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掃除を終えた倉

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 和也が聖の家に来てから数日が経っていた。
 修司が、二、三日したら向かえに来ると言っていたが、もうすぐ、一週間になる。
 聖はいつも通りとまではいかないが、普通に食事して、倉の整頓を手伝ってくれた。
 とは言うものの、途中で『懐かしいな…』と、本を読み出してしまうから、側に居るだけだが…。
 和也は倉に有った、気になった本を数冊部屋に持ち込み、ずっと読んでいる。
 彼も、本を読むことが好きらしい。
 お茶を誘いに部屋にいくと、本を読みながら寝落ちしているときも有るが…。
 思ったより平穏な日常だった。
 倉も見違えるように綺麗になっていった。
 大きなテーブルや棚の移動は、週に二回、日用品や食材を持ってきてくれる、小納谷の知り合いに頼み、運ぶのを手伝ってもらった。 
 さすがに怪我人を使うわけにはいかない。
 倉の床は張り替えられていて、フローリングになっていたので、倉に有る物を使って、2部屋に作り替えた。
 奥の部屋は、倉側の壁際に棚を並べ、箱物の中身を確認して、マジックで書き、まずは食器類だけ一ヶ所に集めた。
 ここで宴会でもしたのだろうかと思うくらい、かなりの量がある。
 使えそうな物は手前に置いて、使わないだろう物はさらに奥へ片付けた。
 次にタンスを並べ、本棚の壁にして、倒れてこないように固定し、季節ごとの衣類をしまえるように、引き出しやすいように通路を広めに作った。
 前側の部屋の、入って左片方の壁際に本棚を並べ、外の光が入る中央辺りに、天日干しにした絨毯を敷いて、低めのテーブルとソファーを置いた。
 この倉には電気が来ておらず、外の光が頼りだ。
 本の種類の分別は分からないので、取りあえず、自分が興味を持った本を壁際に並べた。
 植物や動物などの図鑑、果樹、樹木、野菜の育て方、化学、地学など、参考書のようなものばかりに目が行ってしまう。
 今の時点で左の壁際の本棚は、半分以上埋まってしまった。
 きっとこれは棚が足りないな…。
 入口付近に山積みにされた本は、全部片付けられそうに無かった。
 そうだな…本棚でも作るか…。
 黒龍は、物作りが嫌いではなかった。
 今は無理だが、木材を買ってきて、組み立てていくのも楽しいかもしれない。
 そんな事を思いながら、図鑑、参考書などだけを棚に入れていった。


 日曜日の昼過ぎ。
 修司が和也を向かえに来た。
 読みさしの本は持っていって良いから。と、聖が言うと、和也はついでに、と、興味の有る本を三冊持って行った。
 久しぶりに、二人だけの時間が戻ってきた。
 今日は天気が良いので、和也が使っていた布団を外に干し、黒龍は倉の片付けは止めて、聖の部屋のベッドの横に座っていた。
 聖の顔色はもとに戻っていて、黒龍が聖に触れると、聖は微笑んだ。
「クロに触れるの…久しぶりの様な気がする…」
「和也さんがいたから、何となく、な…」
 黒龍も微笑んだ。
「…外は明るいけど…する?」
 聖が上目遣いで見上げてきて、断れるわけがない。
 黒龍は聖に口付け、ベッドに押し倒した。

 

 
 
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