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海
旅館
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黒龍は車を運転し、聖は後部座席で身体を伸ばし、くつろいで、大輔に教えられた宿に向かった。
浜辺から海沿いに走り、少し山手の方に上がっていく。
山の方には木々が繁り、所どころに住宅が見えた。
言われた通りに上がっていくと、看板が見え、俺には場違いな場所だな…と、建物を見て思った。
小納谷並みに広い庭園…老舗の旅館だ。
よく考えて見れば、小納谷の大輔の紹介で行く宿だ。
普通の民宿の分けない…。
黒龍は諦めて、駐車場に入り車を止めた。
着替えを入れた鞄を持って、聖と共に旅館の入口に立ち、旅館の女将に迎えられた。
いつも迎える側だから、少し戸惑ってしまう。
黒龍が小納谷の大輔の紹介で来たことを伝え、記帳して部屋に案内された。
記帳したあと、受付の女性達が、何故か浮き足立っていたが、何故かはわからない。
「…恋日記…の…」と、背後から聞こえたような気がした。
…なんの事だ?
大輔が何か言っていたのだろうか…。
部屋に入り、聖は真っ先に窓辺に向かった。
「海が見える!」
「あちらの露天風呂からも海が見えますよ」
…海が見える、露天風呂付きの部屋…。
いったいいくらだよ!!
黒龍は青ざめた。
一様、多めには持ってきた。
が、小納谷並みだから…あれ、小納谷って一泊いくらだ?
…足りなかったら、後で大輔経由で支払おう…。
黒龍と聖は順番に内風呂に入り、旅館の昼食を食べた。
海の近くだから、海産物が多い。
海鮮丼に白身魚のおつゆ、煮魚など。
夜はもっと豪華になるらしい。
…配膳はやっていないから、どれくらい料理が有るのか想像が出来ない…。
これも経験だと、前向きに行こう…。
黒龍と聖は、旅館で教えてもらった、市場のような商店街に向かった。
ここの港で上がった海産物や、加工品などを販売していて、見たことの無い魚が、たくさん並んでいた。
「日持ちするものが良い」
と、干し魚を三種類買った。
お土産屋を散策して、大輔と紅緒用に、お土産をニコニコと嬉しそうに選んでいた。
選んだのは、小瓶に砂と貝殻が入った、キーホルダー。
いつもお土産をもらってばかりだから、自分も、あげたいみたいだ。
大事過ぎて、使えないかも…。
ソフトクリームを食べ、人混みの中を歩いたが、歩き慣れない聖は直ぐに、『疲れた』と、近くのベンチに座り込んだ。
普段、家の中ばかりにいるから、足が痛くなっているのかもしれない。
「そろそろ戻るか…」
黒龍は聖を促し、旅館へと戻り始めた。
露天風呂に入って、宿でのんびりとするのも良いだろう。
旅館に戻り、足が痛いと言う聖の足をマッサージして、部屋の露天風呂に入った。
その間に、夕食の準備をしてくれるそうだ。
その無防備な姿で、俺を煽らないでほしい。
露天風呂に一緒に入って、ドキドキしっぱなしだ。
最初はおとなしく肩まで浸かって、海を眺めていたが、身体が暖まり始めると、湯船の端に肘を乗せ、頭を乗せて膝立で海を眺め出した。
湯船から背中が出て、お尻をこちらに向けて付き出しながら眺めている為、その背中に口付けて、のし掛かりたくなってしまう。
後、後…。
黒龍は必死に自分を制した。
旅館の料理は絶品だった。
テーブルいっぱいに並べられた料理は、やはり海鮮が多く、刺身、焼き魚、ミニ土鍋など、あと、少量でいろいろな種類の珍味が並べられた。
いろんな食べ物を楽しむには、これくらいが丁度良い。
なかなか口に出来ないものばかりで、黒龍は味わいながら食した。
聖も、いつもは食が少ないが、今日は『美味しいね。これ何』と、楽しみながら食している。
そんな姿を見て、黒龍の頬が緩んだ。
浜辺から海沿いに走り、少し山手の方に上がっていく。
山の方には木々が繁り、所どころに住宅が見えた。
言われた通りに上がっていくと、看板が見え、俺には場違いな場所だな…と、建物を見て思った。
小納谷並みに広い庭園…老舗の旅館だ。
よく考えて見れば、小納谷の大輔の紹介で行く宿だ。
普通の民宿の分けない…。
黒龍は諦めて、駐車場に入り車を止めた。
着替えを入れた鞄を持って、聖と共に旅館の入口に立ち、旅館の女将に迎えられた。
いつも迎える側だから、少し戸惑ってしまう。
黒龍が小納谷の大輔の紹介で来たことを伝え、記帳して部屋に案内された。
記帳したあと、受付の女性達が、何故か浮き足立っていたが、何故かはわからない。
「…恋日記…の…」と、背後から聞こえたような気がした。
…なんの事だ?
大輔が何か言っていたのだろうか…。
部屋に入り、聖は真っ先に窓辺に向かった。
「海が見える!」
「あちらの露天風呂からも海が見えますよ」
…海が見える、露天風呂付きの部屋…。
いったいいくらだよ!!
黒龍は青ざめた。
一様、多めには持ってきた。
が、小納谷並みだから…あれ、小納谷って一泊いくらだ?
…足りなかったら、後で大輔経由で支払おう…。
黒龍と聖は順番に内風呂に入り、旅館の昼食を食べた。
海の近くだから、海産物が多い。
海鮮丼に白身魚のおつゆ、煮魚など。
夜はもっと豪華になるらしい。
…配膳はやっていないから、どれくらい料理が有るのか想像が出来ない…。
これも経験だと、前向きに行こう…。
黒龍と聖は、旅館で教えてもらった、市場のような商店街に向かった。
ここの港で上がった海産物や、加工品などを販売していて、見たことの無い魚が、たくさん並んでいた。
「日持ちするものが良い」
と、干し魚を三種類買った。
お土産屋を散策して、大輔と紅緒用に、お土産をニコニコと嬉しそうに選んでいた。
選んだのは、小瓶に砂と貝殻が入った、キーホルダー。
いつもお土産をもらってばかりだから、自分も、あげたいみたいだ。
大事過ぎて、使えないかも…。
ソフトクリームを食べ、人混みの中を歩いたが、歩き慣れない聖は直ぐに、『疲れた』と、近くのベンチに座り込んだ。
普段、家の中ばかりにいるから、足が痛くなっているのかもしれない。
「そろそろ戻るか…」
黒龍は聖を促し、旅館へと戻り始めた。
露天風呂に入って、宿でのんびりとするのも良いだろう。
旅館に戻り、足が痛いと言う聖の足をマッサージして、部屋の露天風呂に入った。
その間に、夕食の準備をしてくれるそうだ。
その無防備な姿で、俺を煽らないでほしい。
露天風呂に一緒に入って、ドキドキしっぱなしだ。
最初はおとなしく肩まで浸かって、海を眺めていたが、身体が暖まり始めると、湯船の端に肘を乗せ、頭を乗せて膝立で海を眺め出した。
湯船から背中が出て、お尻をこちらに向けて付き出しながら眺めている為、その背中に口付けて、のし掛かりたくなってしまう。
後、後…。
黒龍は必死に自分を制した。
旅館の料理は絶品だった。
テーブルいっぱいに並べられた料理は、やはり海鮮が多く、刺身、焼き魚、ミニ土鍋など、あと、少量でいろいろな種類の珍味が並べられた。
いろんな食べ物を楽しむには、これくらいが丁度良い。
なかなか口に出来ないものばかりで、黒龍は味わいながら食した。
聖も、いつもは食が少ないが、今日は『美味しいね。これ何』と、楽しみながら食している。
そんな姿を見て、黒龍の頬が緩んだ。
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