82 / 462
人魚の泉~海の魔法石~
無心に制作。
しおりを挟む
リーンが目覚めると、水上集落の見知った部屋に寝かされていた。
大きなベッドに一人…。
誰が一緒に眠っていた形跡はある。
それも、左右に…。
…ルークと、フールシアも一緒に眠っていたのか?
「…。」
リーンは昨日の事を思い出して、赤面した。
『魔力の交合』をして、魔力が満ちようとしている時に、別の…ルークの魔力を口にした。
魔力の過剰摂取に成りかねないと分かっていたのに、抗えなかった…。
どうして…何故…抗えなかったのだろう…。
考えても答えが出るわけがないので、リーンは身体を起こし、裸のままだったので、脱ぎ散らかしたままの服を拾い、身に着けた。
あの洞窟内を、丸ごと転移反転させたのか、服があって良かった。
転移反転は全く同じ、部屋の物質、ベッドやテーブルなどを、そのまま入れ替える魔法。
この部屋と洞窟の部屋は、ベッドの高さが違うけど、ソレ以外は全く一緒なので、そのまま入れ替えたのだろうが…脱ぎ捨てられて、ベッドの下に落ちた服まで転移してきているのだから、細やかな調整と魔力が必要だ。
それも、ルークとフールシアを含めて、三人の移動も同時にするのだから…さすが竜人族と、言うべきだろうか…。
起きたことに気付いたのか、扉がノックされ、魚人の女性が食事を持ってきてくれた。
お礼を言って受けとり、部屋内で食事を取り、この後どうしようか迷っていた。
…魔力は満ちた。
いつもなら、後の事はフールシアに任せて、集落から出ていく。
これ以上、私に出きることが無いから…。
けれど、今はルーク達がいる。
話が、水中都市とカザンナ王国の問題になり、今後、どうなっていくかは分からない。
状況が分からなかったので、部屋の外に出て、側にいた風霊に声をかける。
「『風霊』フールシアとルークはどこ?」
くるくると地上の集会所を示したので、二人とも話し合いになっているのだろうと察する。
…おとなしく、話し合いに応じているみたいだな…。
リーンは桟橋を渡り、馬車の有るテントの所へ戻って来ると、馬車を引いてくれた馬が一頭いなかった。
…誰か出掛けたのかも知れない。
しばらく考えて、湖に向かうと、『水球』と塩の結晶を作り、『天水球』を作った。
あれこれ考えるより、必要になるストックを作っていた方が、気が紛れる…。
リーンは、無心に成って作り始めた。
話し合いが終わったのか、ルークとアオが、リーンのいる馬車のもとに戻ってきた。
「お帰り」
リーンは微笑んで、二人を迎えた。
…ルークから、強い魔力を感じる。
これは…海の魔法石?
フールシアがルークに渡したのか?!
ソレは、竜人族の加護を受ける事と同じ…。
「海の魔法石。もらったんだね」
「ああ」
ルークは複雑そうに困惑して、返事した。
アオが夕食を作りながら、フールシアと話し合った事や、カザンナ王国にガーディを使者として書面を送ったこ事を聞かされた。
「…水中都市のフールシアの名代なんて、あり得ないよ…」
あいつ、何考えているんだ!
リーンは困惑してルークを見る。
「俺に言われてもな…。それが通行手形だと言われてしまえば、ソレ以上何も言えない…」
ルークは肩をすくめた。
ソレはそうだろう。
相手は水中都市を統べる主であり、水上集落の守護神なのだから…。
ここまで話が大きくなるとは思っていなかった。
ガーディを使者として送っのだから、数日中にこの件に関しての使者がやって来るだろう。
出来たら、会いたくはない。
益々、国に関わってしまうから…。
名代を撤回して貰わないと…。
フールシアも、分かっているはずなのに…。
「…後で、フールシアの所に行ってくる」
「…ソレは、明日にしような」
ルークが慌てて、リーンを引き留めた。
…そうだな。
もうすぐ、暗くなるし、水中都市の仕事も有るだろうから…。
「…わかった…」
ルークは、ため息をつくと、海の魔法石について、どうしたらいいか、相談してきた。
「承認の証だと言われても、無造作に持ち歩くのも不安だし、失くしそうで…」
「…持ちやすいように…小さくして貰う」
きっと無造作に渡したんだろうな…。
承認の証だなんて、きっと後から取って付けたみたいに考えたのだろう…。
祭壇に飾るならまだしも、持ち歩くのに魔法石のままなんて、邪魔になるだけ…。
「そんなことして貰って良いのか?」
良いんだって!
フールシアの気まぐれなんだから…。
「この際だよ。いろんな面倒な事をルークに押し付けたんだから、ソレくらいして貰わないと!」
フールシアは、リーンがソレをもって来ることを計算の上で、渡しているのかもしれない。と、思ったらイライラしてきた。
…こっちの方が有り得るな…。
そんなことを思っていると、ルークは苦笑いして答えた。
「俺は構わないんだが…。ソレで、水上集落の者達が平穏な生活が出きるなら…。貴重品の塩の結晶も手に入ることだし…」
そう。塩の結晶の売買も絡んだ取引になって、カザンナ王国にとっても、有益な事柄だろうが…。
水中都市の仕事として、と、言うのが気に入らないが、ルークが側にいる口実が出来たことに、リーンは少し嬉しかった。
大きなベッドに一人…。
誰が一緒に眠っていた形跡はある。
それも、左右に…。
…ルークと、フールシアも一緒に眠っていたのか?
「…。」
リーンは昨日の事を思い出して、赤面した。
『魔力の交合』をして、魔力が満ちようとしている時に、別の…ルークの魔力を口にした。
魔力の過剰摂取に成りかねないと分かっていたのに、抗えなかった…。
どうして…何故…抗えなかったのだろう…。
考えても答えが出るわけがないので、リーンは身体を起こし、裸のままだったので、脱ぎ散らかしたままの服を拾い、身に着けた。
あの洞窟内を、丸ごと転移反転させたのか、服があって良かった。
転移反転は全く同じ、部屋の物質、ベッドやテーブルなどを、そのまま入れ替える魔法。
この部屋と洞窟の部屋は、ベッドの高さが違うけど、ソレ以外は全く一緒なので、そのまま入れ替えたのだろうが…脱ぎ捨てられて、ベッドの下に落ちた服まで転移してきているのだから、細やかな調整と魔力が必要だ。
それも、ルークとフールシアを含めて、三人の移動も同時にするのだから…さすが竜人族と、言うべきだろうか…。
起きたことに気付いたのか、扉がノックされ、魚人の女性が食事を持ってきてくれた。
お礼を言って受けとり、部屋内で食事を取り、この後どうしようか迷っていた。
…魔力は満ちた。
いつもなら、後の事はフールシアに任せて、集落から出ていく。
これ以上、私に出きることが無いから…。
けれど、今はルーク達がいる。
話が、水中都市とカザンナ王国の問題になり、今後、どうなっていくかは分からない。
状況が分からなかったので、部屋の外に出て、側にいた風霊に声をかける。
「『風霊』フールシアとルークはどこ?」
くるくると地上の集会所を示したので、二人とも話し合いになっているのだろうと察する。
…おとなしく、話し合いに応じているみたいだな…。
リーンは桟橋を渡り、馬車の有るテントの所へ戻って来ると、馬車を引いてくれた馬が一頭いなかった。
…誰か出掛けたのかも知れない。
しばらく考えて、湖に向かうと、『水球』と塩の結晶を作り、『天水球』を作った。
あれこれ考えるより、必要になるストックを作っていた方が、気が紛れる…。
リーンは、無心に成って作り始めた。
話し合いが終わったのか、ルークとアオが、リーンのいる馬車のもとに戻ってきた。
「お帰り」
リーンは微笑んで、二人を迎えた。
…ルークから、強い魔力を感じる。
これは…海の魔法石?
フールシアがルークに渡したのか?!
ソレは、竜人族の加護を受ける事と同じ…。
「海の魔法石。もらったんだね」
「ああ」
ルークは複雑そうに困惑して、返事した。
アオが夕食を作りながら、フールシアと話し合った事や、カザンナ王国にガーディを使者として書面を送ったこ事を聞かされた。
「…水中都市のフールシアの名代なんて、あり得ないよ…」
あいつ、何考えているんだ!
リーンは困惑してルークを見る。
「俺に言われてもな…。それが通行手形だと言われてしまえば、ソレ以上何も言えない…」
ルークは肩をすくめた。
ソレはそうだろう。
相手は水中都市を統べる主であり、水上集落の守護神なのだから…。
ここまで話が大きくなるとは思っていなかった。
ガーディを使者として送っのだから、数日中にこの件に関しての使者がやって来るだろう。
出来たら、会いたくはない。
益々、国に関わってしまうから…。
名代を撤回して貰わないと…。
フールシアも、分かっているはずなのに…。
「…後で、フールシアの所に行ってくる」
「…ソレは、明日にしような」
ルークが慌てて、リーンを引き留めた。
…そうだな。
もうすぐ、暗くなるし、水中都市の仕事も有るだろうから…。
「…わかった…」
ルークは、ため息をつくと、海の魔法石について、どうしたらいいか、相談してきた。
「承認の証だと言われても、無造作に持ち歩くのも不安だし、失くしそうで…」
「…持ちやすいように…小さくして貰う」
きっと無造作に渡したんだろうな…。
承認の証だなんて、きっと後から取って付けたみたいに考えたのだろう…。
祭壇に飾るならまだしも、持ち歩くのに魔法石のままなんて、邪魔になるだけ…。
「そんなことして貰って良いのか?」
良いんだって!
フールシアの気まぐれなんだから…。
「この際だよ。いろんな面倒な事をルークに押し付けたんだから、ソレくらいして貰わないと!」
フールシアは、リーンがソレをもって来ることを計算の上で、渡しているのかもしれない。と、思ったらイライラしてきた。
…こっちの方が有り得るな…。
そんなことを思っていると、ルークは苦笑いして答えた。
「俺は構わないんだが…。ソレで、水上集落の者達が平穏な生活が出きるなら…。貴重品の塩の結晶も手に入ることだし…」
そう。塩の結晶の売買も絡んだ取引になって、カザンナ王国にとっても、有益な事柄だろうが…。
水中都市の仕事として、と、言うのが気に入らないが、ルークが側にいる口実が出来たことに、リーンは少し嬉しかった。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
迷える子羊少年と自称王様少年
ユー
BL
「その素晴らしい力オレの側にふさわしい、オレの家来になれ!」
「いや絶対嫌だから!」
的なやり取りから始まる
超能力が存在するSF(すこしふしぎ)な世界で普通になりたいと願う平凡志望の卑屈少年と
自分大好き唯我独尊王様気質の美少年との
出会いから始まるボーイミーツボーイ的な青春BL小説になってればいいなって思って書きました。
この作品は後々そういう関係になっていくのを前提として書いてはいますが、なんというかブロマンス?的な少年達の青春ものみたいなノリで読んで頂けるとありがたいです。

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる