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天水球
獣人のキリト ~葛藤 2~
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ルークが自暴自棄な考えになっていると、服を着た狼の獣人の男がそっと近付いて来た。
「あんた、それだけ保有魔力を持っているのに、なんでリーンと『魔力の交合』をしてやらない!!」
怒りに満ちた声だった。
『魔力の交合』は、互いに魔力を与えあって循環させ、熱を産み、最大限に魔力を高める方法…。
話には聞いている…。
…それが、身体を繋げる行為だと言うことも…。
「…。」
魔力を持っていると、知ったのは最近だ、と、言っても言い訳にしかならない…。
「リーンにとって、『魔力の交合』は治療だと言っていた…」
…『魔力の交合』は治療…?
獣人の男はじっと、ルークを見て首を傾げる。
「リーンが魅力的では無いのか?」
「…そんな…事はない…」
本人に自覚がないから困るが、魅力的に決まってる!
魔力や魔法に対しての熱心さ、時折見せる幼さ、すごい魔力を持っていて自分の事を後回しにする不安定さ、腕の中で頬を染め恥ずかしがる可愛らしさ…。
リーンへの独占欲混じりの感情がルークの中で渦巻いている。
「人族は面倒うだな。短命なのに時間の無駄使いをしている…。本能のままに動けば良いのに…」
獣人の男は呆れて肩をすくめる。
本能のままに…。
それは、俺には、許されない行為だ…。
「まあ、それで俺は首輪を付けられたけれど…」
獣人の男はポソリと呟く。
ルークは確認しておきたい事があった。
「…お前は、リーンの…恋人…なのか?」
ああいう行為をすると言う事は、恋人同士なのだろうと思うが、『リーンにとって、『魔力の交合』は治療』その言葉が気になって仕方がない…。
「恋人?…番の事か?…リーンは番にはなれない」
何故かホッとして、直ぐに苛立ちを覚えた。
「けれど、俺はリーンのモノ。リーンの望みを叶えるのが俺の役目…」
リーンの…モノだと!
それだけリーンと繋がりがあって、リーンの為の存在だと言いきる…この男が羨ましかった。
「…。」
俺はリーンの事をなにも知らない…。
魔力回復の為、数日間だけ滞在しているだけの関係…。
「リーンを連れて帰る…」
ルークは、意識を失っているだろうリーンをこのまま、獣人の男に渡したくなかった。
獣人の男は、アッサリと承諾した。
「…いいけど。リーンは、ずっとココに居ることは出来ないぜ。せいぜい残された時間を無駄に使うんだな…」
そう言って、獣人の男は森の中に消えていった。
ルークは先ほどの壁の方に行き、服を着て眠っているリーンを両手に抱え、温もりを感じながら屋敷へと向かった。
…キリトは気付いていた。
リーンと首輪で繋がっているからか、…だと…。
「あんた、それだけ保有魔力を持っているのに、なんでリーンと『魔力の交合』をしてやらない!!」
怒りに満ちた声だった。
『魔力の交合』は、互いに魔力を与えあって循環させ、熱を産み、最大限に魔力を高める方法…。
話には聞いている…。
…それが、身体を繋げる行為だと言うことも…。
「…。」
魔力を持っていると、知ったのは最近だ、と、言っても言い訳にしかならない…。
「リーンにとって、『魔力の交合』は治療だと言っていた…」
…『魔力の交合』は治療…?
獣人の男はじっと、ルークを見て首を傾げる。
「リーンが魅力的では無いのか?」
「…そんな…事はない…」
本人に自覚がないから困るが、魅力的に決まってる!
魔力や魔法に対しての熱心さ、時折見せる幼さ、すごい魔力を持っていて自分の事を後回しにする不安定さ、腕の中で頬を染め恥ずかしがる可愛らしさ…。
リーンへの独占欲混じりの感情がルークの中で渦巻いている。
「人族は面倒うだな。短命なのに時間の無駄使いをしている…。本能のままに動けば良いのに…」
獣人の男は呆れて肩をすくめる。
本能のままに…。
それは、俺には、許されない行為だ…。
「まあ、それで俺は首輪を付けられたけれど…」
獣人の男はポソリと呟く。
ルークは確認しておきたい事があった。
「…お前は、リーンの…恋人…なのか?」
ああいう行為をすると言う事は、恋人同士なのだろうと思うが、『リーンにとって、『魔力の交合』は治療』その言葉が気になって仕方がない…。
「恋人?…番の事か?…リーンは番にはなれない」
何故かホッとして、直ぐに苛立ちを覚えた。
「けれど、俺はリーンのモノ。リーンの望みを叶えるのが俺の役目…」
リーンの…モノだと!
それだけリーンと繋がりがあって、リーンの為の存在だと言いきる…この男が羨ましかった。
「…。」
俺はリーンの事をなにも知らない…。
魔力回復の為、数日間だけ滞在しているだけの関係…。
「リーンを連れて帰る…」
ルークは、意識を失っているだろうリーンをこのまま、獣人の男に渡したくなかった。
獣人の男は、アッサリと承諾した。
「…いいけど。リーンは、ずっとココに居ることは出来ないぜ。せいぜい残された時間を無駄に使うんだな…」
そう言って、獣人の男は森の中に消えていった。
ルークは先ほどの壁の方に行き、服を着て眠っているリーンを両手に抱え、温もりを感じながら屋敷へと向かった。
…キリトは気付いていた。
リーンと首輪で繋がっているからか、…だと…。
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