神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
上 下
13 / 462
緑の館

魔法石

しおりを挟む
 リーンは魔法石の欠片を、ビー玉ぐらいの丸い形に成形した。
 その方が扱いやすく、魔力に馴染むからだ。
 浅い木製の箱に布を敷き、それらのサイズを別けて並べていく。
 小さ過ぎて、魔力の弱いものだけは袋に入れ、半分も終わらない内に、お昼だと呼びに来られてしまった。
 この分だと、今日中に終わらない…。


 午後からの訓練で、どこまで出きるようになったかを確認する。
 『空の壁』で器を作れたジェスは『水球』を作れる様になっていた。
 さすがだね…。
「ジェス。魔法石を選んで、コレを核に『水球』を作ってみて」
 アオが持ってきていた、浅い木の箱に入った魔法石を選び、再び『水球』を作り出す。
「…コレって…」
 ジェスはさっさとは違う感覚にリーンを見る。
「核が有れば『天水球』が作れるだろ」
 リーンは微笑んだ。
 ジェスは、魔法石の効果にちゃんと気付いた。
「後は、どれだけ中に溜め込むことが出きるか…。圧縮より多くの量が入るからね」
 ジェスは頷き、魔法石を核にした『水球』を手に取る。
 そして、近くに流れる小川に向かった。
 川からの水を溜める練習にだ。


 魔方陣を木の実に込める。を、やっていたカズキは、破裂しないようになっていた。
 なので、魔法石を選んでもらい、その魔法石の中に魔方陣を押し込めてもらう。
「幾つまで入るかわからないけど、回りの強化をあまりしなくても、覚えさせることが出きるから…」
 カズキは目を丸くして、すんなり押し込められるのを見ていた。
「あくまでも、補佐だから木の実で出きるように練習はしてね」
 これはどの属性でも出きるから、最終的に全員が練習していたみたいだ。
 なので全員に、出来上がっている、丸く加工した魔法石を選んでもらった。
 魔法石との相性があるし、どこまで使えるかは、わからない。
「一個選んで。コレが魔法を安定させるのを手伝ってくれるから…」
 それぞれに選んでもらって、再び練習に励んでもらう。
 …やっぱり優秀だね。
 完全に使いこなせれば、もう一個くらい使える様になるかも…。
 
 全員がそれぞれ、魔法石を使って練習し始めたので、魔法石の入った箱を手に、練習場の端へ向かった。
 そこには、ルークが居て全体の様子をうかがっていたからだ。
 リーンが近付くと、ルークも気付き、じっと見てくる。
「ルークはまだ、魔法石を選んで無いだろ」
「俺は…」
 ルークは少し戸惑いながら、魔法石を見る。
「一個、選んで…」
 ルークはじっと見つめ、ひとつに手を伸ばし、つまみ上げた。
「ふ~ん…。もう一個選んで」
 ルークは左手の、手のひらに魔法石を乗せ、再び魔法石を一個つまみ上げる。
「なるほど…。もう一個…」
 それを繰り返し、ルークの手元に五つの魔法石があった。
 無意識にだろうが、ちゃんとバランスよく選らんでる。
 これで、魔法が使えないのが、惜しい気もする。
 解読は苦手だからな…。
 ルークに掛けられた魔法は複雑すぎて、見えなかった。
 ああ、たぶん…なら、解読出来るかも…。
 ふと、一人の顔が浮かんだが、すぐに書き消した。
 あまり近づきたく無い場所だからな…。
 それより、コレを何にするか…。
「身に付けるとしたら、何が良い?」
「?」
 ルークが不思議そうにリーンを見る。
「この魔法石を身に付けるのに、ブレスレット、指輪、ネックレスとかなんだけど…」
「あまりそういうのは、身に付けないからな…」
 ルークは苦笑いし、魔法石をぐっと握る。
 すると、ほんのり淡く魔力が立ち上るのが見えた。
「…やっぱり魔法石が、掛けられた魔法を中和してくれる…」
 その言葉にルークはハッと顔を上げた。
 リーンは手を差し出し、ルークが選んだ魔法石を受け取って、別の入れ物に入れる。
「…苦手かも知れないけど、ブレスレットを作ってもらおう。それで、魔力の調整が出きるようになるかもしれない」
 そうすれば、少しずつ使える様になるかもしれない。
 基本的な魔法しか、使えないかも知れないけれど、全く使えないよりは良い…。
 生活していく上で、各所に魔法で操作する物がある。
 せめてそれだけでも使えるようになれば、気分的にも違うだろう…。
「…リーンは、なぜ、俺達にここまでしてくれる…」
 ルークは疑問に思ったことを口にする。
「なぜだろね…。もう暫く…ここに居るためかも…」
 リーンは苦笑いし、魔法石の入った箱を持って屋敷の方に、戻っていった。
 そう、自分でもわからないのだ…。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

けものとこいにおちまして

ゆきたな
BL
医者の父と大学教授の母と言うエリートの家に生まれつつも親の期待に応えられず、彼女にまでふられたカナタは目を覚ましたら洞窟の中で二匹の狼に挟まれていた。状況が全然わからないカナタに狼がただの狼ではなく人狼であると明かす。異世界で出会った人狼の兄弟。兄のガルフはカナタを自分のものにしたいと行動に出るが、カナタは近付くことに戸惑い…。ガルフと弟のルウと一緒にいたいと奔走する異種族ファミリー系BLストーリー。

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義

大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。 帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか? 国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

処理中です...