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人魚の泉~水上集落~
『水球』のシャワー 2
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リーンは着替えて、試作のシャワールームから出ようとすると、ルークに抱えあげられた。
「ちょっと!ルーク!」
「裸足のままだろ」
「…。」
誰も見てないけど、ちょっと恥ずかしい…。
そして、そのまま馬車の荷台に乗せられた。
「代わりの靴は有るのか?」
「…有るよ」
「…濡れた髪も、乾かせよ…」
「…うん」
リーンはふわりと風を動かし、濡れた漆黒の髪が乾いて、左耳に付けた金色の耳飾りがキラリと光る。
「…。」
ルークは何か言いたげだったが、アオがシャワーを浴びるため、やって来たので口を閉じた。
「リーン。上手く出来なかったら、調整して!少しづつなんて、出来るかな…」
そう言って幕を張ったシャワールームに、入っていった。
しばらく、ごそごそ音がして、水が流れ出した。
「ギャー!」
アオの悲鳴と、大量の水音が聞こえ、ルークと顔を見合わせる。
「…。」
水音が止まり、ずぶ濡れになったアオが、幕から顔を覗かせ、しょんぼりとしている。
「…リーン。バケツで水をかけられた、みたいになる…。水を調整して…」
「…いいよ。止めて欲しくなったら言ってね」
リーンは微笑んで、『水球』のシャワーのお湯を落とした。
「…これは良いね」
アオの嬉しそうな声が中からきこえてくる。
「アオ!自分で出来るようになれよ!」
「分かってるって!」
幕越しにアオの声が響く。
「これなら遠征に行った時でも、シャワーを使えるから、嬉しいかも!」
「ガーディのお手柄だな。上手く『水球』が活用される」
「そう言って頂けると、嬉です」
馬車の馬に、餌を与えていたガーディが、荷台側に戻ってきて、嬉しそうに笑顔を向けてきた。
「リーンさんからもらった『魔法石』のおかげです。温度調整をした魔方陣を『水球』に細かく巻き付けれるのは…」
「お湯止めて下さい」
アオが幕の中から声を掛けてきたので、お湯を止める。
しばらくすると、中から再び声がして、
「…あの、俺にはタオルとか、服を持ってきてもらえないんですか…」
さっきの見てたんだ…。
見られていたかと思うと、頬が赤くなりうつ向く。
「…。」
そんな様子を見ていたガーディが、クスリと苦笑いして、
「はい。いま、持っていきます。ちょっと待ってください」
と、馬車の中へ入って、タオルとアオのカバンを持って、シャワールームのアオに手渡した。
「ありがとう、ガーディ!」
アオも着替えて、外に出てくると、リーンにお願いしてくる。
「俺の髪も、乾かして!」
「いいよ」
リーンは微笑んで、風を動かしアオの髪も、乾かす。
「リーンに、甘え過ぎ!」
ルークはアオを睨み、アオは肩をすくめて笑う。
「いいじゃないですか。こんな時ぐらい…」
「まあ、まあ、それより、魚人族の家に行くんでしょ。…俺はこのまま、馬車にいますね」
ガーディは、シャワールームから、二人の濡れた服を入れたカゴを持って、話を遮る。
「いいのか?」
「何もないと思いますが、馬達も少し休めさせてあげたいですし…」
ハッキリ言わないが、ガーディは確か、人が多いのは苦手だった。
「…後で、差し入れ持ってくる」
アオがそう言うと、ガーディは微笑んだ。
「よろしくお願いたします」
ガーディは、シャワールームに取り付けた『水球』を外し、アオに渡した。
「これ、バケツに入れてくれるかな。洗っておくから…」
アオは「それなら…」と、『水球』を解除して、バケツに残りのお湯を入れた。
リーンと、ルーク、アオは水人族の陸地の集落に向かった。
住民にとって最大の危機は逃れたので、ホッとしているのもあるだろう。
我々を、食事に招くのだから…。
だが、再び起こらないよう、壁を強化して補強する必要がある。
北の貯水槽をどうするか、と、言うことも…。
竜人族のフールシアには、会いたくないが…。
…しばらくの、休息だな…。
「ちょっと!ルーク!」
「裸足のままだろ」
「…。」
誰も見てないけど、ちょっと恥ずかしい…。
そして、そのまま馬車の荷台に乗せられた。
「代わりの靴は有るのか?」
「…有るよ」
「…濡れた髪も、乾かせよ…」
「…うん」
リーンはふわりと風を動かし、濡れた漆黒の髪が乾いて、左耳に付けた金色の耳飾りがキラリと光る。
「…。」
ルークは何か言いたげだったが、アオがシャワーを浴びるため、やって来たので口を閉じた。
「リーン。上手く出来なかったら、調整して!少しづつなんて、出来るかな…」
そう言って幕を張ったシャワールームに、入っていった。
しばらく、ごそごそ音がして、水が流れ出した。
「ギャー!」
アオの悲鳴と、大量の水音が聞こえ、ルークと顔を見合わせる。
「…。」
水音が止まり、ずぶ濡れになったアオが、幕から顔を覗かせ、しょんぼりとしている。
「…リーン。バケツで水をかけられた、みたいになる…。水を調整して…」
「…いいよ。止めて欲しくなったら言ってね」
リーンは微笑んで、『水球』のシャワーのお湯を落とした。
「…これは良いね」
アオの嬉しそうな声が中からきこえてくる。
「アオ!自分で出来るようになれよ!」
「分かってるって!」
幕越しにアオの声が響く。
「これなら遠征に行った時でも、シャワーを使えるから、嬉しいかも!」
「ガーディのお手柄だな。上手く『水球』が活用される」
「そう言って頂けると、嬉です」
馬車の馬に、餌を与えていたガーディが、荷台側に戻ってきて、嬉しそうに笑顔を向けてきた。
「リーンさんからもらった『魔法石』のおかげです。温度調整をした魔方陣を『水球』に細かく巻き付けれるのは…」
「お湯止めて下さい」
アオが幕の中から声を掛けてきたので、お湯を止める。
しばらくすると、中から再び声がして、
「…あの、俺にはタオルとか、服を持ってきてもらえないんですか…」
さっきの見てたんだ…。
見られていたかと思うと、頬が赤くなりうつ向く。
「…。」
そんな様子を見ていたガーディが、クスリと苦笑いして、
「はい。いま、持っていきます。ちょっと待ってください」
と、馬車の中へ入って、タオルとアオのカバンを持って、シャワールームのアオに手渡した。
「ありがとう、ガーディ!」
アオも着替えて、外に出てくると、リーンにお願いしてくる。
「俺の髪も、乾かして!」
「いいよ」
リーンは微笑んで、風を動かしアオの髪も、乾かす。
「リーンに、甘え過ぎ!」
ルークはアオを睨み、アオは肩をすくめて笑う。
「いいじゃないですか。こんな時ぐらい…」
「まあ、まあ、それより、魚人族の家に行くんでしょ。…俺はこのまま、馬車にいますね」
ガーディは、シャワールームから、二人の濡れた服を入れたカゴを持って、話を遮る。
「いいのか?」
「何もないと思いますが、馬達も少し休めさせてあげたいですし…」
ハッキリ言わないが、ガーディは確か、人が多いのは苦手だった。
「…後で、差し入れ持ってくる」
アオがそう言うと、ガーディは微笑んだ。
「よろしくお願いたします」
ガーディは、シャワールームに取り付けた『水球』を外し、アオに渡した。
「これ、バケツに入れてくれるかな。洗っておくから…」
アオは「それなら…」と、『水球』を解除して、バケツに残りのお湯を入れた。
リーンと、ルーク、アオは水人族の陸地の集落に向かった。
住民にとって最大の危機は逃れたので、ホッとしているのもあるだろう。
我々を、食事に招くのだから…。
だが、再び起こらないよう、壁を強化して補強する必要がある。
北の貯水槽をどうするか、と、言うことも…。
竜人族のフールシアには、会いたくないが…。
…しばらくの、休息だな…。
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