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水中都市~フールシアの溺愛~ *リーンの過去編です*
嵐の後 2
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急に、川の水が手のひらサイズの丸い水滴となって、空中に浮き出し、次々と上空に登り始めた。
そして、それは空中で集まり、川にそって水が蛇行していき、水の道が空中に出現したのだ。
川の水はソコを通って下流に流れていく…。
…まるで水の蛇の様だ。
そんなことが出来るのは…。
「…フールシア…」
竜人族である彼くらいだ。
川にそって少し降りていくと、上空の蛇の川は、滝のように湖に流れ込んでいた。
そして、その側には、魔法を使って『水蛇』を作っているフールシアがいた。
さすが水竜…と、言うべきか…。
これだけの水を操ることなんて、さすがに私でも出来ない。
後を追いかけて降りてきた獣人も、その様子を見て、
「さすが竜人様だ…」
尊敬の目を向けていた。
ちゃんとしていれば、尊敬されるだろう…。
ただ、私の場合は…色々と有りすぎた。
まあ、今はいい…。
離れていても、水上集落の事を守護しているのだと。
それを感じさせてくれた。
この竜人族の…フールシアの凄さに、無意識に微笑んでいた。
一旦、水の流れが収まると、フールシアがリーンに近付いて来たので、『風使い』は怯えて、リーンを地上に降ろした。
それに気付いたリーンはお礼を言って、魔力を与える。
『風使い』は微笑んで、姿を消した。
近付いたフールシアは、リーンを抱きしめてきた。
くっ、苦しい…。
やはり、何を考えているのか分からない…。
「離せっ!」
もがいて、フールシアの腕から抜き出ると、湖沿いに、集落に向かって歩きだした。
その後をフールシアと、狼の獣人が付いてくる。
確か、水場が流されたと言っていた。
どういう状況なのか確認して、対策を取らないと…。
やらなくてはいけない事は、たくさん有った。
『水球』の側にいた『水使い』にも、お礼を言って魔力をあげると、微笑んで、リーンの背後のフールシアに驚いて、慌てて水中に戻っていった。
「…。」
びっくりしたんだろうな…。
こんな所に、水竜がいるなんて、思いもしないだろう。
リーンは集落の住民のもとに行き、話を聞くと、水場まで、毎日水を汲みに行っていたらしい。
ここの湖は塩分濃度が濃い為に、生活用水としては使えなく、山から流れてくる水を使っていたそうだ。
それなら、と、リーンは貯水槽の提案をした。
山岳地域の、遠方から水を引いてくるパイプと水溜を、集落まで引けば、水汲みに行かなくても使える方法だ。
ココは水場にも近いから、貯水槽は一個で大丈夫だろう。
ただ、今回のように、流される可能性があるので、反対側の川からも水を引いてくる事を進めた。
集落の住民と話し合いをしている間、フールシアは暇そうに、リーンの髪を触ったり腕に触ったり、終いにはリーンの背中に寄りかかってきたのだ。
「邪魔!」
竜人としての威厳が無くなってるぞ!
住民たちも、恐る恐る、緊張しながらチラリチラリと、視線を向けていた。
「…暇なら、外の『水球』を真水にしておいて。しばらくは、この集落の生活用水として、使うことになるから」
フールシアはリーンの髪に口付けると、やれやれと、立ち上がった。
「そうそう、使いやすいように、手のひらサイズに小分けしておいて!」
フールシアは苦笑いして、外に向かった。
守護神の水竜だろうと、使える者は使う!
細かく言って、しっかり働いてもらわないと…。
これでゆっくり今後の、貯水槽の計画の話が出来る。
リーンはため息を付きながら、話を進めた。
そして、それは空中で集まり、川にそって水が蛇行していき、水の道が空中に出現したのだ。
川の水はソコを通って下流に流れていく…。
…まるで水の蛇の様だ。
そんなことが出来るのは…。
「…フールシア…」
竜人族である彼くらいだ。
川にそって少し降りていくと、上空の蛇の川は、滝のように湖に流れ込んでいた。
そして、その側には、魔法を使って『水蛇』を作っているフールシアがいた。
さすが水竜…と、言うべきか…。
これだけの水を操ることなんて、さすがに私でも出来ない。
後を追いかけて降りてきた獣人も、その様子を見て、
「さすが竜人様だ…」
尊敬の目を向けていた。
ちゃんとしていれば、尊敬されるだろう…。
ただ、私の場合は…色々と有りすぎた。
まあ、今はいい…。
離れていても、水上集落の事を守護しているのだと。
それを感じさせてくれた。
この竜人族の…フールシアの凄さに、無意識に微笑んでいた。
一旦、水の流れが収まると、フールシアがリーンに近付いて来たので、『風使い』は怯えて、リーンを地上に降ろした。
それに気付いたリーンはお礼を言って、魔力を与える。
『風使い』は微笑んで、姿を消した。
近付いたフールシアは、リーンを抱きしめてきた。
くっ、苦しい…。
やはり、何を考えているのか分からない…。
「離せっ!」
もがいて、フールシアの腕から抜き出ると、湖沿いに、集落に向かって歩きだした。
その後をフールシアと、狼の獣人が付いてくる。
確か、水場が流されたと言っていた。
どういう状況なのか確認して、対策を取らないと…。
やらなくてはいけない事は、たくさん有った。
『水球』の側にいた『水使い』にも、お礼を言って魔力をあげると、微笑んで、リーンの背後のフールシアに驚いて、慌てて水中に戻っていった。
「…。」
びっくりしたんだろうな…。
こんな所に、水竜がいるなんて、思いもしないだろう。
リーンは集落の住民のもとに行き、話を聞くと、水場まで、毎日水を汲みに行っていたらしい。
ここの湖は塩分濃度が濃い為に、生活用水としては使えなく、山から流れてくる水を使っていたそうだ。
それなら、と、リーンは貯水槽の提案をした。
山岳地域の、遠方から水を引いてくるパイプと水溜を、集落まで引けば、水汲みに行かなくても使える方法だ。
ココは水場にも近いから、貯水槽は一個で大丈夫だろう。
ただ、今回のように、流される可能性があるので、反対側の川からも水を引いてくる事を進めた。
集落の住民と話し合いをしている間、フールシアは暇そうに、リーンの髪を触ったり腕に触ったり、終いにはリーンの背中に寄りかかってきたのだ。
「邪魔!」
竜人としての威厳が無くなってるぞ!
住民たちも、恐る恐る、緊張しながらチラリチラリと、視線を向けていた。
「…暇なら、外の『水球』を真水にしておいて。しばらくは、この集落の生活用水として、使うことになるから」
フールシアはリーンの髪に口付けると、やれやれと、立ち上がった。
「そうそう、使いやすいように、手のひらサイズに小分けしておいて!」
フールシアは苦笑いして、外に向かった。
守護神の水竜だろうと、使える者は使う!
細かく言って、しっかり働いてもらわないと…。
これでゆっくり今後の、貯水槽の計画の話が出来る。
リーンはため息を付きながら、話を進めた。
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