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カザンナ王国
夜の街
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ルークの父や兄達は仕事が有ると、城内の者が呼びに来て、中庭を順番に出ていった。
ローレンスの妃は、そんな私達を、お茶に誘ってくれた。
ジーンとユーリはロバートに遊んでもらえて、楽しかったのか、お昼寝どころではなくなっていた。
部屋の一角を借りて、リーンが二人のおしめを変え、また、ロバートと一緒に遊び始めたのだ。
「帰るときは、アオが呼びに来るから、それまで、好きに遊ばせておこう」
「いいのか?」
リーンはルークに訪ねた。
「良いんですよ。ロバートも毎日、勉強ばかりで…」
サラがそう言って苦笑いする。
「こんなに興奮して、笑い声を上げるのは久しぶりではないかしら…」
そんな風に三人を見守りながら、ルークとリーンの出会いの話をさせられ、リーンは赤面しながら、王城での短い時間を過ごしていた。
アオが迎えにきて、子供達は名残惜しそうに、グズリ始めた。
お昼寝をしていないから、眠くなったのもあるだろう。
ロバートも寂しそうに二人を見る。
「また、連れてくるから、そしたら遊んであげてくれ」
ルークはそう言って、ロバートの頭を撫でた。
「はい。」
リーンがユーリを抱いて、アオがジーンを抱いて、なだめながら馬車に向かっていると、寝息をたてて眠ってしまった。
「眠たかったんだな…」
「楽しかったんだよ」
リーンはユーリの寝顔を覗き込みながら微笑んでいた。
王城から離宮に戻ってきたのは、夕方だった。
少し早めの夕食を食べ、子供達は眠ったばかりなので、起きたら食べれるように準備してもらい、街に出掛けた。
子供達は、ガーディとカズキが見ていてくれるそうだ。
王都を歩くのは初めだ。
ルークと一緒に、護衛にジェスとアオの四人で、明かりが灯った賑やかな街を歩いた。
「この辺は、夜の市場です。夕食を食べて来てしまいましたが、気になるものが有れば、食して見ませんか」
ジェスが道案内をしながら、市場の中を歩く。
肉や野菜を串にさして焼いている店や、大きな鍋にいろんな野菜が煮込まれた汁物の店、薄い生地に果物やクリームを包んだ食べ物、衣を付けた揚げ物、変わった色の飲み物、見たことの無いものばかりで、目移りしてしまって、何を選べば良いのか分からなくなってしまう。
「…どれが食べてみたいか、分からない」
リーンがそう言うと、ジェスが空いた席を見つけ、聞いてきた。
「甘いもの、食べれますか?」
「食べれるよ」
「ここで待っていてください。」
ジェスはそのまま、人混みに紛れていった。
ルークとアオと、イスに座って辺りを眺めた。
「すごい人だね。夜なのに、こんなに店が出ているなんて思わなかった」
「この辺の地域は、夕食をここで食べる方が多いそうですよ」
アオが解説してくれる。
同じ王都でも、地域によって、食生活も多少違うみたいだ。
人混みに流されるのは、大変だけど、こうやって眺めて観察するのも悪くない。
そんな事を思っていると、ジェスが色々と買い込んできた。
「リーンには甘いもの」
そう言って、さっき見た、薄い生地に果物やクリームを包んだ食べ物を差し出された。
「何の果物が入っているか楽しみながら食べてください」
「ありがとう」
リーンは角のほうから一口かじると、甘酸っぱいイチゴとクリームの味がする。
二口目には、酸味のあるベリーが入っていた。
これは楽しいかも…。
リーンは少しづつ食べ始めた。
「あとは、焼き鳥と唐揚げと、飲み物」
そう言って、ジェスはテーブルの上に、それぞれの店の袋を開けて、並べた。
「たくさん買ってきたな…」
「オマケしてくれたんです」
そう言ってジェスは微笑む。
「オマケしてもらったとしても、この量は結構あるぞ」
「気にしないでください」
そう言って、ジェスは唐揚げに手を伸ばす。
そして、隣に座るアオに、こっちにも聞こえるように、耳打ちする。
「さっき、見て回ったとき、ルーク様と、リーンに見とれていた店に行ってきたんだ」
「…。」
その為に、めぼしい店の前を連れて回ったんだな…。
用意周到というか…。
ジェスでないと、出来ない事だな…。
「後で、『美味しかったよ』って、微笑んであげてくださいね」
「…。」
まあ、実際に美味しいのだが…。
夜の市場で四人は楽しく時間を過ごした。
王都にまで来ると、村とは違って、これだけ生活圏が違うのかと、思うばかりだった。
離宮に戻り、子供達の様子を見に行くと、食事をして、お風呂に入って、また、眠ったそうだ。
ガーディとカズキがいてくれて助かる。
リーンは、つくずくそう思った。
ローレンスの妃は、そんな私達を、お茶に誘ってくれた。
ジーンとユーリはロバートに遊んでもらえて、楽しかったのか、お昼寝どころではなくなっていた。
部屋の一角を借りて、リーンが二人のおしめを変え、また、ロバートと一緒に遊び始めたのだ。
「帰るときは、アオが呼びに来るから、それまで、好きに遊ばせておこう」
「いいのか?」
リーンはルークに訪ねた。
「良いんですよ。ロバートも毎日、勉強ばかりで…」
サラがそう言って苦笑いする。
「こんなに興奮して、笑い声を上げるのは久しぶりではないかしら…」
そんな風に三人を見守りながら、ルークとリーンの出会いの話をさせられ、リーンは赤面しながら、王城での短い時間を過ごしていた。
アオが迎えにきて、子供達は名残惜しそうに、グズリ始めた。
お昼寝をしていないから、眠くなったのもあるだろう。
ロバートも寂しそうに二人を見る。
「また、連れてくるから、そしたら遊んであげてくれ」
ルークはそう言って、ロバートの頭を撫でた。
「はい。」
リーンがユーリを抱いて、アオがジーンを抱いて、なだめながら馬車に向かっていると、寝息をたてて眠ってしまった。
「眠たかったんだな…」
「楽しかったんだよ」
リーンはユーリの寝顔を覗き込みながら微笑んでいた。
王城から離宮に戻ってきたのは、夕方だった。
少し早めの夕食を食べ、子供達は眠ったばかりなので、起きたら食べれるように準備してもらい、街に出掛けた。
子供達は、ガーディとカズキが見ていてくれるそうだ。
王都を歩くのは初めだ。
ルークと一緒に、護衛にジェスとアオの四人で、明かりが灯った賑やかな街を歩いた。
「この辺は、夜の市場です。夕食を食べて来てしまいましたが、気になるものが有れば、食して見ませんか」
ジェスが道案内をしながら、市場の中を歩く。
肉や野菜を串にさして焼いている店や、大きな鍋にいろんな野菜が煮込まれた汁物の店、薄い生地に果物やクリームを包んだ食べ物、衣を付けた揚げ物、変わった色の飲み物、見たことの無いものばかりで、目移りしてしまって、何を選べば良いのか分からなくなってしまう。
「…どれが食べてみたいか、分からない」
リーンがそう言うと、ジェスが空いた席を見つけ、聞いてきた。
「甘いもの、食べれますか?」
「食べれるよ」
「ここで待っていてください。」
ジェスはそのまま、人混みに紛れていった。
ルークとアオと、イスに座って辺りを眺めた。
「すごい人だね。夜なのに、こんなに店が出ているなんて思わなかった」
「この辺の地域は、夕食をここで食べる方が多いそうですよ」
アオが解説してくれる。
同じ王都でも、地域によって、食生活も多少違うみたいだ。
人混みに流されるのは、大変だけど、こうやって眺めて観察するのも悪くない。
そんな事を思っていると、ジェスが色々と買い込んできた。
「リーンには甘いもの」
そう言って、さっき見た、薄い生地に果物やクリームを包んだ食べ物を差し出された。
「何の果物が入っているか楽しみながら食べてください」
「ありがとう」
リーンは角のほうから一口かじると、甘酸っぱいイチゴとクリームの味がする。
二口目には、酸味のあるベリーが入っていた。
これは楽しいかも…。
リーンは少しづつ食べ始めた。
「あとは、焼き鳥と唐揚げと、飲み物」
そう言って、ジェスはテーブルの上に、それぞれの店の袋を開けて、並べた。
「たくさん買ってきたな…」
「オマケしてくれたんです」
そう言ってジェスは微笑む。
「オマケしてもらったとしても、この量は結構あるぞ」
「気にしないでください」
そう言って、ジェスは唐揚げに手を伸ばす。
そして、隣に座るアオに、こっちにも聞こえるように、耳打ちする。
「さっき、見て回ったとき、ルーク様と、リーンに見とれていた店に行ってきたんだ」
「…。」
その為に、めぼしい店の前を連れて回ったんだな…。
用意周到というか…。
ジェスでないと、出来ない事だな…。
「後で、『美味しかったよ』って、微笑んであげてくださいね」
「…。」
まあ、実際に美味しいのだが…。
夜の市場で四人は楽しく時間を過ごした。
王都にまで来ると、村とは違って、これだけ生活圏が違うのかと、思うばかりだった。
離宮に戻り、子供達の様子を見に行くと、食事をして、お風呂に入って、また、眠ったそうだ。
ガーディとカズキがいてくれて助かる。
リーンは、つくずくそう思った。
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