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魔女の森~対価~ *リーンの過去編です~
結界の狭間
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森の中を歩いていたリーンの中で、突然なにかが弾けた。
リーンは立ち止まり、辺りを見回す。
なんだ?こんな感じは初めてだ。
ガラス玉を落として弾け飛んだような、悲しい痛み…。
何処かで、何かが起こった!?
「『検索起動』!」
リーンの足元に魔法陣が現れ、リーンを包むように、光輝く魔法陣の文字が幾つも現れ、一つ一つ確認していく。
何が弾けた?
リーンの作り出す魔法は、殆んど単独で機能し、使用し終わると消えていく。
なので、こんな風に、リーンにまで伝わることはない。
しばらく検索して、最近、二つ掛けた魔法の内の一つが、消滅している事に気付く。
「…ユキとシロ、…親子に掛けた…魔法」
リーンは真っ青になり、『検索起動』を解除すると山を降り始めた。
「耳飾りの魔法の最終到着点を示せ『追跡』」
小さな光る鳥が現れ、リーンの周囲をクルリと回ると、目的地に向かって飛び出し、リーンはそれを追って走り出した。
かつて一緒に行動を共にして暮らした、獣人のユキに掛けた魔法が消えた。
正確には獣人ではない。
出会った時は、純白の美しい白獣の獣だった。
リーンの魔力を含んだ血を舐めて、魔力を多く摂取したため、獣人の姿に変わったのだ。
元々、獣人の因子を持っていたのかも知れない。
こんな事は、始めてだった。
別れ際、獣人化させてしまった責任もあって、リーンは耳飾りに守護の魔法を掛け、二人に着けたのだ。
…それが、消えた…。
それが意味することを、考えたくは無かった。
リーンは白獣の親子と出会った、結界の狭間があった場所へたどり着いていた。
以前、出会ったとき、お互いに狭間に落ちて、リーンは魔法もうまく使えず、体力の限界がきていて、出られなくなっていた。
魔力の回復のため、木に寄りかかっているとき、白獣の親子と出会った。
空腹に、白獣の子供シロが、リーンに噛みつき、その血を舐め、親のユキも、噛みつき、そのまま食べられてしまうのかと思っていたら、二人は獣人に変化してしまい、本人も私もとても驚いた。
二人とも、純白の髪の、透き通るような白い肌の、とても綺麗な姿だった。
毛皮が無いので少し寒いらしく、震えていて、持っていた着替えの服をユキとシロに着せた。
獣人に変化したばかりは、四つ足で歩き、言葉も話せなかったが、何と無く意思の疎通が出来たので、次第に二本足で歩けるようになり、名前を呼ぶことは出来るようになっていった。
たどたどしく話すユキとシロが可愛かった。
何かのタイミングなのか、突然、結界が消えて、三人は狭間から出ることが出来た。
それからしばらくは、『風霊』も呼びに来なかったので、森の中で暮らした。
ユキが小動物を狩ってきて、リーンが捌いて調理し食したり、ユキ達も手があるので、今まで取れなかった木の実や、果実を集めてきて、乾燥しドライフルーツにしたりした。
夜はユキが獣化して、お腹に埋もれるように丸まって、シロと一緒に眠った。
とても暖かかった。
魔力が切れてくると、勝手に獣化が始まり、リーンが魔力の血と体液を与えた。
そんな生活がしばらく続き、『風使い』が呼びにきた。
嵐で倒れた木が、川の水を塞き止めて、水浸しになっている。と、このままだと、木を支える土がたくさん流れだし、地盤が緩んでしまう、と。
なるべく森の中を移動するが、森の中で、白獣の姿は人目に付いてしまうので、二人を連れていく分けにもいかず、御守りの耳飾りを着け、別れたのだ。
その後、この場所から離れた所への移動が多く、ココへは来れなかった。
その最中に、守護の魔法が弾けたのだ。
あの時、結界の狭間があって、この奥には行けなかった。
だが今、また、結界が消えている…。
『追跡』の鳥も、この奥を示した。
リーンはまだ、入った事の無い、森の奥へと足を進めた。
そこが、『魔女の森』だとは知らずに…。
リーンは立ち止まり、辺りを見回す。
なんだ?こんな感じは初めてだ。
ガラス玉を落として弾け飛んだような、悲しい痛み…。
何処かで、何かが起こった!?
「『検索起動』!」
リーンの足元に魔法陣が現れ、リーンを包むように、光輝く魔法陣の文字が幾つも現れ、一つ一つ確認していく。
何が弾けた?
リーンの作り出す魔法は、殆んど単独で機能し、使用し終わると消えていく。
なので、こんな風に、リーンにまで伝わることはない。
しばらく検索して、最近、二つ掛けた魔法の内の一つが、消滅している事に気付く。
「…ユキとシロ、…親子に掛けた…魔法」
リーンは真っ青になり、『検索起動』を解除すると山を降り始めた。
「耳飾りの魔法の最終到着点を示せ『追跡』」
小さな光る鳥が現れ、リーンの周囲をクルリと回ると、目的地に向かって飛び出し、リーンはそれを追って走り出した。
かつて一緒に行動を共にして暮らした、獣人のユキに掛けた魔法が消えた。
正確には獣人ではない。
出会った時は、純白の美しい白獣の獣だった。
リーンの魔力を含んだ血を舐めて、魔力を多く摂取したため、獣人の姿に変わったのだ。
元々、獣人の因子を持っていたのかも知れない。
こんな事は、始めてだった。
別れ際、獣人化させてしまった責任もあって、リーンは耳飾りに守護の魔法を掛け、二人に着けたのだ。
…それが、消えた…。
それが意味することを、考えたくは無かった。
リーンは白獣の親子と出会った、結界の狭間があった場所へたどり着いていた。
以前、出会ったとき、お互いに狭間に落ちて、リーンは魔法もうまく使えず、体力の限界がきていて、出られなくなっていた。
魔力の回復のため、木に寄りかかっているとき、白獣の親子と出会った。
空腹に、白獣の子供シロが、リーンに噛みつき、その血を舐め、親のユキも、噛みつき、そのまま食べられてしまうのかと思っていたら、二人は獣人に変化してしまい、本人も私もとても驚いた。
二人とも、純白の髪の、透き通るような白い肌の、とても綺麗な姿だった。
毛皮が無いので少し寒いらしく、震えていて、持っていた着替えの服をユキとシロに着せた。
獣人に変化したばかりは、四つ足で歩き、言葉も話せなかったが、何と無く意思の疎通が出来たので、次第に二本足で歩けるようになり、名前を呼ぶことは出来るようになっていった。
たどたどしく話すユキとシロが可愛かった。
何かのタイミングなのか、突然、結界が消えて、三人は狭間から出ることが出来た。
それからしばらくは、『風霊』も呼びに来なかったので、森の中で暮らした。
ユキが小動物を狩ってきて、リーンが捌いて調理し食したり、ユキ達も手があるので、今まで取れなかった木の実や、果実を集めてきて、乾燥しドライフルーツにしたりした。
夜はユキが獣化して、お腹に埋もれるように丸まって、シロと一緒に眠った。
とても暖かかった。
魔力が切れてくると、勝手に獣化が始まり、リーンが魔力の血と体液を与えた。
そんな生活がしばらく続き、『風使い』が呼びにきた。
嵐で倒れた木が、川の水を塞き止めて、水浸しになっている。と、このままだと、木を支える土がたくさん流れだし、地盤が緩んでしまう、と。
なるべく森の中を移動するが、森の中で、白獣の姿は人目に付いてしまうので、二人を連れていく分けにもいかず、御守りの耳飾りを着け、別れたのだ。
その後、この場所から離れた所への移動が多く、ココへは来れなかった。
その最中に、守護の魔法が弾けたのだ。
あの時、結界の狭間があって、この奥には行けなかった。
だが今、また、結界が消えている…。
『追跡』の鳥も、この奥を示した。
リーンはまだ、入った事の無い、森の奥へと足を進めた。
そこが、『魔女の森』だとは知らずに…。
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