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水中都市~フールシアの溺愛~ *リーンの過去編です*
訪来者と貯水槽
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嵐が過ぎ去り、数日後には、集落の貯水槽の計画がまとまり出した。
山から流れる川に、貯水槽を二ヵ所、作ることになった。
集落の北と南に有る川から水を引いて、少しなだらかな場所を平地にして、ソコに貯水槽を設置し、集落へと運び込む計画だ。
幸いにも、魔法で大地を整えれる者や、岩や岩石を変形して水路を作れる者が集落の獣人族の中にいて、彼等を中心に設置することになった。
しばらくは、フールシアが作った『水球』があるので、それで生活用水をまかなった。
水人たちは、リーンが作った『水球』に、興味を示し、作り方を教えた。
濁流の濁りの無くなった川下で、『水球』の練習が始まった。
うまく作れる者には、湖の塩分濃度の濃い水から、『水球』と、塩の分離の仕方を教え、大いに喜ばれた。
山間では、やはり塩は、貴重品らしい…。
ただ、問題は、フールシアだ。
相変わらず、夕方にやって来て、私の身体を貪って、明け方には水中都市に帰っていく…。
誰か止めてくれ!
…守護竜だから…止めれないか…。
そんな日が続いた、天気のいい昼過ぎ、昼食を食べて、集落の溜め池にする場所を確認するため、集会所から外に出ると、久しぶりに、懐かしい声を聞いた。
「リーン!」
振り向くと、金茶色の髪の豹耳の獣人、ヒイロが旅装束姿で、山を降りてくるところだった。
リーンは驚きと嬉しさに、駆け寄っていた。
「ヒイロ!」
ヒイロも山を駆け降り、リーンを抱きしめた。
「心配させるなよ…」
「ごめんなさい…」
リーンはヒイロに頭を擦り付けた。
やっぱりいい匂い…。
ぽかぽかお日様の匂い…。
「…リーン。海藻…臭いぞ。何やってるんだ?」
ヒイロはそう言って、身体を引き離す。
「ちょっと、いろいろあって…」
そう言って、背後の集落の住民達を見る。
彼等は、目の前で起こっていることに、驚きを隠せず目を見開いていた。
「そうだ!ヒイロは貯水槽の事、よく知っていいるよね!ココに作る計画を立てているんだけど、見てくれない!私では建築の事詳しく分からなくて…」
リーンは困ったように、顔を歪め、ヒイロに訴える。
「…かまわないが、集落のリーダーは誰だ。勝手に参加するわけにはいかないだろ?」
「そうだね。ちょうど、昼食終わったところだから、まだ、集会所の中にいるよ」
リーンは嬉しそうに、ヒイロと手を繋ぎ、集会所へと向かう。
「なんか、変な目で見られているが…」
ヒイロは、伺うような住民の様子に、警戒する。
「まぁ…いろいろあってね…」
リーンは苦笑いして、集会所の中へ入っていった。
ヒイロは集落のリーダーの承諾をえて、貯水槽計画に参加することになった。
森の獣人の町、グオルクの長の息子だということで、直ぐに承諾をされた。
もと、グオルク出身の者がいて、ヒイロの事を見知っていた者がいた、と言うのも有るだろう。
川に案内してくれた、狼の獣人が、グオルク出身だった。
「…リーン様って、聖域の…漆黒のリーン様…?」
そう言って、狼の獣人はポカンとしていた。
ヒイロの確認で、多少変更があったが、貯水槽作りが始まった。
山から流れる川に、貯水槽を二ヵ所、作ることになった。
集落の北と南に有る川から水を引いて、少しなだらかな場所を平地にして、ソコに貯水槽を設置し、集落へと運び込む計画だ。
幸いにも、魔法で大地を整えれる者や、岩や岩石を変形して水路を作れる者が集落の獣人族の中にいて、彼等を中心に設置することになった。
しばらくは、フールシアが作った『水球』があるので、それで生活用水をまかなった。
水人たちは、リーンが作った『水球』に、興味を示し、作り方を教えた。
濁流の濁りの無くなった川下で、『水球』の練習が始まった。
うまく作れる者には、湖の塩分濃度の濃い水から、『水球』と、塩の分離の仕方を教え、大いに喜ばれた。
山間では、やはり塩は、貴重品らしい…。
ただ、問題は、フールシアだ。
相変わらず、夕方にやって来て、私の身体を貪って、明け方には水中都市に帰っていく…。
誰か止めてくれ!
…守護竜だから…止めれないか…。
そんな日が続いた、天気のいい昼過ぎ、昼食を食べて、集落の溜め池にする場所を確認するため、集会所から外に出ると、久しぶりに、懐かしい声を聞いた。
「リーン!」
振り向くと、金茶色の髪の豹耳の獣人、ヒイロが旅装束姿で、山を降りてくるところだった。
リーンは驚きと嬉しさに、駆け寄っていた。
「ヒイロ!」
ヒイロも山を駆け降り、リーンを抱きしめた。
「心配させるなよ…」
「ごめんなさい…」
リーンはヒイロに頭を擦り付けた。
やっぱりいい匂い…。
ぽかぽかお日様の匂い…。
「…リーン。海藻…臭いぞ。何やってるんだ?」
ヒイロはそう言って、身体を引き離す。
「ちょっと、いろいろあって…」
そう言って、背後の集落の住民達を見る。
彼等は、目の前で起こっていることに、驚きを隠せず目を見開いていた。
「そうだ!ヒイロは貯水槽の事、よく知っていいるよね!ココに作る計画を立てているんだけど、見てくれない!私では建築の事詳しく分からなくて…」
リーンは困ったように、顔を歪め、ヒイロに訴える。
「…かまわないが、集落のリーダーは誰だ。勝手に参加するわけにはいかないだろ?」
「そうだね。ちょうど、昼食終わったところだから、まだ、集会所の中にいるよ」
リーンは嬉しそうに、ヒイロと手を繋ぎ、集会所へと向かう。
「なんか、変な目で見られているが…」
ヒイロは、伺うような住民の様子に、警戒する。
「まぁ…いろいろあってね…」
リーンは苦笑いして、集会所の中へ入っていった。
ヒイロは集落のリーダーの承諾をえて、貯水槽計画に参加することになった。
森の獣人の町、グオルクの長の息子だということで、直ぐに承諾をされた。
もと、グオルク出身の者がいて、ヒイロの事を見知っていた者がいた、と言うのも有るだろう。
川に案内してくれた、狼の獣人が、グオルク出身だった。
「…リーン様って、聖域の…漆黒のリーン様…?」
そう言って、狼の獣人はポカンとしていた。
ヒイロの確認で、多少変更があったが、貯水槽作りが始まった。
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