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出会って一年が過ぎていた
講習 *
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黒龍は、少し前から…、聖と遅い夏休みを過ごした後ぐらいから、大輔に言われて、パーティーなどの接待をする為の、姿勢や物腰、言葉使いなどのマナーを勉強しに行っていた。
車の免許を取ったときのように、平日、週二回くらいの講習だ。
慣れない姿勢と、言葉使い、気を抜けばすぐ、大股でドスドスと歩いてしまう。
…これも仕事の為…。
今までは、裏方に徹していて、表での接客はしていない。
…これからは、接客もしていかなくては、いけないのだろう。
その為の講習なのだから…。
…少し気が重い。
そんな講習を受けに行きだし、数ヵ月が立ち、外の気温が下がり、少し肌寒くなってきた頃…。
また、この時期がやって来た。
聖が、引っ付きたがって、甘えてくる季節。
俺としては嬉しいのだが…。
毎年恒例の、新年会が近付いて来たからだ。
「…クロ…」
甘えた声で、胡座をかいた足の上に乗ってきて、身体を擦り付けて口付けしてくる。
…そんなことされて、我慢できるわけ無いだろ。
黒龍はそのまま聖を押し倒し、口付けを再開する。
「…はぁ…んっ…」
気持ち良さそうな聖の声に、下半身が熱くなる。
黒龍は、聖の寝巻き浴衣を脱がしながら、勃ち上がり始めたモノを聖に押し付けていた。
始まりは、聖の兄、修司が新年会の話をしに来た時だった。
聖は出たくないと、駄々をこね、修司を困らせていた。
きっと去年、知らない人に腕を掴まれ、怖かった事を思い出すからだ。
…でもな…去年みたいに聖と駆け引きして、誤魔化す事は出来ないし、一年に一度の聖の仕事なのだから…と、説得するも、首を縦に振らない。
困り果てていると、聖は思い付いたかのように、キラキラと目を輝かせ、修司に言った。
「クロが一緒にいるなら出る」
「「…。」」
黒龍は修司と目を合わせ、修司は聖に向き直った。
「よし。黒龍を連れてっても良い」
「やった!」
「ちょっと待ってください。俺はあの場には場違いだと…」
黒龍は慌てた。
よく知らないが、有名な人たちが集まる新年会なんだろう!!
「…聖が出席する事の方が大事だ。…大輔には伝えておくから、礼服一式準備するように。それと、マナーを覚えてもらう」
修司はそう言って、用事は済んだとばかりに、部屋を出て帰ろうとしていた。
慌てて黒龍は玄関まで追いかける。
「修司さん!」
「聖の側にいて、聖を守れ」
「…。」
修司はそう言って、帰っていった。
黒龍は玄関に呆然と立ち尽くしてしまった。
…そう言われてしまえば、俺には何も言えない。
それから、黒龍は仕事の合間に、パーティーに出席する側としての講習も受けることになった。
少し前から姿勢とか言葉使いを習っていて良かった…。
つくづくそう思った。
…と、言うか、大輔はそれを見越して、俺に習いに行くよう言ってきたのかも…。
…あなどれない。
あっという間に時間は過ぎ、黒龍は聖の家に行っても、疲れはてて、ぐったりとしていた。
…まあ、それを宥めるように、聖が甘えて来て、癒されはしていたが…。
年末。
黒龍はギリギリまで仕事があって、慌ただしい正月を聖の家で迎えた。
パーティー用のスーツは準備したし、言葉使いもまあ、何とか…、強いて言えば、ずっと笑顔が無理だ。
…でも、何とかなるだろう。
沙羅ちゃんや、紅緒さん、大輔がフォローしてくれると言うし…。
ついに、新年会が始まろうとしていた。
車の免許を取ったときのように、平日、週二回くらいの講習だ。
慣れない姿勢と、言葉使い、気を抜けばすぐ、大股でドスドスと歩いてしまう。
…これも仕事の為…。
今までは、裏方に徹していて、表での接客はしていない。
…これからは、接客もしていかなくては、いけないのだろう。
その為の講習なのだから…。
…少し気が重い。
そんな講習を受けに行きだし、数ヵ月が立ち、外の気温が下がり、少し肌寒くなってきた頃…。
また、この時期がやって来た。
聖が、引っ付きたがって、甘えてくる季節。
俺としては嬉しいのだが…。
毎年恒例の、新年会が近付いて来たからだ。
「…クロ…」
甘えた声で、胡座をかいた足の上に乗ってきて、身体を擦り付けて口付けしてくる。
…そんなことされて、我慢できるわけ無いだろ。
黒龍はそのまま聖を押し倒し、口付けを再開する。
「…はぁ…んっ…」
気持ち良さそうな聖の声に、下半身が熱くなる。
黒龍は、聖の寝巻き浴衣を脱がしながら、勃ち上がり始めたモノを聖に押し付けていた。
始まりは、聖の兄、修司が新年会の話をしに来た時だった。
聖は出たくないと、駄々をこね、修司を困らせていた。
きっと去年、知らない人に腕を掴まれ、怖かった事を思い出すからだ。
…でもな…去年みたいに聖と駆け引きして、誤魔化す事は出来ないし、一年に一度の聖の仕事なのだから…と、説得するも、首を縦に振らない。
困り果てていると、聖は思い付いたかのように、キラキラと目を輝かせ、修司に言った。
「クロが一緒にいるなら出る」
「「…。」」
黒龍は修司と目を合わせ、修司は聖に向き直った。
「よし。黒龍を連れてっても良い」
「やった!」
「ちょっと待ってください。俺はあの場には場違いだと…」
黒龍は慌てた。
よく知らないが、有名な人たちが集まる新年会なんだろう!!
「…聖が出席する事の方が大事だ。…大輔には伝えておくから、礼服一式準備するように。それと、マナーを覚えてもらう」
修司はそう言って、用事は済んだとばかりに、部屋を出て帰ろうとしていた。
慌てて黒龍は玄関まで追いかける。
「修司さん!」
「聖の側にいて、聖を守れ」
「…。」
修司はそう言って、帰っていった。
黒龍は玄関に呆然と立ち尽くしてしまった。
…そう言われてしまえば、俺には何も言えない。
それから、黒龍は仕事の合間に、パーティーに出席する側としての講習も受けることになった。
少し前から姿勢とか言葉使いを習っていて良かった…。
つくづくそう思った。
…と、言うか、大輔はそれを見越して、俺に習いに行くよう言ってきたのかも…。
…あなどれない。
あっという間に時間は過ぎ、黒龍は聖の家に行っても、疲れはてて、ぐったりとしていた。
…まあ、それを宥めるように、聖が甘えて来て、癒されはしていたが…。
年末。
黒龍はギリギリまで仕事があって、慌ただしい正月を聖の家で迎えた。
パーティー用のスーツは準備したし、言葉使いもまあ、何とか…、強いて言えば、ずっと笑顔が無理だ。
…でも、何とかなるだろう。
沙羅ちゃんや、紅緒さん、大輔がフォローしてくれると言うし…。
ついに、新年会が始まろうとしていた。
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