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天水球
眠り
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リーンが目覚めると、滞在している屋敷のベッドの上にいた。
あのまま、意識を失ったのだろう…。
ずぶ濡れになっていた服は着替えられており、ゆっくりと身体を起こす。
魔力の使いすぎで、少し目眩がする…。
部屋のテーブルに、籠に入った『天水球』が置かれていて、中は茶色く渦巻いていた。
浄化に、しばらくかかるだろうから、宿り木のミーネに預けるのが、安全だな…。
ベッドから降りて外を見ると、すっかり暗くなっていて、あれからだいぶん時間が経っているのだろう。
さすがにお腹が空いた…。
テーブルの上に籠に入った『天水球』だけでなく、皿に布を被せてある軽食に気付き、椅子に座った。
パンとソーセージ、蓋付のカップにはスープがあり、有りがたく頂くことにした。
お腹が満たされると、再び眠気が襲ってきて、メモを残し、ベッドへ潜り込んだ。
『アオとカズキの手が空いたら、教えて欲しい』と、メモに書いた。
『天水球』をミーネに預け、取り出す方法を彼らに教えておかなくては、いけないからだ。
水の属性のアオと、木の属性のカズキなら、ミーネも納得するだろう…。
そんな事を思いながら、再び眠りについた。
再び眠りから覚めると、日差しが部屋の中を明るく照らしていた。
昨日の夜と同じように、テーブルに食事が準備されていて、食事をするとシャワーを浴びた。
昨日の洪水の被害の対応で、皆、忙しいのだろう…。
いつもと違って、屋敷の中は静まり返っている。
リーンは籠に入った『天水球』を持って、外に出て、宿り木のミーネの元に向かった。
さすがに十個もあると重いが、生活魔法の軽量魔法を使って、軽くして運ぶ。
…今のルークには、コレすら使えないんだよな…。
ふと、そんな事を思い、頭を振り忘れることにした。
ミーネの所に行く為、訓練場を横切るが、いつもの騒がしい声もせず、誰もいない。
静かだ…。
木の葉の触れる音と、鳥の囀ずりが聞こえだけ…。
ミーネの元にたどり着き、籠を置いて、身体を横たえ目を閉じる。
すると、ミーネが姿を現し囁く。
『…直ぐに、魔力を回復させる方法に、気付いているのでしょう』
「…。」
…気付いている…。
『あなたが望まなければ…仕方ありませんが…』
…望んでいいのかわからない…。
「…ここは、居心地がいい…」
誤魔化すように、囁く。
『…時間は…かかりますよ』
「…離れがたい…」
何から離れがたいのか、気付かないふりをして、リーンは再び眠りについた。
あのまま、意識を失ったのだろう…。
ずぶ濡れになっていた服は着替えられており、ゆっくりと身体を起こす。
魔力の使いすぎで、少し目眩がする…。
部屋のテーブルに、籠に入った『天水球』が置かれていて、中は茶色く渦巻いていた。
浄化に、しばらくかかるだろうから、宿り木のミーネに預けるのが、安全だな…。
ベッドから降りて外を見ると、すっかり暗くなっていて、あれからだいぶん時間が経っているのだろう。
さすがにお腹が空いた…。
テーブルの上に籠に入った『天水球』だけでなく、皿に布を被せてある軽食に気付き、椅子に座った。
パンとソーセージ、蓋付のカップにはスープがあり、有りがたく頂くことにした。
お腹が満たされると、再び眠気が襲ってきて、メモを残し、ベッドへ潜り込んだ。
『アオとカズキの手が空いたら、教えて欲しい』と、メモに書いた。
『天水球』をミーネに預け、取り出す方法を彼らに教えておかなくては、いけないからだ。
水の属性のアオと、木の属性のカズキなら、ミーネも納得するだろう…。
そんな事を思いながら、再び眠りについた。
再び眠りから覚めると、日差しが部屋の中を明るく照らしていた。
昨日の夜と同じように、テーブルに食事が準備されていて、食事をするとシャワーを浴びた。
昨日の洪水の被害の対応で、皆、忙しいのだろう…。
いつもと違って、屋敷の中は静まり返っている。
リーンは籠に入った『天水球』を持って、外に出て、宿り木のミーネの元に向かった。
さすがに十個もあると重いが、生活魔法の軽量魔法を使って、軽くして運ぶ。
…今のルークには、コレすら使えないんだよな…。
ふと、そんな事を思い、頭を振り忘れることにした。
ミーネの所に行く為、訓練場を横切るが、いつもの騒がしい声もせず、誰もいない。
静かだ…。
木の葉の触れる音と、鳥の囀ずりが聞こえだけ…。
ミーネの元にたどり着き、籠を置いて、身体を横たえ目を閉じる。
すると、ミーネが姿を現し囁く。
『…直ぐに、魔力を回復させる方法に、気付いているのでしょう』
「…。」
…気付いている…。
『あなたが望まなければ…仕方ありませんが…』
…望んでいいのかわからない…。
「…ここは、居心地がいい…」
誤魔化すように、囁く。
『…時間は…かかりますよ』
「…離れがたい…」
何から離れがたいのか、気付かないふりをして、リーンは再び眠りについた。
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