神の宿り木~旅の途中~ジン~

ゆう

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5 欠片 ~カケラ~

*守護の魔法

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 狼の里でマークは子獣達の面倒を見て、キリトは子獣達に交じり一般常識を学んでいく。
 リーンはロキと共に新たな結界石作りに没頭する。
 結界石が出来上がる頃、村のほこらが出来上がったと、『風霊』が伝えて来てくれた。
 明日には、ほこらに結界石を納め、魔法を完成させる。

 その夜、リーンはロキのベッドの上にいた。
 …始めから、分かっていたことだ。
 ロキは別れを惜しむように、リーンを抱いていた。
 明日、魔法が完成したらリーンは、狼の里を出ていく。
 その為の、最後の『魔力の交合』が始まった。
 ロキのベッドの側には副官のドイガとエイブ、キリトがいた。
 仲睦なかむつまじく、触れあう二人の様子を悔しそうに見るキリトに、ドイガが声をかけた。
「忠告しておく。リーンさんはロキさんのモノだから、勝手に触るなよ。魔力の差があるからかなわないぞ」
「うぅぅ…」
 キリトもリーンに「魔力が足りない」と、言われているから分かってはいるのだ。
 『魔力の交合』で、二人が淡く光る。
 リーンの荒い息が響く。
「ドイガ」
 ロキに名前を呼ばれて、ドイガがベッドの上に上がる。
 そして、背後からロキに繋がれたままのリーンの脚が、ロキによって大きく開かれ、ソコにドイガが顔を埋めた。
「あああぁ…!」
 リーンはロキに支えられながら、身悶え甘い声を上げていた。
 ドイガの口に放ち、エイブも同じようにリーンの体液を味わう。
 そして、キリトも甘い魔力を含んだリーンの体液を飲み干した。
 ぐったりと背中のロキに身体を預けて、火照り恥じらう姿に欲情がわく。
 だが、直ぐにキリトはドイガにベッドから降ろされると、ロキはリーンを幾度も貫き、首筋に噛みついた。
「うっ、ああああぁ…!」
 さっきよりも強い光が放たれ、リーンはロキに抱き留められていた。
 魔力の回復力が違う…。
 それを呆然と見ていたキリトはドイガに促されて、ロキの部屋を出る。
「別れを惜しんで、しばらくイチャイチャしてるから、近付くなよ」
 そう、念を押されてあてがわれた部屋にもどり、キリトはもて余す欲情を眠るマークにぶつけた。


 翌日。
 『御神木』のあるジンの家に向かった。
 木の側には小さなほこらが建てられ、村人達が集まっていた。
 獣人達を恐れず、「おはよう」と、会話を交わしていた。
 少しづつで良いから、仲良くやっていって欲しいな。
 そんなことを思いながら、ほこらの前に立った。
 獣人も村人も、息を呑んでじっと見守る。
「『フィールド転開』」
 複雑な文字の書かれた魔方陣が『御神木』と!祠を包むように拡がる。
「この地を守護する『御神木』ジンフリークス。循環用結界石を使い永久とわにこの地の守護を」
 リーンはロキと一緒に作った結界石を取り出し、魔力を込める。
 結界石は光だし、空色、大地の色、森の緑色、水の輝き、色んな色の光がフィールド内を飛び回る。
 そして、徐々に結界石の中へ戻っていく。
 すべての光が結界石の中に収まると、リーンは祠の扉を開けて中に奉納し、扉を閉めた。
 すると、一面に静寂な張り積めた空気が流れてくる。
 リーンはフィールドを解いて、集まる人々を見回した。
「これで守護の魔法は終わりです。あとは、皆さんでここを守ってください。この地域を枯らさないように…」
「ああ、守るよ」
「大切にします!」
「村を守ってくれて、ありがとう」
 人々は、ほっとして笑顔で答えてくれた。
 ロキを見ると、頷いて微笑んでくれた。
 ジン、また会いに来るね…。
 リーンはジンが宿った木を見上げた。


 マークは子獣を一人連れて、荷馬車に乗り町に戻った。
「大きくなっても、マークの側にいて良いよね」
 子獣にキラキラとした目で訴えられ、マークは複雑な表情で苦笑いしていた。
 十数年後、子獣だった子に、押し倒される事になるとは、この時、マークは気付きもしなかった。


 キリトは狼の里に残り、子獣の面倒を見ながら、子獣達と一般常識を学ぶ。
「いつか、越えてやる!」
 そんな思いをいだきながら。


 リーンは獣人のロキ達と、ヤマツカ村の人々に『御神木』『ジンの宿り木』を託し、村を去っていった。
「また、来るよ」
 そう、言い残して微笑んでいた。
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