64 / 462
水中都市~フールシアの溺愛~ *リーンの過去編です*
訪来者と貯水槽
しおりを挟む
嵐が過ぎ去り、数日後には、集落の貯水槽の計画がまとまり出した。
山から流れる川に、貯水槽を二ヵ所、作ることになった。
集落の北と南に有る川から水を引いて、少しなだらかな場所を平地にして、ソコに貯水槽を設置し、集落へと運び込む計画だ。
幸いにも、魔法で大地を整えれる者や、岩や岩石を変形して水路を作れる者が集落の獣人族の中にいて、彼等を中心に設置することになった。
しばらくは、フールシアが作った『水球』があるので、それで生活用水をまかなった。
水人たちは、リーンが作った『水球』に、興味を示し、作り方を教えた。
濁流の濁りの無くなった川下で、『水球』の練習が始まった。
うまく作れる者には、湖の塩分濃度の濃い水から、『水球』と、塩の分離の仕方を教え、大いに喜ばれた。
山間では、やはり塩は、貴重品らしい…。
ただ、問題は、フールシアだ。
相変わらず、夕方にやって来て、私の身体を貪って、明け方には水中都市に帰っていく…。
誰か止めてくれ!
…守護竜だから…止めれないか…。
そんな日が続いた、天気のいい昼過ぎ、昼食を食べて、集落の溜め池にする場所を確認するため、集会所から外に出ると、久しぶりに、懐かしい声を聞いた。
「リーン!」
振り向くと、金茶色の髪の豹耳の獣人、ヒイロが旅装束姿で、山を降りてくるところだった。
リーンは驚きと嬉しさに、駆け寄っていた。
「ヒイロ!」
ヒイロも山を駆け降り、リーンを抱きしめた。
「心配させるなよ…」
「ごめんなさい…」
リーンはヒイロに頭を擦り付けた。
やっぱりいい匂い…。
ぽかぽかお日様の匂い…。
「…リーン。海藻…臭いぞ。何やってるんだ?」
ヒイロはそう言って、身体を引き離す。
「ちょっと、いろいろあって…」
そう言って、背後の集落の住民達を見る。
彼等は、目の前で起こっていることに、驚きを隠せず目を見開いていた。
「そうだ!ヒイロは貯水槽の事、よく知っていいるよね!ココに作る計画を立てているんだけど、見てくれない!私では建築の事詳しく分からなくて…」
リーンは困ったように、顔を歪め、ヒイロに訴える。
「…かまわないが、集落のリーダーは誰だ。勝手に参加するわけにはいかないだろ?」
「そうだね。ちょうど、昼食終わったところだから、まだ、集会所の中にいるよ」
リーンは嬉しそうに、ヒイロと手を繋ぎ、集会所へと向かう。
「なんか、変な目で見られているが…」
ヒイロは、伺うような住民の様子に、警戒する。
「まぁ…いろいろあってね…」
リーンは苦笑いして、集会所の中へ入っていった。
ヒイロは集落のリーダーの承諾をえて、貯水槽計画に参加することになった。
森の獣人の町、グオルクの長の息子だということで、直ぐに承諾をされた。
もと、グオルク出身の者がいて、ヒイロの事を見知っていた者がいた、と言うのも有るだろう。
川に案内してくれた、狼の獣人が、グオルク出身だった。
「…リーン様って、聖域の…漆黒のリーン様…?」
そう言って、狼の獣人はポカンとしていた。
ヒイロの確認で、多少変更があったが、貯水槽作りが始まった。
山から流れる川に、貯水槽を二ヵ所、作ることになった。
集落の北と南に有る川から水を引いて、少しなだらかな場所を平地にして、ソコに貯水槽を設置し、集落へと運び込む計画だ。
幸いにも、魔法で大地を整えれる者や、岩や岩石を変形して水路を作れる者が集落の獣人族の中にいて、彼等を中心に設置することになった。
しばらくは、フールシアが作った『水球』があるので、それで生活用水をまかなった。
水人たちは、リーンが作った『水球』に、興味を示し、作り方を教えた。
濁流の濁りの無くなった川下で、『水球』の練習が始まった。
うまく作れる者には、湖の塩分濃度の濃い水から、『水球』と、塩の分離の仕方を教え、大いに喜ばれた。
山間では、やはり塩は、貴重品らしい…。
ただ、問題は、フールシアだ。
相変わらず、夕方にやって来て、私の身体を貪って、明け方には水中都市に帰っていく…。
誰か止めてくれ!
…守護竜だから…止めれないか…。
そんな日が続いた、天気のいい昼過ぎ、昼食を食べて、集落の溜め池にする場所を確認するため、集会所から外に出ると、久しぶりに、懐かしい声を聞いた。
「リーン!」
振り向くと、金茶色の髪の豹耳の獣人、ヒイロが旅装束姿で、山を降りてくるところだった。
リーンは驚きと嬉しさに、駆け寄っていた。
「ヒイロ!」
ヒイロも山を駆け降り、リーンを抱きしめた。
「心配させるなよ…」
「ごめんなさい…」
リーンはヒイロに頭を擦り付けた。
やっぱりいい匂い…。
ぽかぽかお日様の匂い…。
「…リーン。海藻…臭いぞ。何やってるんだ?」
ヒイロはそう言って、身体を引き離す。
「ちょっと、いろいろあって…」
そう言って、背後の集落の住民達を見る。
彼等は、目の前で起こっていることに、驚きを隠せず目を見開いていた。
「そうだ!ヒイロは貯水槽の事、よく知っていいるよね!ココに作る計画を立てているんだけど、見てくれない!私では建築の事詳しく分からなくて…」
リーンは困ったように、顔を歪め、ヒイロに訴える。
「…かまわないが、集落のリーダーは誰だ。勝手に参加するわけにはいかないだろ?」
「そうだね。ちょうど、昼食終わったところだから、まだ、集会所の中にいるよ」
リーンは嬉しそうに、ヒイロと手を繋ぎ、集会所へと向かう。
「なんか、変な目で見られているが…」
ヒイロは、伺うような住民の様子に、警戒する。
「まぁ…いろいろあってね…」
リーンは苦笑いして、集会所の中へ入っていった。
ヒイロは集落のリーダーの承諾をえて、貯水槽計画に参加することになった。
森の獣人の町、グオルクの長の息子だということで、直ぐに承諾をされた。
もと、グオルク出身の者がいて、ヒイロの事を見知っていた者がいた、と言うのも有るだろう。
川に案内してくれた、狼の獣人が、グオルク出身だった。
「…リーン様って、聖域の…漆黒のリーン様…?」
そう言って、狼の獣人はポカンとしていた。
ヒイロの確認で、多少変更があったが、貯水槽作りが始まった。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして
ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる