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実を結ぶ
魔力の迷走
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『人魚の湖』周辺の、集落巡りが始まって、中程から少し調子が悪かった。
いろんな人々と、会っては話し、説明を繰り返していたので、疲れと緊張が襲ってきたのだと思っていた。
始めは、少し眠ると落ち着いて、いつもと変わらないようだった。
だが、後半…もう後二つの集落になってきた時、眠っても気だるさが取れなくて、住民との話し合いが終わると、あとは、ルーク達に任せて、馬車で横になっていた。
そんな様子にルークが医者に見せようと、言ってきたが、人族とは体質が違うため、それは嫌だった。
最後の集落イオに、たどり着いた時、起き上がるのも辛かった。
ずっと馬車に揺られて居たこともあるが、体温がいつもより高くなっていて、自分でも明らかに何かがおかしいと感じていた。
集落イオでは、何とか話し合いと説明をしていたが、体力的に限界が近付いていて、馬車の中で眠ったり起きたりを繰り返していた。
早朝。
食事を終えたルークに抱えられ、カズヤが馬車に乗り込み、カザナへと出発した。
私の中で何が起きているのだろう…。
ゲオルクのヒイロなら、分かるだろうか?
リーンは微熱のなか、ルークの膝に抱かれて、目を閉じた。
昼過ぎには、カザナの屋敷にたどり着き、宿り木ミーネの元に向かってもらった。
きっとミーネなら何か、感じ取れるかもしれないと思ったからだ。
ルークの両腕に抱かれて、ミーネの元に向かうと、姿を表し静かにリーンを見ていた。
『魔力の迷走が、起きています。しばらく落ち着くまで
安静にしていた方が良いと思いますよ』
「…。」
魔力迷走…。
ここまで、身体が辛いのは初めてだ。
人族の住む地域に降りてきて、初めてではないだろうか。
『今までが忙しく、飛び歩いていたのだから、少し休憩だと思えば良いですから…』
「…。」
ここ数週間で、いろんな事が有りすぎた。
『リーン。裏手に使用していない小屋が、有ります。ソコを貴方が住めるように、してもらってください。多くの人が出入りする場所は、身体に影響を与えます』
「…。」
それ以外に何か有るのか?
ミーネが、そんな風に意見することは珍しい。
…ルークが居るから、言えないこと?
『魔力の迷走は他人にも影響を及ぼす可能性があります。少し離れた方がいい』
ミーネは言って姿を消した。
人族から離れた方が良いと、言うことか?
ルークは震えながら、興奮して、言ってきた。
「…声が聞こえた。…姿は見えないが…。これも、同調と言うものがまだ、出来ているからなのか?」
「…。」
ミーネの声が聞こえる?
魔力がなければ、聞こえないはず。
以前は全く聞こえていなかったのだから…。
それに、同調はあの時だけのはず…。
と、言うことは、魔力が戻ってきているのか?
考えることが、たくさん有りすぎて、頭が痛くなってきた。
リーンはそのまま、宿り木ミーネに寄りかかりながら、目を閉じた。
ルークは屋敷の方に行って、ミーネが言う小屋の整備をするよう頼みに行った。
もともとソコは、『木霊』を得意とする者が、薬草や薬を採取したり調合したりしていた場所だそうで、今は、物置になっているそうだ。
夕方には準備が出きるらしく、それまで、ミーネに寄りかかり、魔力を落ち着かせようとしていると、再びミーネが声を掛けてきた。
『何が有りました?』
リーンは少し迷ったが正直に答えた。
『魔女の森』で『魔女の宴』に捕まって、ルークと『魔力の交合』をしたこと。
そして魔女王が、最後に言っていた『実を結ぶ』と、言ったこと。
…原因は…多分…『魔女の宴』。
それ以外に、魔法は使われていないし、特に変わったこともしていない。
ソフィアが言っていた、『実を結ぶ』。
その意味の可能性を感じて、頭が痛くなった。
まさか…そんなはず…無いだろ…?
ヒイロを呼んだ方が良いのかも知れない。
私では、ただの思い違いなのかも知れないから…。
『それにしても、貴方なら、魔女の魔方陣を壊せたでしょう』
「そうなんだ。魔女の目は壊したけど、魔方陣は壊せなかったんだ。…ルークが魔法で繋がれていて、アレを壊したら、繋がれたルークに、どんな影響を与えるか、分からなかったから…」
『彼の事が特別だからですか?』
特別…なのだろうか…。
彼の言動や行動に、あたふたして、恥ずかしくなって、悲しくなって…感情の起伏が安定しない。
今までに無いこと…。
「わからない。ここに長く居すぎた。…でも、離れられない…」
離れるつもりだったのに、何故か、繋がりを強固にしただけだった。
いろんな人々と、会っては話し、説明を繰り返していたので、疲れと緊張が襲ってきたのだと思っていた。
始めは、少し眠ると落ち着いて、いつもと変わらないようだった。
だが、後半…もう後二つの集落になってきた時、眠っても気だるさが取れなくて、住民との話し合いが終わると、あとは、ルーク達に任せて、馬車で横になっていた。
そんな様子にルークが医者に見せようと、言ってきたが、人族とは体質が違うため、それは嫌だった。
最後の集落イオに、たどり着いた時、起き上がるのも辛かった。
ずっと馬車に揺られて居たこともあるが、体温がいつもより高くなっていて、自分でも明らかに何かがおかしいと感じていた。
集落イオでは、何とか話し合いと説明をしていたが、体力的に限界が近付いていて、馬車の中で眠ったり起きたりを繰り返していた。
早朝。
食事を終えたルークに抱えられ、カズヤが馬車に乗り込み、カザナへと出発した。
私の中で何が起きているのだろう…。
ゲオルクのヒイロなら、分かるだろうか?
リーンは微熱のなか、ルークの膝に抱かれて、目を閉じた。
昼過ぎには、カザナの屋敷にたどり着き、宿り木ミーネの元に向かってもらった。
きっとミーネなら何か、感じ取れるかもしれないと思ったからだ。
ルークの両腕に抱かれて、ミーネの元に向かうと、姿を表し静かにリーンを見ていた。
『魔力の迷走が、起きています。しばらく落ち着くまで
安静にしていた方が良いと思いますよ』
「…。」
魔力迷走…。
ここまで、身体が辛いのは初めてだ。
人族の住む地域に降りてきて、初めてではないだろうか。
『今までが忙しく、飛び歩いていたのだから、少し休憩だと思えば良いですから…』
「…。」
ここ数週間で、いろんな事が有りすぎた。
『リーン。裏手に使用していない小屋が、有ります。ソコを貴方が住めるように、してもらってください。多くの人が出入りする場所は、身体に影響を与えます』
「…。」
それ以外に何か有るのか?
ミーネが、そんな風に意見することは珍しい。
…ルークが居るから、言えないこと?
『魔力の迷走は他人にも影響を及ぼす可能性があります。少し離れた方がいい』
ミーネは言って姿を消した。
人族から離れた方が良いと、言うことか?
ルークは震えながら、興奮して、言ってきた。
「…声が聞こえた。…姿は見えないが…。これも、同調と言うものがまだ、出来ているからなのか?」
「…。」
ミーネの声が聞こえる?
魔力がなければ、聞こえないはず。
以前は全く聞こえていなかったのだから…。
それに、同調はあの時だけのはず…。
と、言うことは、魔力が戻ってきているのか?
考えることが、たくさん有りすぎて、頭が痛くなってきた。
リーンはそのまま、宿り木ミーネに寄りかかりながら、目を閉じた。
ルークは屋敷の方に行って、ミーネが言う小屋の整備をするよう頼みに行った。
もともとソコは、『木霊』を得意とする者が、薬草や薬を採取したり調合したりしていた場所だそうで、今は、物置になっているそうだ。
夕方には準備が出きるらしく、それまで、ミーネに寄りかかり、魔力を落ち着かせようとしていると、再びミーネが声を掛けてきた。
『何が有りました?』
リーンは少し迷ったが正直に答えた。
『魔女の森』で『魔女の宴』に捕まって、ルークと『魔力の交合』をしたこと。
そして魔女王が、最後に言っていた『実を結ぶ』と、言ったこと。
…原因は…多分…『魔女の宴』。
それ以外に、魔法は使われていないし、特に変わったこともしていない。
ソフィアが言っていた、『実を結ぶ』。
その意味の可能性を感じて、頭が痛くなった。
まさか…そんなはず…無いだろ…?
ヒイロを呼んだ方が良いのかも知れない。
私では、ただの思い違いなのかも知れないから…。
『それにしても、貴方なら、魔女の魔方陣を壊せたでしょう』
「そうなんだ。魔女の目は壊したけど、魔方陣は壊せなかったんだ。…ルークが魔法で繋がれていて、アレを壊したら、繋がれたルークに、どんな影響を与えるか、分からなかったから…」
『彼の事が特別だからですか?』
特別…なのだろうか…。
彼の言動や行動に、あたふたして、恥ずかしくなって、悲しくなって…感情の起伏が安定しない。
今までに無いこと…。
「わからない。ここに長く居すぎた。…でも、離れられない…」
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