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緑の館
魔法道具部屋
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滞在四日目。
今日は訓練の日。
午前中、魔法剣を保管している部屋へ案内され、魔法道具が充実して置いていることに驚く。
魔法剣だけでなく、ナイフ、ランプなど、遠征用の魔法道具、魔法で保護された棚には魔法石が並んでいた。
普通は、団体生活をしているとはいえ、此処まで揃えられない。
いくら訓練の為とはいえ、一騎士団くらいの装備がある。
…どこかに所属の騎士団なのかもしれない。
聞きもしないから、知らないが…。
「こんな部屋、私に見せて良いのか?」
案内してきたルークとアオに訪ねる。
「…俺達とは、違う使い方が出来るかもしれない。と、思ったからな。使えそうなモノが有れば言ってくれ」
リーンは部屋の中を見回し、部屋の角に無造作に置かれた箱に目が止まった。
「あの箱の中身は?」
「あれは、魔法石を研磨する時にカットされた欠片だ。何かに使えるかと思って箱に仕舞ったまま、放置されている」
「見ても良い?」
ルークが頷き、リーンはホコリの被った箱を手に取り、ホコリを払って蓋を開け、目を輝かせた。
他の箱も開けてみて、ますます笑みが浮かぶ。
「すごいね…。これだけの質と量。なかなか集められないよ…」
リーンは興奮気味に微笑んだ。
魔法石を使いやすい大きさにしたり、道具に嵌め込むのにサイズをカットしたりする。
その時にカットされた破片は、あまり重要視されない。
同じ魔法石から作られているのだから、欠片でも魔力は宿っている。
だけど、使い道を見いだせないと、こうやって放置されるか、捨てられてしまう。
取っておいて有るだけ、ましな方だ。
「この欠片の箱、全部、部屋に運んでもいい?このままではつかえないから加工する!」
「アオ、持っていってやれ」
「はい。」
アオが箱を奥からも取り出して、テーブルに積んでいく。
かなりの量が有るみたいだ。
「魔力を使わない魔剣に出来そうなのは有るのか?」
ルークが真剣な表情で本題に入る。
リーンは部屋の中を見回すが、首を傾げる。
「ちょつと違うんだよね…。波長と言うか、波動が…ルークのモノじゃない…」
「…俺の?」
ルークは不思議そうに、首をかしげる。
ルークが使える魔法剣を作りたいのだから、ルークと相性の良い剣でなければならない…。
「使い手に合う剣でないと、威力を発揮出来ない…」
「…。」
ルークは少し考え、道具部屋のから通じる、隣にある部屋へ入って、アオを呼んだ。
「アオ…。鍵!」
「ルーク様…。」
アオは複雑そうな顔をして、ルークの後を追って隣の部屋に入る。
「だったら、これしか無いだろ…」
ルークの真剣な声が聞こえてきて、リーンも隣の部屋に行き、その奥に厳重に保管されたケースを目にする。
「俺の家に代々、引き継がれている魔法剣だ。ただ、誰も使いこなせなく、封印されたままになってる」
「…ルークの剣だよ…」
リーンはポソリと言う。
まだ、ケースの中に入ったままで剣を見ていない。
けれど、伝わる波動がルークのモノだと分かるだけ…。
「この剣…私が、預かって良いのか?」
「かまわない。ここに有っても宝の持ち腐れだ。…このままでは、使えないのだろう?」
「うん。使えない…」
魔法石の欠片と一緒で、手を加えてあげないと、使えない…。
大切な剣なのに、会ったばかりの私を信用してもらっている。と、思っても良いのだろうか…。
ならば、出来るだけの事はしてあげよう…。
魔力が消えて見えない、魔法が使えないルークの為に…。
今日は訓練の日。
午前中、魔法剣を保管している部屋へ案内され、魔法道具が充実して置いていることに驚く。
魔法剣だけでなく、ナイフ、ランプなど、遠征用の魔法道具、魔法で保護された棚には魔法石が並んでいた。
普通は、団体生活をしているとはいえ、此処まで揃えられない。
いくら訓練の為とはいえ、一騎士団くらいの装備がある。
…どこかに所属の騎士団なのかもしれない。
聞きもしないから、知らないが…。
「こんな部屋、私に見せて良いのか?」
案内してきたルークとアオに訪ねる。
「…俺達とは、違う使い方が出来るかもしれない。と、思ったからな。使えそうなモノが有れば言ってくれ」
リーンは部屋の中を見回し、部屋の角に無造作に置かれた箱に目が止まった。
「あの箱の中身は?」
「あれは、魔法石を研磨する時にカットされた欠片だ。何かに使えるかと思って箱に仕舞ったまま、放置されている」
「見ても良い?」
ルークが頷き、リーンはホコリの被った箱を手に取り、ホコリを払って蓋を開け、目を輝かせた。
他の箱も開けてみて、ますます笑みが浮かぶ。
「すごいね…。これだけの質と量。なかなか集められないよ…」
リーンは興奮気味に微笑んだ。
魔法石を使いやすい大きさにしたり、道具に嵌め込むのにサイズをカットしたりする。
その時にカットされた破片は、あまり重要視されない。
同じ魔法石から作られているのだから、欠片でも魔力は宿っている。
だけど、使い道を見いだせないと、こうやって放置されるか、捨てられてしまう。
取っておいて有るだけ、ましな方だ。
「この欠片の箱、全部、部屋に運んでもいい?このままではつかえないから加工する!」
「アオ、持っていってやれ」
「はい。」
アオが箱を奥からも取り出して、テーブルに積んでいく。
かなりの量が有るみたいだ。
「魔力を使わない魔剣に出来そうなのは有るのか?」
ルークが真剣な表情で本題に入る。
リーンは部屋の中を見回すが、首を傾げる。
「ちょつと違うんだよね…。波長と言うか、波動が…ルークのモノじゃない…」
「…俺の?」
ルークは不思議そうに、首をかしげる。
ルークが使える魔法剣を作りたいのだから、ルークと相性の良い剣でなければならない…。
「使い手に合う剣でないと、威力を発揮出来ない…」
「…。」
ルークは少し考え、道具部屋のから通じる、隣にある部屋へ入って、アオを呼んだ。
「アオ…。鍵!」
「ルーク様…。」
アオは複雑そうな顔をして、ルークの後を追って隣の部屋に入る。
「だったら、これしか無いだろ…」
ルークの真剣な声が聞こえてきて、リーンも隣の部屋に行き、その奥に厳重に保管されたケースを目にする。
「俺の家に代々、引き継がれている魔法剣だ。ただ、誰も使いこなせなく、封印されたままになってる」
「…ルークの剣だよ…」
リーンはポソリと言う。
まだ、ケースの中に入ったままで剣を見ていない。
けれど、伝わる波動がルークのモノだと分かるだけ…。
「この剣…私が、預かって良いのか?」
「かまわない。ここに有っても宝の持ち腐れだ。…このままでは、使えないのだろう?」
「うん。使えない…」
魔法石の欠片と一緒で、手を加えてあげないと、使えない…。
大切な剣なのに、会ったばかりの私を信用してもらっている。と、思っても良いのだろうか…。
ならば、出来るだけの事はしてあげよう…。
魔力が消えて見えない、魔法が使えないルークの為に…。
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