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ギザ王国
毒矢
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月日は流れ、リーンが子供を産んでから一年が経とうとしていた。
ルークは『人魚の湖』の管理を任され、視察に赴き、屋敷ですくすくと育つジーンとユーリと遊んで、日々を過ごしていた。
その間に、リーンの姿を見たのは数回。
それ以上に来ているのだが、視察や王城に出掛けていて、会えない事の方が多かった。
今回も、国境付近の、ギザ王国との小競り合いの仲裁をするめ、屋敷を離れていた。
ギザ王国は、近年、内乱があり、未だに現王国と、旧王国の小競り合いのが絶えない。
そのとばっちりが、カザンナ王国に向くことがあった。
その一つが『人魚の湖』の問題だった。
水中都市の管轄であったのが、カザンナ王国の管轄に変わったからだ。
それまで、彼らに重労働を押し付けていた、ギザ王国の者逹に、集落の者逹が態度を翻したからだ。
誰だって、親身になって助けてくれれば、心を動かしてくれるし、重労働を押し付けてきた国を敬遠するに決まっている。
それに、水中都市の承認と、森の管理者であるリーンが保証してくれるとなれば、カザンナ王国に傾くのは当然だ。
それの腹いせか、ギザ王国の方からの…正確に言えば、旧ギザ王国派からの侵略が止まらなかった。
いい加減にして欲しい。
新ギザ王国の王は友好的で、『人魚の湖』の事も承諾済みだ。
だが、旧ギザ王国派の残党が、不穏な動きを見せ、ちょっかいを掛けてくる。
自分達が守るべき国民を蔑ろに、してきた罪は自分逹に返ってくるのだと理解して欲しい。
もうすぐ、子供達の誕生日だから、リーンが帰ってくる。
それまでには屋敷に帰りたい。
「つっ!」
早く帰りたいなどと、考え事をしていたからだろうか。
左肩に矢が刺さった。
旧ギザ王国派の残党が放った矢が届いたのだ。
少しだけ魔法が使えるようになり、防御を魔法で繰り出していたのだが、物理的矢が、すり抜けて来たのだ。
警戒心が緩んでいる証拠だ。
ルークは仲間逹と仕掛けた罠に誘い出し、何とか捕縛することができた。
後は、こいつらをギザ王国に渡して…。
そう思っていたら、目眩が襲ってきた。
緊張感が取れてか、痛みが増してきて、膝を付いた。
「ルーク様!?」
一緒にいたアオが駆け寄る。
「なんか、ヤバそうだ…冷や汗が…止まらない…」
「まさか毒!?」
アオはルークの服を緩めて、矢が刺さっていた場所を空気にさらす。
「つっ!!」
「…どうした」
アオが青い顔をして、ルークを見る。
「…毒です。肩の傷口が変色しています」
「ルーク様!?」
ガーディが駆け寄ってくる。
「ガーディ。天幕をここ立てろ!急げ!救護班を呼べ!」
ガーディは頷くと慌てて立ち去った。
「ルーク様。しばらく冷やします。毒の回りは遅いみたいですが、意識を保ってくださいね」
「ああ。」
ルークの顔色は悪くなり、汗が吹き出て止まらない。
「…寒い…」
ルークの回りに急速に天幕が立てられ、簡易ベットにルークが寝かせられ、駆けつけた救護班には解毒薬が分からなかった。
身体が弱ってくると、心も弱るもので…。
なあ、リーン。
こんなところで、俺はお前に会えず、死ぬのか?
ルークは『人魚の湖』の管理を任され、視察に赴き、屋敷ですくすくと育つジーンとユーリと遊んで、日々を過ごしていた。
その間に、リーンの姿を見たのは数回。
それ以上に来ているのだが、視察や王城に出掛けていて、会えない事の方が多かった。
今回も、国境付近の、ギザ王国との小競り合いの仲裁をするめ、屋敷を離れていた。
ギザ王国は、近年、内乱があり、未だに現王国と、旧王国の小競り合いのが絶えない。
そのとばっちりが、カザンナ王国に向くことがあった。
その一つが『人魚の湖』の問題だった。
水中都市の管轄であったのが、カザンナ王国の管轄に変わったからだ。
それまで、彼らに重労働を押し付けていた、ギザ王国の者逹に、集落の者逹が態度を翻したからだ。
誰だって、親身になって助けてくれれば、心を動かしてくれるし、重労働を押し付けてきた国を敬遠するに決まっている。
それに、水中都市の承認と、森の管理者であるリーンが保証してくれるとなれば、カザンナ王国に傾くのは当然だ。
それの腹いせか、ギザ王国の方からの…正確に言えば、旧ギザ王国派からの侵略が止まらなかった。
いい加減にして欲しい。
新ギザ王国の王は友好的で、『人魚の湖』の事も承諾済みだ。
だが、旧ギザ王国派の残党が、不穏な動きを見せ、ちょっかいを掛けてくる。
自分達が守るべき国民を蔑ろに、してきた罪は自分逹に返ってくるのだと理解して欲しい。
もうすぐ、子供達の誕生日だから、リーンが帰ってくる。
それまでには屋敷に帰りたい。
「つっ!」
早く帰りたいなどと、考え事をしていたからだろうか。
左肩に矢が刺さった。
旧ギザ王国派の残党が放った矢が届いたのだ。
少しだけ魔法が使えるようになり、防御を魔法で繰り出していたのだが、物理的矢が、すり抜けて来たのだ。
警戒心が緩んでいる証拠だ。
ルークは仲間逹と仕掛けた罠に誘い出し、何とか捕縛することができた。
後は、こいつらをギザ王国に渡して…。
そう思っていたら、目眩が襲ってきた。
緊張感が取れてか、痛みが増してきて、膝を付いた。
「ルーク様!?」
一緒にいたアオが駆け寄る。
「なんか、ヤバそうだ…冷や汗が…止まらない…」
「まさか毒!?」
アオはルークの服を緩めて、矢が刺さっていた場所を空気にさらす。
「つっ!!」
「…どうした」
アオが青い顔をして、ルークを見る。
「…毒です。肩の傷口が変色しています」
「ルーク様!?」
ガーディが駆け寄ってくる。
「ガーディ。天幕をここ立てろ!急げ!救護班を呼べ!」
ガーディは頷くと慌てて立ち去った。
「ルーク様。しばらく冷やします。毒の回りは遅いみたいですが、意識を保ってくださいね」
「ああ。」
ルークの顔色は悪くなり、汗が吹き出て止まらない。
「…寒い…」
ルークの回りに急速に天幕が立てられ、簡易ベットにルークが寝かせられ、駆けつけた救護班には解毒薬が分からなかった。
身体が弱ってくると、心も弱るもので…。
なあ、リーン。
こんなところで、俺はお前に会えず、死ぬのか?
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