違うのかと、思うばかりだった。
離宮に戻り、子供達の様子を見に行くと、食事をして、お風呂に入って、また、眠ったそうだ。
ガーディとカズキがいてくれて助かる。
リーンは、つくずくそう思った。
ローレンスの妃は、そんな私達を、お茶に誘ってくれた。
ジーンとユーリはロバートに遊んでもらえて、楽しかったのか、お昼寝どころではなくなっていた。
部屋の一角を借りて、リーンが二人のおしめを変え、また、ロバートと一緒に遊び始めたのだ。
「帰るときは、アオが呼びに来るから、それまで、好きに遊ばせておこう」
「いいのか?」
リーンはルークに訪ねた。
「良いんですよ。ロバートも毎日、勉強ばかりで…」
サラがそう言って苦笑いする。
「こんなに興奮して、笑い声を上げるのは久しぶりではないかしら…」
そんな風に三人を見守りながら、ルークとリーンの出会いの話をさせられ、リーンは赤面しながら、王城での短い時間を過ごしていた。
アオが迎えにきて、子供達は名残惜しそうに、グズリ始めた。
お昼寝をしていないから、眠くなったのもあるだろう。
ロバートも寂しそうに二人を見る。
「また、連れてくるから、そしたら遊んであげてくれ」
ルークはそう言って、ロバートの頭を撫でた。
「はい。」
リーンがユーリを抱いて、アオがジーンを抱いて、なだめながら馬車に向かっていると、寝息をたてて眠ってしまった。
「眠たかったんだな…」
「楽しかったんだよ」
リーンはユーリの寝顔を覗き込みながら微笑んでいた。
王城から離宮に戻ってきたのは、夕方だった。
少し早めの夕食を食べ、子供達は眠ったばかりなので、起きたら食べれるように準備してもらい、街に出掛けた。
子供達は、ガーディとカズキが見ていてくれるそうだ。
王都を歩くのは初めだ。
ルークと一緒に、護衛にジェスとアオの四人で、明かりが灯った賑やかな街を歩いた。
「この辺は、夜の市場です。夕食を食べて来てしまいましたが、気になるものが有れば、食して見ませんか」
ジェスが道案内をしながら、市場の中を歩く。
肉や野菜を串にさして焼いている店や、大きな鍋にいろんな野菜が煮込まれた汁物の店、薄い生地に果物やクリームを包んだ食べ物、衣を付けた揚げ物、変わった色の飲み物、見たことの無いものばかりで、目移りしてしまって、何を選べば良いのか分からなくなってしまう。
「…どれが食べてみたいか、分からない」
リーンがそう言うと、ジェスが空いた席を見つけ、聞いてきた。
「甘いもの、食べれますか?」
「食べれるよ」
「ここで待っていてください。」
ジェスはそのまま、人混みに紛れていった。
ルークとアオと、イスに座って辺りを眺めた。
「すごい人だね。夜なのに、こんなに店が出ているなんて思わなかった」
「この辺の地域は、夕食をここで食べる方が多いそうですよ」
アオが解説してくれる。
同じ王都でも、地域によって、食生活も多少違うみたいだ。
人混みに流されるのは、大変だけど、こうやって眺めて観察するのも悪くない。
そんな事を思っていると、ジェスが色々と買い込んできた。
「リーンには甘いもの」
そう言って、さっき見た、薄い生地に果物やクリームを包んだ食べ物を差し出された。
「何の果物が入っているか楽しみながら食べてください」
「ありがとう」
リーンは角のほうから一口かじると、甘酸っぱいイチゴとクリームの味がする。
二口目には、酸味のあるベリーが入っていた。
これは楽しいかも…。
リーンは少しづつ食べ始めた。
「あとは、焼き鳥と唐揚げと、飲み物」
そう言って、ジェスはテーブルの上に、それぞれの店の袋を開けて、並べた。
「たくさん買ってきたな…」
「オマケしてくれたんです」
そう言ってジェスは微笑む。
「オマケしてもらったとしても、この量は結構あるぞ」
「気にしないでください」
そう言って、ジェスは唐揚げに手を伸ばす。
そして、隣に座るアオに、こっちにも聞こえるように、耳打ちする。
「さっき、見て回ったとき、ルーク様と、リーンに見とれていた店に行ってきたんだ」
「…。」
その為に、めぼしい店の前を連れて回ったんだな…。
用意周到というか…。
ジェスでないと、出来ない事だな…。
「後で、『美味しかったよ』って、微笑んであげてくださいね」
「…。」
まあ、実際に美味しいのだが…。
夜の市場で四人は楽しく時間を過ごした。
王都にまで来ると、村とは違って、これだけ生活圏が違うのかと、思うばかりだった。
離宮に戻り、子供達の様子を見に行くと、食事をして、お風呂に入って、また、眠ったそうだ。
ガーディとカズキがいてくれて助かる。
リーンは、つくずくそう思った。
0
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる