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緑の館
森の湖 2 *
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滞在五日目。
森の奥の、敷地内の端にある湖へ、再びやって来ていた。
あまり誰も近寄らない、静かな場所だから、私にとってとても落ち着く場所…。
ここより山へ入って行けば、薬草や木の実などが点在している。
魔法石の欠片を…加工することの出来なかった欠片を袋に入れて持ってきていた。
一昨日みたいに、魔力を絞り取られないためにだ。
岸辺で服を脱ぎ、全裸になって魔法石の欠片の入った袋を手にする。
浅瀬に足を踏み入れると、早速、『水霊』が近寄ってきて、足に触りだす。
「もう、いたずらしないでくれよ…」
袋から魔法石の欠片をひと摘まみし、湖に落とす。
すると、水霊は足元から離れ、魔法石に集まる。
「魔法石の欠片を持ってきたから、この間みたいな事は止めてくれるかな…」
水面が跳ねる。
「誰にでも、してる訳じゃないよね…」
再び水面が跳ねる。
「…。」
大丈夫かな…。
ちょっと不安だが、欠片の入った袋を手に、湖の中に入り、中央まで泳ぐ。
そして、手を空中に付きだし、小さな魔方陣を作り出す。
「『空の石』」
空気がぐるぐるとうねり、手のひらに集まって収縮すると、透明な小さな石が現れる。
リーンはそれを口に含み湖の中へと潜っていった。
湖の中は小魚や水草が揺れ、相変わらず綺麗だな…。
そのまま湖底にまで行くと、欠片の入った袋を広げた。
そして、水霊に湖全体に欠片を散りばめてもらう。
微弱ながらも、湖全体に魔力が宿る。
こうして置けば、魔力が不足して欲しくて襲って来ることはない、はず…。
そんな事を思っていると、水霊が騒ぎ出した。
人が、湖に入ってきた!と。
リーンが岸辺に近付くと、服のまま湖の中を潜っている人がいた。
何で、服着たまま水の中にいるの?
リーンがその人に近付くと、金色の髪が揺れ…。
…ルーク!!
何してるんだ?!
リーンは、苦しそうに潜っているルークに近付くと、頬を掴み、唇を合わせ、口の中に有った『空の石』をルークの口の中に舌で押し込んだ。
ルークは目を見開き驚いて、口を開こうとして、空気が漏れ、慌てて口を閉じた。
リーンはため息を付き、水面へ泳いでいった。
リーンが水面に出て暫くすると、ルークが水面に顔を出し、濡れた金色の髪が、顔に張り付いていて、それをかき上げた。
「何やってるんだ!服のまま、水の中に入るなんて!」
ルークはバツが悪そうに顔を歪めた。
「…お前が…潜ったまま…上がって…来なかったから…沈んで…しまったのかと…」
「…。」
かといって、服のまま入るか!
「私には『空の石』が、有るから長時間水中に居れる…」
「…コレ…すごいな…」
ルークは口の中の『空の石』を舌で触る。
「…なぜ、付いてきた…」
「…リーンの見てる世界を、見たくなった」
リーンは再び、ため息をつく。
「…だったら、そう言えばいい。…取り敢えず、服を脱いで。水の抵抗で引っ張られるから…」
二人は岸辺に向かい、ルークだけが水から上がって、身体に張り付いた服を脱ぎだす。
その様子を、リーンはじっと見ていた。
着痩せするんだ…。
さすがに、剣を扱っているから筋肉の付き方が違う…。
バランスよく、隆起している…。
…何…見てるんだ…。
リーンは頬を赤らめる。
自分とは違う身体付きに…ドキドキする。
…何だろう…コレ…。
ルークは、下着を一枚履いたまま、再び、湖に入ってくる。
「…脱がないの?」
ルークは頬を染めてリーンを見る。
「脱げないんだよ!お前こそ、せめて下、履けよ!」
「…誰も居ないし…」
「今は俺がいる。…目のやり場に困るんだよ…」
「…。」
リーンは仕方がなく湖から上がり、ジョックストラップを履き、再び湖に入った。
ルークが何か言いたげに、じっとこっちを見ている。
けれど、何を言うでもなく背を向け、湖の中へ歩き出した。
そして、二人は湖の中心に向かって泳ぎ出した。
森の奥の、敷地内の端にある湖へ、再びやって来ていた。
あまり誰も近寄らない、静かな場所だから、私にとってとても落ち着く場所…。
ここより山へ入って行けば、薬草や木の実などが点在している。
魔法石の欠片を…加工することの出来なかった欠片を袋に入れて持ってきていた。
一昨日みたいに、魔力を絞り取られないためにだ。
岸辺で服を脱ぎ、全裸になって魔法石の欠片の入った袋を手にする。
浅瀬に足を踏み入れると、早速、『水霊』が近寄ってきて、足に触りだす。
「もう、いたずらしないでくれよ…」
袋から魔法石の欠片をひと摘まみし、湖に落とす。
すると、水霊は足元から離れ、魔法石に集まる。
「魔法石の欠片を持ってきたから、この間みたいな事は止めてくれるかな…」
水面が跳ねる。
「誰にでも、してる訳じゃないよね…」
再び水面が跳ねる。
「…。」
大丈夫かな…。
ちょっと不安だが、欠片の入った袋を手に、湖の中に入り、中央まで泳ぐ。
そして、手を空中に付きだし、小さな魔方陣を作り出す。
「『空の石』」
空気がぐるぐるとうねり、手のひらに集まって収縮すると、透明な小さな石が現れる。
リーンはそれを口に含み湖の中へと潜っていった。
湖の中は小魚や水草が揺れ、相変わらず綺麗だな…。
そのまま湖底にまで行くと、欠片の入った袋を広げた。
そして、水霊に湖全体に欠片を散りばめてもらう。
微弱ながらも、湖全体に魔力が宿る。
こうして置けば、魔力が不足して欲しくて襲って来ることはない、はず…。
そんな事を思っていると、水霊が騒ぎ出した。
人が、湖に入ってきた!と。
リーンが岸辺に近付くと、服のまま湖の中を潜っている人がいた。
何で、服着たまま水の中にいるの?
リーンがその人に近付くと、金色の髪が揺れ…。
…ルーク!!
何してるんだ?!
リーンは、苦しそうに潜っているルークに近付くと、頬を掴み、唇を合わせ、口の中に有った『空の石』をルークの口の中に舌で押し込んだ。
ルークは目を見開き驚いて、口を開こうとして、空気が漏れ、慌てて口を閉じた。
リーンはため息を付き、水面へ泳いでいった。
リーンが水面に出て暫くすると、ルークが水面に顔を出し、濡れた金色の髪が、顔に張り付いていて、それをかき上げた。
「何やってるんだ!服のまま、水の中に入るなんて!」
ルークはバツが悪そうに顔を歪めた。
「…お前が…潜ったまま…上がって…来なかったから…沈んで…しまったのかと…」
「…。」
かといって、服のまま入るか!
「私には『空の石』が、有るから長時間水中に居れる…」
「…コレ…すごいな…」
ルークは口の中の『空の石』を舌で触る。
「…なぜ、付いてきた…」
「…リーンの見てる世界を、見たくなった」
リーンは再び、ため息をつく。
「…だったら、そう言えばいい。…取り敢えず、服を脱いで。水の抵抗で引っ張られるから…」
二人は岸辺に向かい、ルークだけが水から上がって、身体に張り付いた服を脱ぎだす。
その様子を、リーンはじっと見ていた。
着痩せするんだ…。
さすがに、剣を扱っているから筋肉の付き方が違う…。
バランスよく、隆起している…。
…何…見てるんだ…。
リーンは頬を赤らめる。
自分とは違う身体付きに…ドキドキする。
…何だろう…コレ…。
ルークは、下着を一枚履いたまま、再び、湖に入ってくる。
「…脱がないの?」
ルークは頬を染めてリーンを見る。
「脱げないんだよ!お前こそ、せめて下、履けよ!」
「…誰も居ないし…」
「今は俺がいる。…目のやり場に困るんだよ…」
「…。」
リーンは仕方がなく湖から上がり、ジョックストラップを履き、再び湖に入った。
ルークが何か言いたげに、じっとこっちを見ている。
けれど、何を言うでもなく背を向け、湖の中へ歩き出した。
そして、二人は湖の中心に向かって泳ぎ出した。
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