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魔女の森~対価~ *リーンの過去編です~
地下の収納庫
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ソフィアとリーンは、その家の角にある地下室へと続く階段を降りて行った。
「…あの子、貴方を襲ったあの男に迫られて、男性恐怖症になってしまったの。もともと、引っ込み思案だったんどけど…」
ソフィアはなぜ、サラがリーンを見て、青ざめていたのかを教えてくれた。
その話を聞いて、リーンは身震いする。
「…まだ、小さい子だぞ!」
「だから困ってたの」
ソフィアは苦笑いしていた。
最低なヤツだが、魔力が強い。
魔力の強い子を産みたい魔女は、魔力の強い男を求める…と、言うことか…。
リーンはため息を付き、『明かり玉』が照らす薄暗い階段を降りて行った。
ソフィアが地下室の扉を開けると、そこには、薬師が薬草を管理するための、沢山の引き出しが壁一面に並んでいた。
大きさも、壁面ごとにサイズが違う。
値かに入って直ぐ正面には、薬草や薬を入れておくのに丁度良いサイズがズラリと並び、右奧はソレの倍のサイズ。左奧には、数は少ないが、衣服を収納しておけるくらいの、引き出しがあり、階段の有る並びには、本棚と本が置かれていた。
「こんな感じに、なっていれば仕分け出きるんじゃないの?」
「そうだね」
これだけあれば、薬草だけでなく魔法石や魔法具なども作り置き出来て、保管する事が出来る。
それに、本を置いておける場所が有るのは助かる。
貴重な資料となる本を、いつも獣人の町グオルクまで運んでいたからだ。
「サラの母親の時は使っていたけど、今は使われていないわ。この空間を閉じ込めて、自由に引き出しが使えれば、色々と収納出来るわよ」
「…必要な引き出しを『空間移動』を使って選べは、小さい魔方陣ですむと、言うことか…悪くない」
だが、サラの母親の使っていたものを、勝手に使用して良いのだろうか。
ソフィアは微笑む。
「利用出来そうなものは使わないと勿体ないでしょう。どうせ次の満月まで、時間があるのだから、『構築』して組立ましょう」
「手伝ってくれるのか?」
リーンは驚いた。
この場所を利用するだけでなく、魔方陣を作って組み立てる『構築』まで、手伝ってくれると言うのだ。
「空間を閉じ込めるのは得意よ。ある程度、時間の流れも緩やかに進むようにしておいた方が、劣化が進まないんじゃ無いかしら」
「そうだな。薬草の保存が利く方がいい。で、対価は何が必要なんだ?」
リーンはソフィアを見る。
これだけ大きな魔法と魔方陣を使うのに、無償の訳が無い。
何か必要なものか、手伝って欲しいことが有るから、便利になるよう融通を利かせてくれているはず。
「その辺、分かってくれるから嬉しいわ」
ソフィアは苦笑いする。
「思い出したの。森の奧の聖域から森の管理者が、降りてきている。って。黒髪の不思議な魔法を使う。とね。貴方の事でしょ。リーン」
「…そんな風に呼ばれる時があるが…。不思議な魔法を使っているつもりは無いんだけど…」
自分にしては当たり前の魔法が、不思議と言われても…。
必要に応じて作っているから、一般的には使わない、珍しい魔法なのかも知れない。
「…最近、地下水の汲み上げ量が減っているの。今はまだ、生活に影響は無いのだけれど、どうも気になって…。今の内に対策を取っておかないと心配で…」
地下水の量が減っている?
「それは、ソフィアの勘なのか?」
「ええ。そうよ」
魔女王には予知能力、もしくは予測能力が有るのかも知れない。
「どこでも、水の問題が発生しているんだな…」
リーンは少し前に滞在していた、集落フールシアの事を思い出す。
「…この辺の地形と地下の様子が分かる資料はあるのか?ちょっと調べてみないと分からないが…」
「有るわ。地形や地下の『構築』が、得意な子がいるから、後で紹介するわね」
と、言うことは、地下に『貯水槽』を作る計画は出来ていると言うこと。
ただ、どれくらいの強度や規模など、年密な計画までに至ってないから、協力して欲しいと、言うことなのだろう。
今まで見てきた事が活用できるのなら、協力は惜しまない。
リーンは魔女王に『物質保管庫』を作ってもらい、リーンは魔女の森の地下を『構築』すると言うことで、対価が成立した。
次の満月までに、互いに『構築』するだけの時間はまだ、たっぷりとあった。
「…あの子、貴方を襲ったあの男に迫られて、男性恐怖症になってしまったの。もともと、引っ込み思案だったんどけど…」
ソフィアはなぜ、サラがリーンを見て、青ざめていたのかを教えてくれた。
その話を聞いて、リーンは身震いする。
「…まだ、小さい子だぞ!」
「だから困ってたの」
ソフィアは苦笑いしていた。
最低なヤツだが、魔力が強い。
魔力の強い子を産みたい魔女は、魔力の強い男を求める…と、言うことか…。
リーンはため息を付き、『明かり玉』が照らす薄暗い階段を降りて行った。
ソフィアが地下室の扉を開けると、そこには、薬師が薬草を管理するための、沢山の引き出しが壁一面に並んでいた。
大きさも、壁面ごとにサイズが違う。
値かに入って直ぐ正面には、薬草や薬を入れておくのに丁度良いサイズがズラリと並び、右奧はソレの倍のサイズ。左奧には、数は少ないが、衣服を収納しておけるくらいの、引き出しがあり、階段の有る並びには、本棚と本が置かれていた。
「こんな感じに、なっていれば仕分け出きるんじゃないの?」
「そうだね」
これだけあれば、薬草だけでなく魔法石や魔法具なども作り置き出来て、保管する事が出来る。
それに、本を置いておける場所が有るのは助かる。
貴重な資料となる本を、いつも獣人の町グオルクまで運んでいたからだ。
「サラの母親の時は使っていたけど、今は使われていないわ。この空間を閉じ込めて、自由に引き出しが使えれば、色々と収納出来るわよ」
「…必要な引き出しを『空間移動』を使って選べは、小さい魔方陣ですむと、言うことか…悪くない」
だが、サラの母親の使っていたものを、勝手に使用して良いのだろうか。
ソフィアは微笑む。
「利用出来そうなものは使わないと勿体ないでしょう。どうせ次の満月まで、時間があるのだから、『構築』して組立ましょう」
「手伝ってくれるのか?」
リーンは驚いた。
この場所を利用するだけでなく、魔方陣を作って組み立てる『構築』まで、手伝ってくれると言うのだ。
「空間を閉じ込めるのは得意よ。ある程度、時間の流れも緩やかに進むようにしておいた方が、劣化が進まないんじゃ無いかしら」
「そうだな。薬草の保存が利く方がいい。で、対価は何が必要なんだ?」
リーンはソフィアを見る。
これだけ大きな魔法と魔方陣を使うのに、無償の訳が無い。
何か必要なものか、手伝って欲しいことが有るから、便利になるよう融通を利かせてくれているはず。
「その辺、分かってくれるから嬉しいわ」
ソフィアは苦笑いする。
「思い出したの。森の奧の聖域から森の管理者が、降りてきている。って。黒髪の不思議な魔法を使う。とね。貴方の事でしょ。リーン」
「…そんな風に呼ばれる時があるが…。不思議な魔法を使っているつもりは無いんだけど…」
自分にしては当たり前の魔法が、不思議と言われても…。
必要に応じて作っているから、一般的には使わない、珍しい魔法なのかも知れない。
「…最近、地下水の汲み上げ量が減っているの。今はまだ、生活に影響は無いのだけれど、どうも気になって…。今の内に対策を取っておかないと心配で…」
地下水の量が減っている?
「それは、ソフィアの勘なのか?」
「ええ。そうよ」
魔女王には予知能力、もしくは予測能力が有るのかも知れない。
「どこでも、水の問題が発生しているんだな…」
リーンは少し前に滞在していた、集落フールシアの事を思い出す。
「…この辺の地形と地下の様子が分かる資料はあるのか?ちょっと調べてみないと分からないが…」
「有るわ。地形や地下の『構築』が、得意な子がいるから、後で紹介するわね」
と、言うことは、地下に『貯水槽』を作る計画は出来ていると言うこと。
ただ、どれくらいの強度や規模など、年密な計画までに至ってないから、協力して欲しいと、言うことなのだろう。
今まで見てきた事が活用できるのなら、協力は惜しまない。
リーンは魔女王に『物質保管庫』を作ってもらい、リーンは魔女の森の地下を『構築』すると言うことで、対価が成立した。
次の満月までに、互いに『構築』するだけの時間はまだ、たっぷりとあった。
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