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家族
理由
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リーンがお父様を連れて何処かに『転移』した。
呆然とする中、キリトが部屋を出ていって、カズキさん達を呼んできた。
キリトにとって、慣れた場所での、自分の役割を果たしているのだと、様子を見て少し冷静な自分もいる…。
カズキさんとアオさんがハンカチを差し出してきたので、ユーリ達は受け取り、弟のキースと妹のニーナも涙をぬぐった。
そして二人に説明される。
リーンがお父様を『森の聖域』と呼ばれる『魔素』の濃い場所、リーンが魔力を取り戻した場所に連れていって、治療するらしい。
ただ、それが一年で済むのか、二年かかるのか、もしくは十年以上かかるかも知れないとの事…。
なので、お父様に、子供達の元気な姿を見せて、眠りにつかせる為だったと、教えられた。
でも、三つ子の一人、ミーナは来れない場所にいるため、不在だった。
そして、お父様が病で亡くなった事にする事。
いつ目覚めるか分からない状態を、国民に説明するわけにはいかないからだ。
すべて身内だけの秘密になるので、この後、ささやかな国葬を行い、棺にはお父様の『魔法剣』が納められると言う。
お父様の『魔法剣』は、お父様の魔力を帯びているので、棺の中は見せず、確かにそこに身体だけが有るのだと、納得させるためだそうだ。
そこまでの段取りをしての、お父様の療養なのだと…。
ユーリとジーンは頷き、なんとなくよく分かっていないキースとニーナは首を傾げた。
「後で説明してあげるね」
ユーリはそう二人に言い、頭を撫でて上げる。
七歳になったばかりの二人には、まだ少し難しいのかも知れない…。
落ち着きを取り戻し、ユーリはキリトと一緒に用意された部屋に移動した。
王都を出たので、ココにはユーリの部屋は無い。
どっと疲れが出て、ベットに横たわると、キリトが果物と飲み物を持ってきてくれた。
ユーリは身体を起こし、果物をいくつかついばむと、腹部に痛みを感じた。
…もしかして…産まれるの…?
いきなり過ぎない…?
「…キ…リト…」
ユーリがキリトに声をかけると、キリトは察して慌てて部屋を出て、医師を呼んできてくれた。
やはり前兆らしい…。
部屋の中がバタバタと騒がしくなる。
あらかじめ準備されていたので、慌てることはないが、少し緊張する…。
「…ユーリ。大丈夫だから」
キリトがそう言って微笑んでくれる。
「うん。がんばる」
そう言った事までは覚えているが、その後、ユーリは意識を失っていた。
呆然とする中、キリトが部屋を出ていって、カズキさん達を呼んできた。
キリトにとって、慣れた場所での、自分の役割を果たしているのだと、様子を見て少し冷静な自分もいる…。
カズキさんとアオさんがハンカチを差し出してきたので、ユーリ達は受け取り、弟のキースと妹のニーナも涙をぬぐった。
そして二人に説明される。
リーンがお父様を『森の聖域』と呼ばれる『魔素』の濃い場所、リーンが魔力を取り戻した場所に連れていって、治療するらしい。
ただ、それが一年で済むのか、二年かかるのか、もしくは十年以上かかるかも知れないとの事…。
なので、お父様に、子供達の元気な姿を見せて、眠りにつかせる為だったと、教えられた。
でも、三つ子の一人、ミーナは来れない場所にいるため、不在だった。
そして、お父様が病で亡くなった事にする事。
いつ目覚めるか分からない状態を、国民に説明するわけにはいかないからだ。
すべて身内だけの秘密になるので、この後、ささやかな国葬を行い、棺にはお父様の『魔法剣』が納められると言う。
お父様の『魔法剣』は、お父様の魔力を帯びているので、棺の中は見せず、確かにそこに身体だけが有るのだと、納得させるためだそうだ。
そこまでの段取りをしての、お父様の療養なのだと…。
ユーリとジーンは頷き、なんとなくよく分かっていないキースとニーナは首を傾げた。
「後で説明してあげるね」
ユーリはそう二人に言い、頭を撫でて上げる。
七歳になったばかりの二人には、まだ少し難しいのかも知れない…。
落ち着きを取り戻し、ユーリはキリトと一緒に用意された部屋に移動した。
王都を出たので、ココにはユーリの部屋は無い。
どっと疲れが出て、ベットに横たわると、キリトが果物と飲み物を持ってきてくれた。
ユーリは身体を起こし、果物をいくつかついばむと、腹部に痛みを感じた。
…もしかして…産まれるの…?
いきなり過ぎない…?
「…キ…リト…」
ユーリがキリトに声をかけると、キリトは察して慌てて部屋を出て、医師を呼んできてくれた。
やはり前兆らしい…。
部屋の中がバタバタと騒がしくなる。
あらかじめ準備されていたので、慌てることはないが、少し緊張する…。
「…ユーリ。大丈夫だから」
キリトがそう言って微笑んでくれる。
「うん。がんばる」
そう言った事までは覚えているが、その後、ユーリは意識を失っていた。
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