109 / 462
実を結ぶ
合流
しおりを挟む
森の中を少し歩くと、ガーディが地面に座って、ボーッとしている姿が見えてきた。
結界が張ってあるので、ソコからか出られず、何が起こったのか理解できていないようだった。
「ガーディ!」
ルークは駆け寄り、側に一端、リーンを降ろす。
「ルーク様。俺…いったい…」
「魔女の宴に呼ばれて、ふらふらここまで来てしまったんだ。それより、ここから離れるぞ!」
「待って、今、結界外すから…」
リーンは手をかかげて、魔方陣を解除する。
それを確認し、ルークは再び、リーンを抱き上げた。
「リーンは大丈夫なんですか?」
「…体力的に…限界なだけ…」
そう言って頬を染める。
何でそうなったか、言えないよな…。
「アオ達のいる馬車に戻るぞ」
ルークとリーン、ガーディは森の中の細い道を歩き、街道に向かって歩きだした。
日は昇っているが、森の木々がその光を遮って、少し薄暗く感じる。
ここへ来たときは、迎えに行かなくてはと、必死だった為、ソコまで感じなかったのかも知れない。
寒々として、人を寄せ付けない空気をかもし出している。
この分、抱えているリーンが温かく、安心できるのも不思議だ。
どれだけか、無言で歩き続けると、細い小道の先に見慣れた馬車が止まっていた。
あれって…。
「おい、あの馬車、俺達じゃないか?」
ルークが話しかけると、ガーディが頷く。
「そうだと思います」
「よく、ここが分かったな」
「カズキが『木霊』に、訪ねたんじゃないかな…。魔女の森の入口は何処に?ってね」
だいぶん回復してきたリーンが、腕の中で答える。
「そうだな」
そんな話をしながら馬車に近付いて行くと、ちょうど、アオが馬車から出てきて、硬直し、慌てて馬車に戻り、カズキと共に、出迎えてくれた。
「ルーク様!」
「よかった。戻ってきてくれた…」
「もう、心配で心配で…」
カズキとアオは涙ぐんでいた。
心配かけた事は後で謝ろう。
「それより、場所を移そう。魔女の森の近くにいるのは危険だ」
結界が閉じたとは言え、魔女が来ないとも限らない。
「そうですね」
カズキは馬車の前に向かう。
「リーンさんは大丈夫なんですか?」
アオが不安そうにルークに抱えられたリーンを覗き込む。
「大丈夫…」
ルークはリーンを抱えたまま馬車に乗り込み、ガーディとアオも乗り込むと、馬車は動き出した。
「取りあえず、水浴びの出来る場所に止めてくれ。…てか、お腹が空いたな…」
緊張が取れ始めたのか、ルークは空腹を感じ出した。
そう言えば、昨日の夜は食べてない…。
それどころでは無かったから、空腹を感じなかったのだろう。
「確か、果物や軽食が有るはず」
そう言ってアオが馬車の中の荷物をゴソゴソと探り、りんごや固形パンを取り出した。
「馬車を止めたら、食事を作ります。それまで、これで我慢してください」
アオから、固形パンを渡され、ルークとリーン、ガーディは、少しの空腹を紛らわすように、食べ始めた。
良く考えたら、まだ、屋敷を出発して、二日目…だよな…。
なんか、ずいぶん長く、『魔女の森』にいたような気がしてならない…。
たった一日で、封じられた魔力の、いろんな事が分かって、リーンと抱き合って、『魔女の森』から、脱出してきたんだよな…。
ルークはぼんやりと、固形パンを齧りながら思っていると、馬車の速度が落ちて、止まった。
「この辺なら、馬車を停めておいても、邪魔にならないだろうし、食事の準備も出来るよ」
カズキがそう言って、御者席から後ろを覗いた。
ガーディが簡単な天幕を張り、アオ、カズキが食事を作るよう、道具を降ろし始めた。
ルークは水浴びをするため、タオルをリーンに持たせ、再びリーンを抱えると、近くの泉に向かった。
「ちょっと泉に行ってくる」
結界が張ってあるので、ソコからか出られず、何が起こったのか理解できていないようだった。
「ガーディ!」
ルークは駆け寄り、側に一端、リーンを降ろす。
「ルーク様。俺…いったい…」
「魔女の宴に呼ばれて、ふらふらここまで来てしまったんだ。それより、ここから離れるぞ!」
「待って、今、結界外すから…」
リーンは手をかかげて、魔方陣を解除する。
それを確認し、ルークは再び、リーンを抱き上げた。
「リーンは大丈夫なんですか?」
「…体力的に…限界なだけ…」
そう言って頬を染める。
何でそうなったか、言えないよな…。
「アオ達のいる馬車に戻るぞ」
ルークとリーン、ガーディは森の中の細い道を歩き、街道に向かって歩きだした。
日は昇っているが、森の木々がその光を遮って、少し薄暗く感じる。
ここへ来たときは、迎えに行かなくてはと、必死だった為、ソコまで感じなかったのかも知れない。
寒々として、人を寄せ付けない空気をかもし出している。
この分、抱えているリーンが温かく、安心できるのも不思議だ。
どれだけか、無言で歩き続けると、細い小道の先に見慣れた馬車が止まっていた。
あれって…。
「おい、あの馬車、俺達じゃないか?」
ルークが話しかけると、ガーディが頷く。
「そうだと思います」
「よく、ここが分かったな」
「カズキが『木霊』に、訪ねたんじゃないかな…。魔女の森の入口は何処に?ってね」
だいぶん回復してきたリーンが、腕の中で答える。
「そうだな」
そんな話をしながら馬車に近付いて行くと、ちょうど、アオが馬車から出てきて、硬直し、慌てて馬車に戻り、カズキと共に、出迎えてくれた。
「ルーク様!」
「よかった。戻ってきてくれた…」
「もう、心配で心配で…」
カズキとアオは涙ぐんでいた。
心配かけた事は後で謝ろう。
「それより、場所を移そう。魔女の森の近くにいるのは危険だ」
結界が閉じたとは言え、魔女が来ないとも限らない。
「そうですね」
カズキは馬車の前に向かう。
「リーンさんは大丈夫なんですか?」
アオが不安そうにルークに抱えられたリーンを覗き込む。
「大丈夫…」
ルークはリーンを抱えたまま馬車に乗り込み、ガーディとアオも乗り込むと、馬車は動き出した。
「取りあえず、水浴びの出来る場所に止めてくれ。…てか、お腹が空いたな…」
緊張が取れ始めたのか、ルークは空腹を感じ出した。
そう言えば、昨日の夜は食べてない…。
それどころでは無かったから、空腹を感じなかったのだろう。
「確か、果物や軽食が有るはず」
そう言ってアオが馬車の中の荷物をゴソゴソと探り、りんごや固形パンを取り出した。
「馬車を止めたら、食事を作ります。それまで、これで我慢してください」
アオから、固形パンを渡され、ルークとリーン、ガーディは、少しの空腹を紛らわすように、食べ始めた。
良く考えたら、まだ、屋敷を出発して、二日目…だよな…。
なんか、ずいぶん長く、『魔女の森』にいたような気がしてならない…。
たった一日で、封じられた魔力の、いろんな事が分かって、リーンと抱き合って、『魔女の森』から、脱出してきたんだよな…。
ルークはぼんやりと、固形パンを齧りながら思っていると、馬車の速度が落ちて、止まった。
「この辺なら、馬車を停めておいても、邪魔にならないだろうし、食事の準備も出来るよ」
カズキがそう言って、御者席から後ろを覗いた。
ガーディが簡単な天幕を張り、アオ、カズキが食事を作るよう、道具を降ろし始めた。
ルークは水浴びをするため、タオルをリーンに持たせ、再びリーンを抱えると、近くの泉に向かった。
「ちょっと泉に行ってくる」
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして
ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
【R18+BL】ハデな彼に、躾けられた、地味な僕
hosimure
BL
僕、大祇(たいし)永河(えいが)は自分で自覚するほど、地味で平凡だ。
それは容姿にも性格にも表れていた。
なのに…そんな僕を傍に置いているのは、学校で強いカリスマ性を持つ新真(しんま)紗神(さがみ)。
一年前から強制的に同棲までさせて…彼は僕を躾ける。
僕は彼のことが好きだけど、彼のことを本気で思うのならば別れた方が良いんじゃないだろうか?
★BL&R18です。
【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。
天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。
しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。
しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。
【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

触手生物に溺愛されていたら、氷の騎士様(天然)の心を掴んでしまいました?
雪 いつき
BL
仕事帰りにマンホールに落ちた森川 碧葉(もりかわ あおば)は、気付けばヌメヌメの触手生物に宙吊りにされていた。
「ちょっとそこのお兄さん! 助けて!」
通りすがりの銀髪美青年に助けを求めたことから、回らなくてもいい運命の歯車が回り始めてしまう。
異世界からきた聖女……ではなく聖者として、神聖力を目覚めさせるためにドラゴン討伐へと向かうことに。王様は胡散臭い。討伐仲間の騎士様たちはいい奴。そして触手生物には、愛されすぎて喘がされる日々。
どうしてこんなに触手生物に愛されるのか。ピィピィ鳴いて懐く触手が、ちょっと可愛い……?
更には国家的に深刻な問題まで起こってしまって……。異世界に来たなら悠々自適に過ごしたかったのに!
異色の触手と氷の(天然)騎士様に溺愛されすぎる生活が、今、始まる―――
※昔書いていたものを加筆修正して、小説家になろうサイト様にも上げているお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる