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家族

山小屋

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 ユーリのお腹の中にキリトの子供が宿り、キリトが過保護になってしまった。
 最初の戸惑いが何処かに行ってしまった結果だった。
 寮からココまでは歩いて十数分の場所に有るのに、わざわざ馬車で迎えに来たり、送って行こうとしたので、ソレを止めたり、遊んでいるうちに眠ってしまったクロを、抱き抱えてベットに連れていこうとするのを止められたり…。
 歩き出して、まだ半年くらいしか経っていないクロくらいなら大丈夫だって。
 適度な運動も大事。
 かまってくれて嬉しいのだが、あまりにも構うので、遊びに来ていたルナが邪険にしていた。
 ルナは獣人族の幼馴染みで、チイさんの娘だ。
 豹族の金髪の可愛いルナは役所で受付をしている。
 …お父様のヒイロさんが心配し過ぎて、目の届く場所に置いておきたいみたい…。
 どこも一緒か…。


 以前から計画していた小川の側に山小屋を『転移』させるため、今日は子供達と皆で見学会。
 ルナもお父様の魔法を見に来ている。
 ヒイロさんがカッコいい所をルナに見せたいそうだ。と、チイさんが以前、こそっと言っていた。
 『転移』の魔法は、めったに見れるものではないので、子供達にはいろんな魔法が有ることを知ってもらうためにも、なるべく見学してもらうようにしている。
 自分達が住む敷地の事だからね。
 ルナのお父様のヒイロさんが、『転移』を手伝ってもらう人を二人、連れてきている。
 子供達と小川の方から小屋が『転移』してくる場所を見ていると、ヒイロさんと三人で魔力をため、地面に魔方陣が浮かび上がり、強く光ったと思ったら、すでにそこには山小屋が出現していた。
 …一瞬の事…。
「「「うわぁっ…!!」」」
 子供達の歓声が上がる。
 そして山小屋の周囲を、何やら魔法を使って固定している。
 馴れているのか、テキパキと作業を進め、あっと言う間に山小屋が固定れた。
 すごい…。
 『もう、中に入っても良いぞ』と、ヒイロさんの合図と共に、子供達は歓声を上げて山小屋へと走って行く。
 新しいもの好きだもんね。
 ユーリは子供達の嬉しそうな姿を見ながら、ルナと一緒に山小屋へと向かって歩き出した。

 中は広いリビング、小さなキッチン、バストイレ付き、奥の寝室には二段ベットが三組。
 ベットは多すぎるが、普通の一軒家だ。
 不必要な物は、後で回収に来るそうだ。
 リビングにはテーブル、イス、ソファーがすでに揃っており、キッチンにも保冷庫が付いている。
 直ぐにでも住める状況。
 とは言え、水回りの排水は後日になるそうだ。
 なので水は使えない。
 それでも、子供達の休憩場所としては、十分日機能してくれる。
 これがいくつも有るから、隣の敷地に宿を作ろうと思うのは、分からないではない。
 有効利用しないともったいないものね…。
 ユーリはそう思いながら微笑んだ。
 少しづつ、居心地の良い環境が整っていくのを楽しんでいた。
 
 
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