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緑の館
基礎訓練
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森のお屋敷に来た日は、『宿り木』のもとで眠っていた。
翌日には少し回復し、午前中はミーネのもとで眠り、昼から、約束どうり『守護の実』の説明をして、実際に簡単なモノを作ってみる事になった。
せっかくなのでカズキだけでなく、希望者を募ると殆どの訓練生達も集まった。
…アレは珍しい魔法みたいだ。
石を拾い説明をしながら実際に、空中にある水を中に閉じ込める。
「保冷石みたいに、冷却を閉じ込めるだけでなく、物質(水)を閉じ込める。だから、圧縮と強固な保護。圧縮出来なければ質量が大きいし、保護が弱ければ直ぐに壊れてしまう。これが基本」
そう言って、出来上がった水の石をカズキに渡す。
カズキがその石を左右にふると、中に水の圧力を感じ驚いて目を丸くし、隣にいたジェスに渡す。
「これって、簡単に作れるものではないだろ?」
「そうだね。属性によって違うから…」
リーンはしばらく考えた。
今、使えるモノを利用しての応用からかな…。
「そうだな…圧縮は後にして『空の壁』は使える?」
風の属性を扱えるジェスが頷く。
「それを小さな入れ物にして、水を入れ閉じる、と『水球』が出来る。その水を圧縮して大量に入れれば『天水球』になるんだけど…。まず、『水球』から…」
人数が多いので、属性ごとに説明をすることになった。
と、言っても、『空の壁』を作れる者と、大地の属性、木霊を扱える者だけだ。
どれだけの実力が有るか分からないし、得意な分野しか説明出来ないからだ。
『空の壁』を使えるメンバーだけを集め、実際に作って見せる。
「まず、『空の壁』でコップのような小さい入れ物を作る」
その状態で止め、作ってもらうと、五人中三人が入れ物を作れた。
あとの二人は、皿のようになってしまっている。
「実際は空中の水分とか、『水霊』に水を運んでもらうんだけど、今は、普通の水を入れて、丸く閉じ込める」
リーンは、空中の水分を中に集めて、閉じ込めた。
まるでシャボン玉のようにキラキラ輝き、中で水が揺れ、光の反射で小さな虹を作る。
「これが『水球』。これは覚えておくと良いよ。飲み水の確保が出来るから…」
そう言ってリーンは微笑んだ。
ジェスは何とか丸い球を作るが、弾いて壊れてしまう。
「…難しいですね…」
「初めてで、丸い球を作れれば上等だよ。あとは、練習次第だね」
やはりジェスに素質はある。
練習しだいで、直ぐにでも『天水球』を作り出せるようになるはず。
彼らにはそのまま練習してもらい、次はカズキと大地の属性、木霊を扱えるメンバーだけを集める。
「『守護の実』は難しいから、魔法を木の実に封じる。くらいが良いかな…」
リーンは小さな木の実を拾い、大地に魔方陣を書きだす。
「まずは『草の絨毯』。草の成長を促すモノを書いて、木の実を中央に置く。で、木の実にその魔方陣を張り付け、コーティングする」
実際に説明をしながら、作って見せる。
「そして、使い方は大地に木の実を置き、『草の絨毯』と、発動させる。覚えやすい言葉にしておいた方が良いよ」
そう言って、地面に木の実を置き、その周辺だけが柔らかい草が生えてきた。
「これは、野宿するとき地面が痛くないから便利だよ」
実用性の有るものばかり教えていく。
夜営や遠征などで、そう言ったものは省かれやすいからだ。
「…魔方陣を張り付け…中に押し込む…でも良いのか?」
カズキが魔方陣に木の実を置いて、質問してくる。
「それでも良いよ。必要なときに発動できれば良いだけだから…」
カズキは手をかざし、木の実の中に魔方陣を押し込んで行く。
それはリーンが入れているのと変わらないくらいのスピードで、木の実の中に吸い込まれていく。
「へ~っ」
感心して見ていると、すべての魔方陣が入った時、木の実が破裂して粉々になり、草が空中を舞った。
「…。」
カズキは茫然として、舞い落ちる草を見ている。
「多分、コーティングが遅かったか、薄かったかだよ。タイミングさえ合えば、出来るから」
リーンは楽しそうに笑う。
「昨日のメンバー、柔軟性があっていいね。きっと色々使えるようになる」
教えがいが有るのは久しぶりだ。
直ぐに吸収して、新たなる魔法を作ることが出来るようになるかもしれない。
滞在中は出来るだけ教えていこう。
そんな様子をルークとアオは、羨ましそうに見ている。
「いいな…。俺もなんか新しい技欲しい…」
アオは水属性な為、今回の説明には入れなかった。
魔法を使えないルークはもちろんの事…。
ただ、見ているしかなかった。
魔力不足だった昨日の様子から、一変して、楽しそうに笑顔を見せている。
ルークは、それが何故か悔しかった…。
翌日には少し回復し、午前中はミーネのもとで眠り、昼から、約束どうり『守護の実』の説明をして、実際に簡単なモノを作ってみる事になった。
せっかくなのでカズキだけでなく、希望者を募ると殆どの訓練生達も集まった。
…アレは珍しい魔法みたいだ。
石を拾い説明をしながら実際に、空中にある水を中に閉じ込める。
「保冷石みたいに、冷却を閉じ込めるだけでなく、物質(水)を閉じ込める。だから、圧縮と強固な保護。圧縮出来なければ質量が大きいし、保護が弱ければ直ぐに壊れてしまう。これが基本」
そう言って、出来上がった水の石をカズキに渡す。
カズキがその石を左右にふると、中に水の圧力を感じ驚いて目を丸くし、隣にいたジェスに渡す。
「これって、簡単に作れるものではないだろ?」
「そうだね。属性によって違うから…」
リーンはしばらく考えた。
今、使えるモノを利用しての応用からかな…。
「そうだな…圧縮は後にして『空の壁』は使える?」
風の属性を扱えるジェスが頷く。
「それを小さな入れ物にして、水を入れ閉じる、と『水球』が出来る。その水を圧縮して大量に入れれば『天水球』になるんだけど…。まず、『水球』から…」
人数が多いので、属性ごとに説明をすることになった。
と、言っても、『空の壁』を作れる者と、大地の属性、木霊を扱える者だけだ。
どれだけの実力が有るか分からないし、得意な分野しか説明出来ないからだ。
『空の壁』を使えるメンバーだけを集め、実際に作って見せる。
「まず、『空の壁』でコップのような小さい入れ物を作る」
その状態で止め、作ってもらうと、五人中三人が入れ物を作れた。
あとの二人は、皿のようになってしまっている。
「実際は空中の水分とか、『水霊』に水を運んでもらうんだけど、今は、普通の水を入れて、丸く閉じ込める」
リーンは、空中の水分を中に集めて、閉じ込めた。
まるでシャボン玉のようにキラキラ輝き、中で水が揺れ、光の反射で小さな虹を作る。
「これが『水球』。これは覚えておくと良いよ。飲み水の確保が出来るから…」
そう言ってリーンは微笑んだ。
ジェスは何とか丸い球を作るが、弾いて壊れてしまう。
「…難しいですね…」
「初めてで、丸い球を作れれば上等だよ。あとは、練習次第だね」
やはりジェスに素質はある。
練習しだいで、直ぐにでも『天水球』を作り出せるようになるはず。
彼らにはそのまま練習してもらい、次はカズキと大地の属性、木霊を扱えるメンバーだけを集める。
「『守護の実』は難しいから、魔法を木の実に封じる。くらいが良いかな…」
リーンは小さな木の実を拾い、大地に魔方陣を書きだす。
「まずは『草の絨毯』。草の成長を促すモノを書いて、木の実を中央に置く。で、木の実にその魔方陣を張り付け、コーティングする」
実際に説明をしながら、作って見せる。
「そして、使い方は大地に木の実を置き、『草の絨毯』と、発動させる。覚えやすい言葉にしておいた方が良いよ」
そう言って、地面に木の実を置き、その周辺だけが柔らかい草が生えてきた。
「これは、野宿するとき地面が痛くないから便利だよ」
実用性の有るものばかり教えていく。
夜営や遠征などで、そう言ったものは省かれやすいからだ。
「…魔方陣を張り付け…中に押し込む…でも良いのか?」
カズキが魔方陣に木の実を置いて、質問してくる。
「それでも良いよ。必要なときに発動できれば良いだけだから…」
カズキは手をかざし、木の実の中に魔方陣を押し込んで行く。
それはリーンが入れているのと変わらないくらいのスピードで、木の実の中に吸い込まれていく。
「へ~っ」
感心して見ていると、すべての魔方陣が入った時、木の実が破裂して粉々になり、草が空中を舞った。
「…。」
カズキは茫然として、舞い落ちる草を見ている。
「多分、コーティングが遅かったか、薄かったかだよ。タイミングさえ合えば、出来るから」
リーンは楽しそうに笑う。
「昨日のメンバー、柔軟性があっていいね。きっと色々使えるようになる」
教えがいが有るのは久しぶりだ。
直ぐに吸収して、新たなる魔法を作ることが出来るようになるかもしれない。
滞在中は出来るだけ教えていこう。
そんな様子をルークとアオは、羨ましそうに見ている。
「いいな…。俺もなんか新しい技欲しい…」
アオは水属性な為、今回の説明には入れなかった。
魔法を使えないルークはもちろんの事…。
ただ、見ているしかなかった。
魔力不足だった昨日の様子から、一変して、楽しそうに笑顔を見せている。
ルークは、それが何故か悔しかった…。
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