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人魚の泉~海の魔法石~
『承認の証』の『構築』
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「朝から、何するんだよ…」
ぐったりとベッドに沈んだリーンは恨めしそうに、フールシアを見上げる。
「…ご褒美だと言っただろ」
「…。」
それより、本来の目的を忘れそうになる。
「水中都市の名代って、どう言うこと」
「…水人は地上に長時間いることが出来ない。だから俺の契約者であり加護を受けた、リーンが同行するのが良いからだ。お前なら、中立な立場で物事を見れるだろ」
実際そうなのだ。
水人族でもなく人族でもないから、一歩引いた視線から、状況を見ることが出来る…。
「…その言い訳に、乗ってあげる…」
リーンにとっても悪い話ではないから、断れない。
上手く丸め込めるように、断らないだろう言い訳を後から考えたのだろうけれど…。
「…海の魔法石…」
リーンは怠い身体を起こし、ベッドの上に、服と一緒に放り投げられたままの、巾着に入れた魔法石を取り出す。
「このままだと、持ちにくいから、身に付けれるくらい小さくして…」
「…ソレはリーンが、『構築』すれば良い」
フールシアは真剣な眼差してリーンを見る。
「…。」
「海の魔法石を、森の守護者であるリーンが『構築』する。ソレがどんな意味があるか分かるだろ?」
…水と木と大地と空の、最高の魔法具になる。
「…リーンが判断すれば良い。ソレを渡すのに相応しい人物か…」
私が、決める…。
「保有魔力は有るが、魔法が使えないと言っていたから、それが有れば簡単なものくらい使えるだろう。練習次第だが…」
…これが有れば、ルークは魔法が使える…。
「…どちらにしろ、ソレが『承認の証』だからな。一旦、渡すことになるだろう」
「…。」
そんな話をしていると、外がザワザワと騒がしくなったので、フールシアはベッドから降り、窓を開け外を覗いた。
「カザンナからの使者か?早い到着だな…」
リーンもベッドから降り、フールシアの横から外を覗く。
「そうみたいだね…」
ルークが驚いて、嬉しそうに話をしている…。
誰か、知り合いが来たのか?
リーンはその人物をじっと見て、気のせいかもしれないが、何となく見覚えがあった。
金髪で物腰の優しそうな、従者を連れている人物…。
「あっ!」
…思い出した。
何年も前に、土砂崩れで埋まった家の、取り残された家族を『保管移動』と言う魔法で、助け出した人だ!
埋まっている場所は感知できるけど、土砂を取り除いて貰わないといけなくって、彼が来たから協力して、助けることが出来た…あの時の…。
「見覚えが有るのか?」
「うん…」
あの後、彼らが来たのでもう大丈夫だろうと、すぐに森に戻ったのだ。
覚えているとしたら、会いたくはない…。
リーンは身体を拭い、服を着ていると、外からノックされ、ダレスが姿を現した。
やはり使者のようで、昼から集会所で、水中都市とカザンナ王国の協定を結ぶ手筈をするそうだ。
で、あの使者は、カザンナ王国の名代で、第一王子、ローレンスだと言うてはないか!!
ますます、姿を現すわけにはいかない…。
カザンナ王国の王族は、皆、こんな感じの者達ばかりなのか?
フールシアは集会所に向かった。
これで、彼の仕事も終わる。
リーンは海の魔法石を眺め、隣の、竜人の守護神の神殿に足を踏み入れた。
ココは、竜人の魔力に満ちている。
海の魔法石を両手で包み込み、目を閉じた。
「『フィールド転開』」
リーンの足元に複雑な文字の書かれた魔方陣が浮かび上がり、光を放つ。
「『構築』!!」
リーンの手元が淡い光を放ち始めた。
ぐったりとベッドに沈んだリーンは恨めしそうに、フールシアを見上げる。
「…ご褒美だと言っただろ」
「…。」
それより、本来の目的を忘れそうになる。
「水中都市の名代って、どう言うこと」
「…水人は地上に長時間いることが出来ない。だから俺の契約者であり加護を受けた、リーンが同行するのが良いからだ。お前なら、中立な立場で物事を見れるだろ」
実際そうなのだ。
水人族でもなく人族でもないから、一歩引いた視線から、状況を見ることが出来る…。
「…その言い訳に、乗ってあげる…」
リーンにとっても悪い話ではないから、断れない。
上手く丸め込めるように、断らないだろう言い訳を後から考えたのだろうけれど…。
「…海の魔法石…」
リーンは怠い身体を起こし、ベッドの上に、服と一緒に放り投げられたままの、巾着に入れた魔法石を取り出す。
「このままだと、持ちにくいから、身に付けれるくらい小さくして…」
「…ソレはリーンが、『構築』すれば良い」
フールシアは真剣な眼差してリーンを見る。
「…。」
「海の魔法石を、森の守護者であるリーンが『構築』する。ソレがどんな意味があるか分かるだろ?」
…水と木と大地と空の、最高の魔法具になる。
「…リーンが判断すれば良い。ソレを渡すのに相応しい人物か…」
私が、決める…。
「保有魔力は有るが、魔法が使えないと言っていたから、それが有れば簡単なものくらい使えるだろう。練習次第だが…」
…これが有れば、ルークは魔法が使える…。
「…どちらにしろ、ソレが『承認の証』だからな。一旦、渡すことになるだろう」
「…。」
そんな話をしていると、外がザワザワと騒がしくなったので、フールシアはベッドから降り、窓を開け外を覗いた。
「カザンナからの使者か?早い到着だな…」
リーンもベッドから降り、フールシアの横から外を覗く。
「そうみたいだね…」
ルークが驚いて、嬉しそうに話をしている…。
誰か、知り合いが来たのか?
リーンはその人物をじっと見て、気のせいかもしれないが、何となく見覚えがあった。
金髪で物腰の優しそうな、従者を連れている人物…。
「あっ!」
…思い出した。
何年も前に、土砂崩れで埋まった家の、取り残された家族を『保管移動』と言う魔法で、助け出した人だ!
埋まっている場所は感知できるけど、土砂を取り除いて貰わないといけなくって、彼が来たから協力して、助けることが出来た…あの時の…。
「見覚えが有るのか?」
「うん…」
あの後、彼らが来たのでもう大丈夫だろうと、すぐに森に戻ったのだ。
覚えているとしたら、会いたくはない…。
リーンは身体を拭い、服を着ていると、外からノックされ、ダレスが姿を現した。
やはり使者のようで、昼から集会所で、水中都市とカザンナ王国の協定を結ぶ手筈をするそうだ。
で、あの使者は、カザンナ王国の名代で、第一王子、ローレンスだと言うてはないか!!
ますます、姿を現すわけにはいかない…。
カザンナ王国の王族は、皆、こんな感じの者達ばかりなのか?
フールシアは集会所に向かった。
これで、彼の仕事も終わる。
リーンは海の魔法石を眺め、隣の、竜人の守護神の神殿に足を踏み入れた。
ココは、竜人の魔力に満ちている。
海の魔法石を両手で包み込み、目を閉じた。
「『フィールド転開』」
リーンの足元に複雑な文字の書かれた魔方陣が浮かび上がり、光を放つ。
「『構築』!!」
リーンの手元が淡い光を放ち始めた。
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