108 / 462
魔女の宴 ~独占欲~
忠告
しおりを挟む
「んっ…」
リーンが身動ぎをして目を覚ますと、ルークに抱き止められ、髪を撫でるられていた。
さっきまでの、求めても、求めても足りない強い衝動は収まっている。
『魔女の宴』の魔法が消えたからだ。
急いで、ここから出なくてはいけない。
「…逃げるぞ…。服を…取ってきてくれ…」
身体を起こすのも辛いリーンは、起き上がず、横目にルークに言った。
ルークは脱ぎ散らかした服を着込み、ベッドから降り、脱ぎ落とされた服や靴を拾って来てくれた。
身体を起こしてくれ、気だるい身体を何とか動かし、服を着た。
「動けるか?」
「身体が…重い…」
リーンが立ち上がろうとしたが、ふらりと傾きルークが支えてくれる。
ルークはマントを羽織らせてくれ、身体を包むと、靴や上着をリーンに持たせ、両腕で抱き上げた。
「首に掴まってろ」
リーンはルークの首に掴まり、見上げた。
このままでは、重くてルークの体力を奪う。
魔女の森から出るのは、簡単ではない。
まだ『魔力の交合』の余韻で、ルークと繋がっているはず。
「…ルーク『軽減魔法』を掛けろ。…今なら、私と同調しているから、…私を通して魔法が使える」
「…どうやって?」
ルークは不思議そうに言う。
魔法を使えないルークには、この感覚は分からないのかも知れない。
「私に『軽減魔法』をかける、と、思えば良い。ソレだけで、魔法がかかる」
ルークは目を閉じ、集中して念じ目を開けた。
「『軽減魔法』!!」
ルークが驚いて、嬉しそうな姿を見て、思わずリーンは微笑えんだ。
それより、ここから出ないと!!
「帰り道は?」
ルークが訪ねて来たので、リーンは右手を差し出し、小さな光を出す。
「『光の蝶』出入口に付けた印まで、導いて」
小さな光は蝶々の姿を形どり、館の外へと向かっていく。
リーンはルークにしっかりと抱え直され、蝶の後を付いていった。
館を出ると、外はまだ薄暗く道は迷路のようになっていた。
これは、魔女王の城に行くときと同じ現象だ。
逃げ出す男がいても、帰れなくする為の迷宮。
「これは、『光の蝶』がなければ、出入口まではたどり着けないな」
ルークはそう呟き、足早に次々と変化する街中を進んでいった。
街中は、し~んと静まり返っているが、時折、叫び声や、うめき声が響いている。
「…日が…昇るまでに、ここを出れれば帰れる…」
気を紛らわす為に、リーンは話し始めた。
「ソレもルールか?」
「うん。魔女の森の決まり。…入った場所からしか、出られない。日が昇れば、魔女の森の結界が張られる。次に出れるのは、次の満月の明け方…」
初めて『魔女の森』に来たとき、わかった真実。
『魔女の森』から、出る時の条件があり、それが出来なければ、次の満月まで出れない。
だから、日の出までにココを出なくてはいけない。
「それまで、閉じ込められるのか?」
「…うん」
「もしかして、閉じ込められた?」
「…。」
リーンは答えられない。
その話をすると言うことは、白獣のユキの事を話さなければ、ならなくなってしまう。
…そう言えば、ここに来て、ユキの所に行っている時間は無かったな…。
いつか、話せるときが来るのかも知れない。
どれだけ歩いたのだろうか。
辺りが少しづつ明るくなって、道や家が動かなくなり始め、外への道がはっきりと見えだし、その奧にバラのアーチが佇んでいた。
「あれが、始めに潜ったアーチだな」
ルークは足早にバラのアーチを抜け、木製の橋が掛けられている小川にたどり着いた。
「ここを渡れば、魔女の領域から抜けれる」
リーンがそう言うと、急に橋の上に『魔女の抜け道』空間を渡る抜け穴が現れ、魔女王ソフィアが『魔女の抜け道』から姿を現した。
「実を結ぶ」
一言そう言って、『魔女の抜け道』は直ぐに消え去った。
どう言う、意味だ!
ワザワザ、ソレだけの為に、ソフィアは、ここへは来ない!
何か重要な意味がある!
ソフィアは予測能力をも、持っている。
何に気づいた!
何が起こる!
リーンの葛藤をよそに、ルークは橋を渡り、小川を越え、振り向くと、さっきまで見えていたバラのアーチは消えていて、入口が見え無くなっていた。
「…戻ろう」
ルークはリーンを抱え直し、来た道を、森の中に閉じ込めてある、ガーディの元に向かって歩きだした。
リーンが身動ぎをして目を覚ますと、ルークに抱き止められ、髪を撫でるられていた。
さっきまでの、求めても、求めても足りない強い衝動は収まっている。
『魔女の宴』の魔法が消えたからだ。
急いで、ここから出なくてはいけない。
「…逃げるぞ…。服を…取ってきてくれ…」
身体を起こすのも辛いリーンは、起き上がず、横目にルークに言った。
ルークは脱ぎ散らかした服を着込み、ベッドから降り、脱ぎ落とされた服や靴を拾って来てくれた。
身体を起こしてくれ、気だるい身体を何とか動かし、服を着た。
「動けるか?」
「身体が…重い…」
リーンが立ち上がろうとしたが、ふらりと傾きルークが支えてくれる。
ルークはマントを羽織らせてくれ、身体を包むと、靴や上着をリーンに持たせ、両腕で抱き上げた。
「首に掴まってろ」
リーンはルークの首に掴まり、見上げた。
このままでは、重くてルークの体力を奪う。
魔女の森から出るのは、簡単ではない。
まだ『魔力の交合』の余韻で、ルークと繋がっているはず。
「…ルーク『軽減魔法』を掛けろ。…今なら、私と同調しているから、…私を通して魔法が使える」
「…どうやって?」
ルークは不思議そうに言う。
魔法を使えないルークには、この感覚は分からないのかも知れない。
「私に『軽減魔法』をかける、と、思えば良い。ソレだけで、魔法がかかる」
ルークは目を閉じ、集中して念じ目を開けた。
「『軽減魔法』!!」
ルークが驚いて、嬉しそうな姿を見て、思わずリーンは微笑えんだ。
それより、ここから出ないと!!
「帰り道は?」
ルークが訪ねて来たので、リーンは右手を差し出し、小さな光を出す。
「『光の蝶』出入口に付けた印まで、導いて」
小さな光は蝶々の姿を形どり、館の外へと向かっていく。
リーンはルークにしっかりと抱え直され、蝶の後を付いていった。
館を出ると、外はまだ薄暗く道は迷路のようになっていた。
これは、魔女王の城に行くときと同じ現象だ。
逃げ出す男がいても、帰れなくする為の迷宮。
「これは、『光の蝶』がなければ、出入口まではたどり着けないな」
ルークはそう呟き、足早に次々と変化する街中を進んでいった。
街中は、し~んと静まり返っているが、時折、叫び声や、うめき声が響いている。
「…日が…昇るまでに、ここを出れれば帰れる…」
気を紛らわす為に、リーンは話し始めた。
「ソレもルールか?」
「うん。魔女の森の決まり。…入った場所からしか、出られない。日が昇れば、魔女の森の結界が張られる。次に出れるのは、次の満月の明け方…」
初めて『魔女の森』に来たとき、わかった真実。
『魔女の森』から、出る時の条件があり、それが出来なければ、次の満月まで出れない。
だから、日の出までにココを出なくてはいけない。
「それまで、閉じ込められるのか?」
「…うん」
「もしかして、閉じ込められた?」
「…。」
リーンは答えられない。
その話をすると言うことは、白獣のユキの事を話さなければ、ならなくなってしまう。
…そう言えば、ここに来て、ユキの所に行っている時間は無かったな…。
いつか、話せるときが来るのかも知れない。
どれだけ歩いたのだろうか。
辺りが少しづつ明るくなって、道や家が動かなくなり始め、外への道がはっきりと見えだし、その奧にバラのアーチが佇んでいた。
「あれが、始めに潜ったアーチだな」
ルークは足早にバラのアーチを抜け、木製の橋が掛けられている小川にたどり着いた。
「ここを渡れば、魔女の領域から抜けれる」
リーンがそう言うと、急に橋の上に『魔女の抜け道』空間を渡る抜け穴が現れ、魔女王ソフィアが『魔女の抜け道』から姿を現した。
「実を結ぶ」
一言そう言って、『魔女の抜け道』は直ぐに消え去った。
どう言う、意味だ!
ワザワザ、ソレだけの為に、ソフィアは、ここへは来ない!
何か重要な意味がある!
ソフィアは予測能力をも、持っている。
何に気づいた!
何が起こる!
リーンの葛藤をよそに、ルークは橋を渡り、小川を越え、振り向くと、さっきまで見えていたバラのアーチは消えていて、入口が見え無くなっていた。
「…戻ろう」
ルークはリーンを抱え直し、来た道を、森の中に閉じ込めてある、ガーディの元に向かって歩きだした。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる