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人魚の泉~水上集落~
『水球』のシャワー 3
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空は薄暗くなってきているので、夕食の時間だ。
リーンと、ルーク、アオが案内されたのは、陸地の集落の中でも、大きい木造の家だった。
住民が集まって集会などを開くときに使う建物で、仕切りはあまり無く、広々としていた。
そこに、テーブルが置かれ、海産物中心の料理が並んでいて、山に上がっていた魚人達は、もう、酒を飲み料理を食べ始めていた。
「待てなくて、先に始めてるぞ」
そう言ったのは、少年を連れて山に上がって、『水球』を作っていた魚人族の男だった。
…すでに宴会は始まっていた。
三人は座らされ、次と、酒を注がれた。
「よく、やってくれた!」
と、注がれ、
「細っこいのに、すごい魔法だな!」
と、注がれ飲まされた。
リーンもアオも、ニコニコ笑いながら水のようにそれを飲む。
ルークは、参加していないので、ホッとしながら珍しい料理に手を伸ばして味わった。
「大丈夫なのか…」
魚人達の勢いが収まらないので、さすがに、心配になってきたルークが声を掛けてきた。
「飲んでみる?」
ルークは仕方ないな…と、コップを手渡され、一口飲む。
「…!!」
ルークは目を見張り、リーンを見る。
「大丈夫でしょ」
リーンは微笑んだ。
魔法で、お酒のアルコールを飛ばしているから、味付きの水だ。
アオも、きっと同じ事をしている…。
「そう言えば、さっき、あんた達が乗ってきた馬車から、湯気が出てたけど、あれは何をしていたんだ?」
最初に声を掛けてきた魚人の男が、そんな風に投げ掛けてきた。
彼がこの集落のリーダーだ。
「『水球』を使ったシャワーですよ。まだ、試作の段階とは、言ってたけど」
「『水球』の?」
魚人は興味深く、聞いてくる。
「…ルーク、話していいのか?」
リーンは、隣にいたルークに確認する。
まだ、試作と言っていたし、どこまで話していいのか、分からなかった。
「構わないよ。水人族の方が上手く扱えるだろう…」
「そうですね。改善方法を聞くのにはもってこいかも…」
ルークもアオも、どうしたら良くなるのか、そちらの方が先みたいだ。
二人の許可を得て、リーンは簡単に説明すると、興味を持った彼らは、明日、見せてくれと、言ってきた。
どうも、『水球』の扱いが、ただ、水を貯めて置くだけの、物だと思っていたらしい。
陸地に住む、他種族の者達も、水浴びでなく、シャワーが使える!と、目をキラキラさせて、こちらを見ている。
そうだよな…。
水人達は、湖でも構わないかもしれないけれど、水を貯めて、水浴びだけでは、物足りない種族もいるだろう…。
リーンは次いでだとばかりに、聞いた。
「…気になったんだけど。ここへ来る敷地内の道、整備されてなかったけど…どうして?」
「…あまり他種族に来てもらいたくないから…。ルールを知らず、湖に入る者がいるから…」
魚人は苦笑いして、そう答える。
「…。」
そう言うことか…。
道が悪ければ、よほどの用事が無い限り、諦めてしまう…。
馬車で、あの道は辛かった…。
「そうか…。だったら、検問場を作って管理するしか無いか…」
新たな貯水槽の事や、土砂崩れ防止の対策をここの住民だけでするには時間と労力が掛かりすぎる…。
その件に関しても、最終決断は竜人族のフールシアなのだ…。
何か、良い方法がないものか…。
馬車に帰ったら、相談してみよう…。
リーンと、ルーク、アオは集落から、一人分の食事を分けてもらい、馬車へと帰ってきた。
さすがに、泊めてもらうわけにもいかないし、泊めてくれる場所もない。
馬車の回りには、一人用のテントが作られていて、休む準備も出来ていた。
至れり尽くせりである。
そして、リーンは相談した。
貯水槽のこと、土砂崩れ防止の対策のこと。
そして、夜は更けていった。
リーンと、ルーク、アオが案内されたのは、陸地の集落の中でも、大きい木造の家だった。
住民が集まって集会などを開くときに使う建物で、仕切りはあまり無く、広々としていた。
そこに、テーブルが置かれ、海産物中心の料理が並んでいて、山に上がっていた魚人達は、もう、酒を飲み料理を食べ始めていた。
「待てなくて、先に始めてるぞ」
そう言ったのは、少年を連れて山に上がって、『水球』を作っていた魚人族の男だった。
…すでに宴会は始まっていた。
三人は座らされ、次と、酒を注がれた。
「よく、やってくれた!」
と、注がれ、
「細っこいのに、すごい魔法だな!」
と、注がれ飲まされた。
リーンもアオも、ニコニコ笑いながら水のようにそれを飲む。
ルークは、参加していないので、ホッとしながら珍しい料理に手を伸ばして味わった。
「大丈夫なのか…」
魚人達の勢いが収まらないので、さすがに、心配になってきたルークが声を掛けてきた。
「飲んでみる?」
ルークは仕方ないな…と、コップを手渡され、一口飲む。
「…!!」
ルークは目を見張り、リーンを見る。
「大丈夫でしょ」
リーンは微笑んだ。
魔法で、お酒のアルコールを飛ばしているから、味付きの水だ。
アオも、きっと同じ事をしている…。
「そう言えば、さっき、あんた達が乗ってきた馬車から、湯気が出てたけど、あれは何をしていたんだ?」
最初に声を掛けてきた魚人の男が、そんな風に投げ掛けてきた。
彼がこの集落のリーダーだ。
「『水球』を使ったシャワーですよ。まだ、試作の段階とは、言ってたけど」
「『水球』の?」
魚人は興味深く、聞いてくる。
「…ルーク、話していいのか?」
リーンは、隣にいたルークに確認する。
まだ、試作と言っていたし、どこまで話していいのか、分からなかった。
「構わないよ。水人族の方が上手く扱えるだろう…」
「そうですね。改善方法を聞くのにはもってこいかも…」
ルークもアオも、どうしたら良くなるのか、そちらの方が先みたいだ。
二人の許可を得て、リーンは簡単に説明すると、興味を持った彼らは、明日、見せてくれと、言ってきた。
どうも、『水球』の扱いが、ただ、水を貯めて置くだけの、物だと思っていたらしい。
陸地に住む、他種族の者達も、水浴びでなく、シャワーが使える!と、目をキラキラさせて、こちらを見ている。
そうだよな…。
水人達は、湖でも構わないかもしれないけれど、水を貯めて、水浴びだけでは、物足りない種族もいるだろう…。
リーンは次いでだとばかりに、聞いた。
「…気になったんだけど。ここへ来る敷地内の道、整備されてなかったけど…どうして?」
「…あまり他種族に来てもらいたくないから…。ルールを知らず、湖に入る者がいるから…」
魚人は苦笑いして、そう答える。
「…。」
そう言うことか…。
道が悪ければ、よほどの用事が無い限り、諦めてしまう…。
馬車で、あの道は辛かった…。
「そうか…。だったら、検問場を作って管理するしか無いか…」
新たな貯水槽の事や、土砂崩れ防止の対策をここの住民だけでするには時間と労力が掛かりすぎる…。
その件に関しても、最終決断は竜人族のフールシアなのだ…。
何か、良い方法がないものか…。
馬車に帰ったら、相談してみよう…。
リーンと、ルーク、アオは集落から、一人分の食事を分けてもらい、馬車へと帰ってきた。
さすがに、泊めてもらうわけにもいかないし、泊めてくれる場所もない。
馬車の回りには、一人用のテントが作られていて、休む準備も出来ていた。
至れり尽くせりである。
そして、リーンは相談した。
貯水槽のこと、土砂崩れ防止の対策のこと。
そして、夜は更けていった。
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