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人魚の泉~海の魔法石~
水人族風の正装
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湯浴みをして、着替えさせられたリーンは、神殿で豪華な椅子に座り、まず集落フールシアの住民に崇められた。
深い藍色の袖の無い長い服を着て、腰を金の糸で細かい刺繍のされた太いベルトで絞められ、同じように刺繍のされた靴を履き、首や腕に黒真珠のネックレスやブレスレットを付けられ、透ける薄布を腕から肩にかけて羽織らされ、何度も梳かされた髪には、黒真珠の髪飾りを付けられた。
集落の魚人の女性達は、はしゃぎながら、飾り付け?をしていて、これでも、妥協してもらって、数を減らしてもらったのだ。
フールシアが選んだ、水人族風の正装だそうだ。
…一体、いつ着せるつもりだったんだよ!こんな派手なの!?
確か、カザンナ王国の王子と、謁見…話をするだけ、だったよな…?
リーンは仕方なく、豪華な椅子に座りながら、思い返していた。
側にはダレスが控えていて、満足そうにリーンを見ている。
「後で、フールシア様にも、見ていただかなくては」
「…。」
どうも、水中都市には連絡してあるみたいで、今は会議中の為、通信魔法に出れないそうだ。
通信魔法は、この神殿に唯一ある水中都市との連絡網なので、戻って来次第、通信が繋がるそうだ。
…もう、脱ぎたい…。
集落の住民達から崇められ終ると、カザンナ王国の王子の元に、迎えが行った。
豪華な椅子がもう一個用意され、到着を待つばかりだ。
リーンがドキドキしながら、待っていると、突然、水中都市との通信魔法が繋がった。
『リーン!』
神殿の側面にある、壁の鏡の中から、フールシアが叫んだ。
『美しいぞ!俺が選んだ衣装に間違いはない!もっと近くで見せてくれ!』
「…。」
リーンがダレスを見ると、『さあ、どうぞ』と、言わんばかりに、促される。
リーンは仕方なく、椅子から立ち上がり、鏡の前に立った。
『思った通り、白い肌が強調されて良い…。いつにも増して色気がある。化粧もしているのか?』
「…化粧はされた…」
『うん良い。艶のある赤い唇が、たまらない…。ダレス!着替えを手伝った者達に褒美を贈ろう』
…着変えさせて、褒美?
「ありがとうございます」
そう言って、ダレスは頭を下げる。
『ああ、このまま迎えに行って、連れ去りたい…』
「何言ってるんだ!仕事しろ!」
『恥じらいながら、頬を染め、脱がされるリーンが見たい…』
「フールシア!」
リーンが頬を染めて怒鳴ると、丁度、カザンナ王国のローレンスとルークが入室してきた所だった。
「…。」
リーンはため息をついて、椅子に座る。
部屋に入ったローレンスとルークは無言のまま、立ち尽くしていた。
動こうとしない二人を見て、鏡の方からフールシアが笑いなが声をかけてきた。
『リーンに見とれているのか?』
その声に、直ぐに反応したのはルークだった。
「ああ。綺麗だ…」
ルークにそう言われて、リーンは頬を染めた。
どうしよう…ドキドキする…。
『その衣装はリーンが、持っていろ。俺の加護を受けていると証明するのに、有った方が良い。リーンの事を何も知らない集落では、その姿が効果的だ』
加護を受けた証明が、この姿?
…意味がわからない…。
「…また、着なくてはいけないのか?」
リーンが、嫌そうな顔をすると、フールシアが笑う。
『俺の契約者だと威厳を示す為にも、着て欲しい』
「…わかった。どうしても着なくては、いけなくなったら着る」
ココは協定の事もあるから、無下に出来ない…。
『そうしてくれ』
「それより、後ろで書類を持って、睨んでる魚人がいるけど…。仕事しろ!」
通信魔法中のフールシアの背後に、側近か秘書がイライラとしている様子が、見えて気になっていた。
フールシアは苦笑いして、手を上げた。
『またな』
そう言って、通信魔法が切れた。
「…。」
ダレスが咳払いをして、ローレンスを豪華な椅子に促した。
「こちらへお座り下さい」
ローレンスが椅子に座ると、ルークが横に立ち、謁見…が、始まった。
深い藍色の袖の無い長い服を着て、腰を金の糸で細かい刺繍のされた太いベルトで絞められ、同じように刺繍のされた靴を履き、首や腕に黒真珠のネックレスやブレスレットを付けられ、透ける薄布を腕から肩にかけて羽織らされ、何度も梳かされた髪には、黒真珠の髪飾りを付けられた。
集落の魚人の女性達は、はしゃぎながら、飾り付け?をしていて、これでも、妥協してもらって、数を減らしてもらったのだ。
フールシアが選んだ、水人族風の正装だそうだ。
…一体、いつ着せるつもりだったんだよ!こんな派手なの!?
確か、カザンナ王国の王子と、謁見…話をするだけ、だったよな…?
リーンは仕方なく、豪華な椅子に座りながら、思い返していた。
側にはダレスが控えていて、満足そうにリーンを見ている。
「後で、フールシア様にも、見ていただかなくては」
「…。」
どうも、水中都市には連絡してあるみたいで、今は会議中の為、通信魔法に出れないそうだ。
通信魔法は、この神殿に唯一ある水中都市との連絡網なので、戻って来次第、通信が繋がるそうだ。
…もう、脱ぎたい…。
集落の住民達から崇められ終ると、カザンナ王国の王子の元に、迎えが行った。
豪華な椅子がもう一個用意され、到着を待つばかりだ。
リーンがドキドキしながら、待っていると、突然、水中都市との通信魔法が繋がった。
『リーン!』
神殿の側面にある、壁の鏡の中から、フールシアが叫んだ。
『美しいぞ!俺が選んだ衣装に間違いはない!もっと近くで見せてくれ!』
「…。」
リーンがダレスを見ると、『さあ、どうぞ』と、言わんばかりに、促される。
リーンは仕方なく、椅子から立ち上がり、鏡の前に立った。
『思った通り、白い肌が強調されて良い…。いつにも増して色気がある。化粧もしているのか?』
「…化粧はされた…」
『うん良い。艶のある赤い唇が、たまらない…。ダレス!着替えを手伝った者達に褒美を贈ろう』
…着変えさせて、褒美?
「ありがとうございます」
そう言って、ダレスは頭を下げる。
『ああ、このまま迎えに行って、連れ去りたい…』
「何言ってるんだ!仕事しろ!」
『恥じらいながら、頬を染め、脱がされるリーンが見たい…』
「フールシア!」
リーンが頬を染めて怒鳴ると、丁度、カザンナ王国のローレンスとルークが入室してきた所だった。
「…。」
リーンはため息をついて、椅子に座る。
部屋に入ったローレンスとルークは無言のまま、立ち尽くしていた。
動こうとしない二人を見て、鏡の方からフールシアが笑いなが声をかけてきた。
『リーンに見とれているのか?』
その声に、直ぐに反応したのはルークだった。
「ああ。綺麗だ…」
ルークにそう言われて、リーンは頬を染めた。
どうしよう…ドキドキする…。
『その衣装はリーンが、持っていろ。俺の加護を受けていると証明するのに、有った方が良い。リーンの事を何も知らない集落では、その姿が効果的だ』
加護を受けた証明が、この姿?
…意味がわからない…。
「…また、着なくてはいけないのか?」
リーンが、嫌そうな顔をすると、フールシアが笑う。
『俺の契約者だと威厳を示す為にも、着て欲しい』
「…わかった。どうしても着なくては、いけなくなったら着る」
ココは協定の事もあるから、無下に出来ない…。
『そうしてくれ』
「それより、後ろで書類を持って、睨んでる魚人がいるけど…。仕事しろ!」
通信魔法中のフールシアの背後に、側近か秘書がイライラとしている様子が、見えて気になっていた。
フールシアは苦笑いして、手を上げた。
『またな』
そう言って、通信魔法が切れた。
「…。」
ダレスが咳払いをして、ローレンスを豪華な椅子に促した。
「こちらへお座り下さい」
ローレンスが椅子に座ると、ルークが横に立ち、謁見…が、始まった。
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