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人魚の泉~海の魔法石~
海の魔法石
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ルークが目覚めると、木造の部屋の中だった。
かすかに水の動く音が聞こえる。
そして、柔らかいベッド、暖かい温もり…。
自分が何処にいるのか分からず、戸惑いながら身体を起こすと、横にリーンが眠っていて、その横に紺色の髪の男が身体を横たえていた。
「…。」
そうだ、昨日の夜、リーンが水竜に連れ去られ、自分も連れていかれて…欲情したリーンに身体が反応して…リーンが魔力の過剰摂取で倒れて、魔力を吸い取り、そのまま身体を横たえ眠った事を思い出す。
リーンの濡れた姿が脳裏に焼き付いて離れない…。
ルークは頭を振り、必死に打ち消そうとした。
「ココで、ぐっすり眠れるなど、いい根性しているな」
ルークはそう言われて、リーンの向こう側で片腕を立て頭を乗せて、こちらを見ている男が起きている事に気づいた。
「…。」
「ココは俺の気が満ちていて、緊張と重圧で、長時間いることが出来ない者がほとんどだぞ」
「…魔力を感じないからか…?」
「さあな。」
リーンを挟んで竜人とこんな風に話すことになるとは思いもしなかった。
「お前は、何者だ」
「…カザンナ王国の第三王子、ルーク・スレイヤード・カザンナ。…魔法の使えない剣士のルークだ」
「…だったら仕方ない…」
何が仕方ないのか分からないが、男はそう言って、身体を起こし、右手で握り拳を作り、青白い光を放った。
「…。」
光が収まると、握り拳を開き、藍色の魔法石を出現させた。
そしてそれをポンとルークに投げてきて、慌てて受け止める。
「海の魔法石だ。リーンを護るために使え」
ルークは驚いて、男を見る。
「まだ、認めたわけではないが、リーンが望み、側にいると言うなら、持っていて損はないだろう」
「…ありがとう…」
何か複雑な気持ちだったが、男が『リーンが望み』と、言った。
リーンは、側にいることを望んでくれているのだろうか…。
ルークはベッドから降りると、眠ったままのリーンが気がかりだったが、一度、部屋を出て、建物を振り返った。
そこは昨日、リーンが眠っていていた、守護神を祭っている神殿の隣の部屋だった。
…海の魔法石…を、もらってしまった…。
ルークは手のひらに握られた、魔法石を眺める。
これは本来、祭壇などに納められ、崇められる竜の守護石。
これを軽い気持ちで、くれた分けてはない筈だから、扱いに戸惑ってしまう。
後でリーンに、どうすればいいか相談しよう…。
朝日が昇り、辺り一面を明るく照らしている。
各家では、朝食の準備が始まっていて、いい匂いが漂ってきていた。
ルークは水上集落の桟橋を渡りながら、テントを建てて寝泊まりしている、馬車の方に足早に向かった。
昨夜、急に消えてしまったので、きっとアオとガーディが心配しているだろう…。
事の顛末を説明して…、色々省いて、今、リーンは水竜と共に、水上集落で眠っていると、うまく説明できるだろうか…。
察しの良いアオは、何が起こったのか気付いてしまうだろうが…。
不安を抱えたまま一夜を過ごしたアオとガーディと合流し、簡単に説明して、海の魔法石を見せ、アオは『高貴過ぎて触れない!』と、触れずに眺めていた。
アオは水の属性だから、どれだけスゴいものなのか感じ取れるのだろう。
朝食を食べながら、魚人達が言う主様が、あの竜人の事ならば、貯水槽の話を進めようと、今日の段取りが決まった。
かすかに水の動く音が聞こえる。
そして、柔らかいベッド、暖かい温もり…。
自分が何処にいるのか分からず、戸惑いながら身体を起こすと、横にリーンが眠っていて、その横に紺色の髪の男が身体を横たえていた。
「…。」
そうだ、昨日の夜、リーンが水竜に連れ去られ、自分も連れていかれて…欲情したリーンに身体が反応して…リーンが魔力の過剰摂取で倒れて、魔力を吸い取り、そのまま身体を横たえ眠った事を思い出す。
リーンの濡れた姿が脳裏に焼き付いて離れない…。
ルークは頭を振り、必死に打ち消そうとした。
「ココで、ぐっすり眠れるなど、いい根性しているな」
ルークはそう言われて、リーンの向こう側で片腕を立て頭を乗せて、こちらを見ている男が起きている事に気づいた。
「…。」
「ココは俺の気が満ちていて、緊張と重圧で、長時間いることが出来ない者がほとんどだぞ」
「…魔力を感じないからか…?」
「さあな。」
リーンを挟んで竜人とこんな風に話すことになるとは思いもしなかった。
「お前は、何者だ」
「…カザンナ王国の第三王子、ルーク・スレイヤード・カザンナ。…魔法の使えない剣士のルークだ」
「…だったら仕方ない…」
何が仕方ないのか分からないが、男はそう言って、身体を起こし、右手で握り拳を作り、青白い光を放った。
「…。」
光が収まると、握り拳を開き、藍色の魔法石を出現させた。
そしてそれをポンとルークに投げてきて、慌てて受け止める。
「海の魔法石だ。リーンを護るために使え」
ルークは驚いて、男を見る。
「まだ、認めたわけではないが、リーンが望み、側にいると言うなら、持っていて損はないだろう」
「…ありがとう…」
何か複雑な気持ちだったが、男が『リーンが望み』と、言った。
リーンは、側にいることを望んでくれているのだろうか…。
ルークはベッドから降りると、眠ったままのリーンが気がかりだったが、一度、部屋を出て、建物を振り返った。
そこは昨日、リーンが眠っていていた、守護神を祭っている神殿の隣の部屋だった。
…海の魔法石…を、もらってしまった…。
ルークは手のひらに握られた、魔法石を眺める。
これは本来、祭壇などに納められ、崇められる竜の守護石。
これを軽い気持ちで、くれた分けてはない筈だから、扱いに戸惑ってしまう。
後でリーンに、どうすればいいか相談しよう…。
朝日が昇り、辺り一面を明るく照らしている。
各家では、朝食の準備が始まっていて、いい匂いが漂ってきていた。
ルークは水上集落の桟橋を渡りながら、テントを建てて寝泊まりしている、馬車の方に足早に向かった。
昨夜、急に消えてしまったので、きっとアオとガーディが心配しているだろう…。
事の顛末を説明して…、色々省いて、今、リーンは水竜と共に、水上集落で眠っていると、うまく説明できるだろうか…。
察しの良いアオは、何が起こったのか気付いてしまうだろうが…。
不安を抱えたまま一夜を過ごしたアオとガーディと合流し、簡単に説明して、海の魔法石を見せ、アオは『高貴過ぎて触れない!』と、触れずに眺めていた。
アオは水の属性だから、どれだけスゴいものなのか感じ取れるのだろう。
朝食を食べながら、魚人達が言う主様が、あの竜人の事ならば、貯水槽の話を進めようと、今日の段取りが決まった。
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