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実を結ぶ
小さな光
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魔力の迷走が収まるまで、今夜から宿り木ミーネの裏手にある、小屋で住むことになった。
ソコは丸太小屋になっていて、部屋も寝室が別に有り、ダイニングルーム、シャワールーム、手洗い場と、こじんまりしているが、一人で暮らすには充分な広さだった。
食事は毎日、屋敷の使用人が運んで来てくれて、洗濯物も出して置いてくれれば、食事を持ってきたときに持って帰って洗ってきてくれるそうだ。
ここは静かで、森の中を思い出す。
随分と帰っていない…。
魔力の迷走が収まったら、一度、グオルクに戻ろう。
それで、ヒイロに相談して、自分の予測が正しいのか、別の問題なのか、見てもらおう。
夜が更け、リーンはベッドにいたが、昼間ずっと眠っていたので、まだ、眠れていなかった。
ミーネの側にいて、森の魔力を分けてもらって、少しは体調が戻ってきているのかも知れない。
ベッドサイドに置かれたミニテーブルには、読みかけの薬草の本があった。
屋敷にある本で、興味が有りそうだからと、カザンナ王国で良く採取される薬草の図鑑のようなものを、ルークが持ってきてくれた。
コンコンと、ドアがノックされ、ルークが、小屋に入ってきた。
寝室の戸が開かれ、中に入ってくる。
「体調は?」
「…少しは落ち着いた」
「そうか…」
ルークは何か言いたげに、視線をあちらこちらにさ迷わせ、そして、何かを決意したみたいに、リーンの側にやって来て、視線を合わす。
「…俺、ちゃんとリーンに伝えてないと思って…。俺は、リーンが好きだ」
ルークは頬を染め、視線をさ迷わせる。
「…多分、出会った頃から惹かれてた。…ここに居る間だけでも、俺を見て欲しい」
「…。」
「…伝える前に、あんな事になったから、慌てたけど…」
魔女の森の事を言っているのだろう。
「…見てるよ。これがどういう感情のモノなのか分からない。ルークの思っているのとは、違うと思う」
ただ、いろんな感情をくれたのはルークだった。
「…。」
「でも、本気で触られるのが嫌だったら、床に沈めてた。それだけは、確かだから…」
嫌と言うより、恥ずかしいのだ。
いろんな種族と身体を重ねてきたのに、ルークにだけは、時々どうして良いか分からなくなる。
「…リーン。キスして良いか?」
「ふふ。何を今さら照れているんだ?」
ルークが緊張しながら、顔を近付けてくる。
魔女の森で、さんざん身体を繋げて、『魔力の交合』をして、唇が腫れるのではないかと思うくらい貪ったじゃないか。
なんだか、可愛い…。
唇が軽く触れ、次に触れてきたときには、口内で舌を絡ませ互いの熱を貪った。
カザナの屋敷に戻って、小屋に住み初めて、二週間が過ぎる頃には、魔力の迷走も収まってきて、リーンは小屋で薬草作りを始めた。
じっとしていれないし、かといって、遠出も出来ない事態になっていた。
そして、『風使い』に頼んで、獣人の町グオルクのヒイロに、カザナに来てもらうことにした。
宿り木ミーネが、気が付いたからだ。
『やはり、身籠っている』
「…。」
『まだ小さい光が、二つ宿っている』
ヒイロに訪ねるまでもなく、予測が確定したのだ。
ソフィアの言った、『実を結ぶ』とは、子供を宿すと言うことだろう。
『無理はしてはいけない。小さい光はまだ、安定していない』
「…。」
『ルークに伝えるべき』
『魔女の宴』の魔法が作用したのなら、確実にルークの子供だ。
それも、光が二つと、言うことは、双子なのか?
「…今は、伝えない。安定してきたら、私から伝える」
だったら魔力の迷走は、私の魔力と、宿った魔力が安定しなかったからだろう。
種族が違うと、どういう事が起こるのか分からない。
さすがに、そう言うことに関しては、勉強していないから、分からない。
だったら、知っていそうなヒイロを呼ぶしかない。
「獣人族のヒイロを呼ぶ。来たら結界の中に入れてくれないか」
『…わかった。来たら伝える』
ルークとは、ここ数日会っていない。
『人魚の湖』周辺の集落の事で、仲間達と走り回っているからだ。
時折、帰ってくるが、深夜だったり、早朝には出発してしまったり、まともに顔を会わせて会話することが出来なかった。
何度か、眠りかけたとき、ルークが来ていたが、髪を撫でられ、そのまま寝落ちしてしまっている。
まだ、出会って数ヶ月しか経っていないけど、身体を重ねる関係になって、子供を宿したと知って、ルークはどんな顔をするだろうか?
喜んでくれるだろうか?
ソコは丸太小屋になっていて、部屋も寝室が別に有り、ダイニングルーム、シャワールーム、手洗い場と、こじんまりしているが、一人で暮らすには充分な広さだった。
食事は毎日、屋敷の使用人が運んで来てくれて、洗濯物も出して置いてくれれば、食事を持ってきたときに持って帰って洗ってきてくれるそうだ。
ここは静かで、森の中を思い出す。
随分と帰っていない…。
魔力の迷走が収まったら、一度、グオルクに戻ろう。
それで、ヒイロに相談して、自分の予測が正しいのか、別の問題なのか、見てもらおう。
夜が更け、リーンはベッドにいたが、昼間ずっと眠っていたので、まだ、眠れていなかった。
ミーネの側にいて、森の魔力を分けてもらって、少しは体調が戻ってきているのかも知れない。
ベッドサイドに置かれたミニテーブルには、読みかけの薬草の本があった。
屋敷にある本で、興味が有りそうだからと、カザンナ王国で良く採取される薬草の図鑑のようなものを、ルークが持ってきてくれた。
コンコンと、ドアがノックされ、ルークが、小屋に入ってきた。
寝室の戸が開かれ、中に入ってくる。
「体調は?」
「…少しは落ち着いた」
「そうか…」
ルークは何か言いたげに、視線をあちらこちらにさ迷わせ、そして、何かを決意したみたいに、リーンの側にやって来て、視線を合わす。
「…俺、ちゃんとリーンに伝えてないと思って…。俺は、リーンが好きだ」
ルークは頬を染め、視線をさ迷わせる。
「…多分、出会った頃から惹かれてた。…ここに居る間だけでも、俺を見て欲しい」
「…。」
「…伝える前に、あんな事になったから、慌てたけど…」
魔女の森の事を言っているのだろう。
「…見てるよ。これがどういう感情のモノなのか分からない。ルークの思っているのとは、違うと思う」
ただ、いろんな感情をくれたのはルークだった。
「…。」
「でも、本気で触られるのが嫌だったら、床に沈めてた。それだけは、確かだから…」
嫌と言うより、恥ずかしいのだ。
いろんな種族と身体を重ねてきたのに、ルークにだけは、時々どうして良いか分からなくなる。
「…リーン。キスして良いか?」
「ふふ。何を今さら照れているんだ?」
ルークが緊張しながら、顔を近付けてくる。
魔女の森で、さんざん身体を繋げて、『魔力の交合』をして、唇が腫れるのではないかと思うくらい貪ったじゃないか。
なんだか、可愛い…。
唇が軽く触れ、次に触れてきたときには、口内で舌を絡ませ互いの熱を貪った。
カザナの屋敷に戻って、小屋に住み初めて、二週間が過ぎる頃には、魔力の迷走も収まってきて、リーンは小屋で薬草作りを始めた。
じっとしていれないし、かといって、遠出も出来ない事態になっていた。
そして、『風使い』に頼んで、獣人の町グオルクのヒイロに、カザナに来てもらうことにした。
宿り木ミーネが、気が付いたからだ。
『やはり、身籠っている』
「…。」
『まだ小さい光が、二つ宿っている』
ヒイロに訪ねるまでもなく、予測が確定したのだ。
ソフィアの言った、『実を結ぶ』とは、子供を宿すと言うことだろう。
『無理はしてはいけない。小さい光はまだ、安定していない』
「…。」
『ルークに伝えるべき』
『魔女の宴』の魔法が作用したのなら、確実にルークの子供だ。
それも、光が二つと、言うことは、双子なのか?
「…今は、伝えない。安定してきたら、私から伝える」
だったら魔力の迷走は、私の魔力と、宿った魔力が安定しなかったからだろう。
種族が違うと、どういう事が起こるのか分からない。
さすがに、そう言うことに関しては、勉強していないから、分からない。
だったら、知っていそうなヒイロを呼ぶしかない。
「獣人族のヒイロを呼ぶ。来たら結界の中に入れてくれないか」
『…わかった。来たら伝える』
ルークとは、ここ数日会っていない。
『人魚の湖』周辺の集落の事で、仲間達と走り回っているからだ。
時折、帰ってくるが、深夜だったり、早朝には出発してしまったり、まともに顔を会わせて会話することが出来なかった。
何度か、眠りかけたとき、ルークが来ていたが、髪を撫でられ、そのまま寝落ちしてしまっている。
まだ、出会って数ヶ月しか経っていないけど、身体を重ねる関係になって、子供を宿したと知って、ルークはどんな顔をするだろうか?
喜んでくれるだろうか?
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