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それぞれの旅立ち
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ミーナが魔力暴走を起こして、魔力制御をするため『魔女王』の元に行ってから、寂しがっていたニーナが少し落ち着き、いつもの生活に戻りつつある頃、ジーンが神官になる試験を受けると言い出した。
何か吹っ切れたような顔をして、週末はメジノの屋敷に帰って来ず、神殿に行き、神官になるための勉強をしているみたいだった。
ユーリは、魔法騎士科の教官や、王城の護衛官から騎士として来ないかと誘われたが、全て断った。
時々、いとこのアイリーンの護衛を頼まれたときは、出向いてドレスを着て側で護衛していた。
アイリーンと一緒に、ドレスを着るのは嫌ではないが、動きにくいのが難点だ。
一度、騎士の制服を着て護衛の任務に当たったが、今度は若い女性達が群がって来て、結局他の護衛の人達に迷惑をかけたので、あきらめてドレスを着るようにした。
…なぜだ?
ユーリが首を傾げると、アイリーンは苦笑いしていた。
そして、アイリーンにグオルクの話をすると『離れてしまうのは寂しいけれど、ユーリ姉様なら大丈夫』そう言って、応援してくれた。
グオルクに行くことの、味方が一人増えた。
ユーリもジーンも無事、試験に合格し、卒業後は別々の場所で暮らすようになる。
ジーンは、ヤマツカ町から山手に有る、タミネキ村に出現した『世界樹』の木霊に気に入られたらしく、いずれそこに建てられた神殿の神官長となるべく、神官長代理のアミューレ様による指導のもと、神殿で暮らすらしい。
いつの間にか、ジーンの回りが大事になっていた。
私はカザナのお屋敷のリーンの小屋から、魔法陣を使い、ルナの家に行って、そこから一緒にルナのお父様ヒイロさんの元に向かった。
ルナも一緒に家を出て、寮で暮らすからだ。
ヒイロさんは『ユーリも一緒なら…』と、了承を得るまで、最後まで渋っていたらしい。
…同じ役所内にいるのだから、そこまで過保護にならなくても…そう思いながらも、自分もヒイロさん達の目の届く場所に行くようだ。
しばらくは研修生として、数日にグオルクで生活し、平日の半分は学校に行く…。
卒業間近になった今、ほとんどのクラスメイトは、王城や警備の研修に行っているので、教室では、研修中のレポートを書いたり、自分の課題を見つけて相談したり…。
授業らしい事は無いが、身体を動かしに訓練所に来ている人もいる。
ユーリもその一人で、週に一度はクラスメイトと模擬戦を行っている。
ここから、皆、それぞれの職種について行くんだな…。
そんなことを感じなから、ユーリは汗を流した。
ユーリは卒業と同時に、獣人の街グオルクで暮らし始めた。
本当ならば、ジーンの神官姿、新たなる『世界樹』のお披露目が終わってからの予定だったが、人手が足りないから、来れるなら来てくれと、言われて、グオルクに向かった。
獣人の街グオルクには、人族が少数しかおらず、ユーリが役所の受付をしている間は、物珍しがられた。
その後は、ルナと一緒に書類の整頓、各部署を歩き回り、最後に食堂の献立表と予算まで回収して回った。
今思えば、ルナと一緒に行動することによって、顔見せと、人族だが、どれだけ体力と頭が回るのかを、見極められていたのかもしれない。
そして研修期間が過ぎ、私は念願のキリトが管理している施設の一職員として、出向することになった。
何か吹っ切れたような顔をして、週末はメジノの屋敷に帰って来ず、神殿に行き、神官になるための勉強をしているみたいだった。
ユーリは、魔法騎士科の教官や、王城の護衛官から騎士として来ないかと誘われたが、全て断った。
時々、いとこのアイリーンの護衛を頼まれたときは、出向いてドレスを着て側で護衛していた。
アイリーンと一緒に、ドレスを着るのは嫌ではないが、動きにくいのが難点だ。
一度、騎士の制服を着て護衛の任務に当たったが、今度は若い女性達が群がって来て、結局他の護衛の人達に迷惑をかけたので、あきらめてドレスを着るようにした。
…なぜだ?
ユーリが首を傾げると、アイリーンは苦笑いしていた。
そして、アイリーンにグオルクの話をすると『離れてしまうのは寂しいけれど、ユーリ姉様なら大丈夫』そう言って、応援してくれた。
グオルクに行くことの、味方が一人増えた。
ユーリもジーンも無事、試験に合格し、卒業後は別々の場所で暮らすようになる。
ジーンは、ヤマツカ町から山手に有る、タミネキ村に出現した『世界樹』の木霊に気に入られたらしく、いずれそこに建てられた神殿の神官長となるべく、神官長代理のアミューレ様による指導のもと、神殿で暮らすらしい。
いつの間にか、ジーンの回りが大事になっていた。
私はカザナのお屋敷のリーンの小屋から、魔法陣を使い、ルナの家に行って、そこから一緒にルナのお父様ヒイロさんの元に向かった。
ルナも一緒に家を出て、寮で暮らすからだ。
ヒイロさんは『ユーリも一緒なら…』と、了承を得るまで、最後まで渋っていたらしい。
…同じ役所内にいるのだから、そこまで過保護にならなくても…そう思いながらも、自分もヒイロさん達の目の届く場所に行くようだ。
しばらくは研修生として、数日にグオルクで生活し、平日の半分は学校に行く…。
卒業間近になった今、ほとんどのクラスメイトは、王城や警備の研修に行っているので、教室では、研修中のレポートを書いたり、自分の課題を見つけて相談したり…。
授業らしい事は無いが、身体を動かしに訓練所に来ている人もいる。
ユーリもその一人で、週に一度はクラスメイトと模擬戦を行っている。
ここから、皆、それぞれの職種について行くんだな…。
そんなことを感じなから、ユーリは汗を流した。
ユーリは卒業と同時に、獣人の街グオルクで暮らし始めた。
本当ならば、ジーンの神官姿、新たなる『世界樹』のお披露目が終わってからの予定だったが、人手が足りないから、来れるなら来てくれと、言われて、グオルクに向かった。
獣人の街グオルクには、人族が少数しかおらず、ユーリが役所の受付をしている間は、物珍しがられた。
その後は、ルナと一緒に書類の整頓、各部署を歩き回り、最後に食堂の献立表と予算まで回収して回った。
今思えば、ルナと一緒に行動することによって、顔見せと、人族だが、どれだけ体力と頭が回るのかを、見極められていたのかもしれない。
そして研修期間が過ぎ、私は念願のキリトが管理している施設の一職員として、出向することになった。
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