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2 タミネキ村
*『物質保管庫』
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二人は洞窟を出て山を降り、山間にあるタミネキ村へ、たどり着いた。
村で唯一の宿で宿をとり、荷物を置いて商店街へ向かった。
昼過ぎの商店街は人が少なく、まばらで、目的の日用品や非常食、薬などを扱う店を見つけて中に入った。
大概このての店は物々交換もしていて、そこであまり手に入らなそうな薬草と非常食料を交換し、店を出た。
お金は有るが、宿に何日間、泊まる事になるのか分からないので、なるべく物々交換をしたい。
薬草のストックは、たくさん有った。
『物質保管庫』と言う、便利な物を持っているからだ。
昔、魔女の森の魔女王に何故か気に入られて、一緒に協力もしたが、作ってくれた。
時間を操る事の出来る魔女王だったので、薬剤師の引き出しボックスを参考に、引き出しボックスをまるごと空間に閉じ込め、時間のスピードを止めた。
だから引き出しの中はほとんど時間が止まっているので、薬草は摘んだ時のままの状態だ。
引き出しの表には、薬草の名前と効能、採集した場所も書いてあるので間違えることはない。
ソレ以外にも色々と、収納できるので便利だ。
必要な時、必要なだけ取り出すことが出来る。
これを知っているのは、馴染みの商会の主達だけだ。
『物質保管庫』を使いだし、最初に取引した主人が、信用できる者にしか教えない方がいい。と、忠告してくれたからだ。
なので普段は、宿で必要な分だけを取り出し交換する。
ぶらぶらと、新鮮な果物がないか商店街を探していると、さっきの薬草を渡した店の主人が声をかけてきた。
「旅の方、ちょっと診て欲しい人がいるんだが…診てもらえないかい?」
診て欲しい人?
病人?
「私は医者ではないから、治す事は出来ないよ」
そう、断ると。
「症状を見て何か、処方してもらえたらいいんだが…」
…。病気では、ないのか?
薬草を持っているから、判断できるかもしれないと思ったのだろうか。
ジンを見ると、頷いたので様子を見に行くことにした。
「…診るだけなら」
「申し訳ない。…昨日突然、身体に炎症が起きて、医者には原因が分からなくてな…藁にもすがる思いなんだよ…」
主人は申し訳なさそうに、頭を下げた。
二人が連れられてきたのは、大きな門構えの家だった。
そこは村長の家で、中に案内されると若い男がぐったりと横になっていた。
突然、痛みと痒みが起こり、悪化していくのだと言う。
若い男は村長の息子で、腕や足に炎症を起こして、場所によっては爛れていた。
男に近付き、爛れた手に触れようとすると、パンッと、黒い光が放たれた。
…今のは…私の防御壁になにかが触れた…。
ジンが心配そうにこちらを見ている。
…何んだろう…この感じは…。
…黒い…光…!
「…これは…神域を侵した『呪いの魔法』…」
多分そうだ。
この、どす黒い嫌な感じは…。
「……。『呪いの魔法』だと?」
村で唯一の宿で宿をとり、荷物を置いて商店街へ向かった。
昼過ぎの商店街は人が少なく、まばらで、目的の日用品や非常食、薬などを扱う店を見つけて中に入った。
大概このての店は物々交換もしていて、そこであまり手に入らなそうな薬草と非常食料を交換し、店を出た。
お金は有るが、宿に何日間、泊まる事になるのか分からないので、なるべく物々交換をしたい。
薬草のストックは、たくさん有った。
『物質保管庫』と言う、便利な物を持っているからだ。
昔、魔女の森の魔女王に何故か気に入られて、一緒に協力もしたが、作ってくれた。
時間を操る事の出来る魔女王だったので、薬剤師の引き出しボックスを参考に、引き出しボックスをまるごと空間に閉じ込め、時間のスピードを止めた。
だから引き出しの中はほとんど時間が止まっているので、薬草は摘んだ時のままの状態だ。
引き出しの表には、薬草の名前と効能、採集した場所も書いてあるので間違えることはない。
ソレ以外にも色々と、収納できるので便利だ。
必要な時、必要なだけ取り出すことが出来る。
これを知っているのは、馴染みの商会の主達だけだ。
『物質保管庫』を使いだし、最初に取引した主人が、信用できる者にしか教えない方がいい。と、忠告してくれたからだ。
なので普段は、宿で必要な分だけを取り出し交換する。
ぶらぶらと、新鮮な果物がないか商店街を探していると、さっきの薬草を渡した店の主人が声をかけてきた。
「旅の方、ちょっと診て欲しい人がいるんだが…診てもらえないかい?」
診て欲しい人?
病人?
「私は医者ではないから、治す事は出来ないよ」
そう、断ると。
「症状を見て何か、処方してもらえたらいいんだが…」
…。病気では、ないのか?
薬草を持っているから、判断できるかもしれないと思ったのだろうか。
ジンを見ると、頷いたので様子を見に行くことにした。
「…診るだけなら」
「申し訳ない。…昨日突然、身体に炎症が起きて、医者には原因が分からなくてな…藁にもすがる思いなんだよ…」
主人は申し訳なさそうに、頭を下げた。
二人が連れられてきたのは、大きな門構えの家だった。
そこは村長の家で、中に案内されると若い男がぐったりと横になっていた。
突然、痛みと痒みが起こり、悪化していくのだと言う。
若い男は村長の息子で、腕や足に炎症を起こして、場所によっては爛れていた。
男に近付き、爛れた手に触れようとすると、パンッと、黒い光が放たれた。
…今のは…私の防御壁になにかが触れた…。
ジンが心配そうにこちらを見ている。
…何んだろう…この感じは…。
…黒い…光…!
「…これは…神域を侵した『呪いの魔法』…」
多分そうだ。
この、どす黒い嫌な感じは…。
「……。『呪いの魔法』だと?」
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