14 / 23
第14話:うれし悲しい同棲生活、開始
しおりを挟む
俺の親は放任主義というか、中学から俺がベースとバンド活動を好き勝手やってきたので、外泊やら何やらにはあまりうるさくない。
まあ流石に何日も家に帰らなかったり、折角入った大学で授業を全く受けなかったりしたらまずいので、最低限の授業には出席し、親にはアキラのことは曖昧に、バンド始めて忙しくなるから外泊が増える、とは告げた。
問題は金銭面だった。スタジオ代や楽器のメンテなんかは案外馬鹿にならない。
部活棟の四階の部室は一応防音だが、タクトもアキラもそこでは練習する気が無いようで、もう受付の人に顔を覚えられた例の地下ブースのあるスタジオにばかり行っている。
タクトはこう言った。
「僕はね、一応タダで曲書いてあげてたんだけど、半分くらいの人が、『これはお金を払わないといけないくおりりーです!』ってお金くれてて、それ貯めてるから多分大丈夫」
と、あっけらかんと言ってのけた。つか『クオリティ』は言おうぜタクト。
「へぇ、どんくらいあんの?」
アキラが聞くと、タクトはスマホを取り出し、おそらくは銀行関連のアプリを起動したのだろう、そして、
「えっとね、32に0が4つ」
俺とアキラが一瞬考え、次の瞬間飛び上がった。
「320万?!」
「あ、そんなにあるんだぁ」
「だぁ、じゃねんだわ!」
半ばキレ気味のアキラに、タクトが聞き返す。
「二人はどうなの? お金ないと練習できないし、ちゃんとしたスタジオでレコーディングもできない。まあライブはまだ先だろうけど、お金はあった方が良い」
「……お、俺は、皆無。バイトするわ……」
俺がうつむき加減で言うと、
「いや、結斗の分は俺が持つ」
とアキラが言い放った。タクトが少し眉を上げる。
「自分で言うのもアレだけど、俺んち金だけはあるから。それに俺が住んでるマンション全室防音だから、適当に理由付けてバンド用に一部屋がめてもいい」
俺は驚いてアキラの顔を見た。
「え?! あの部屋賃貸じゃないの?!」
「言ってなかったっけ? あのマンション俺の親のなんだわ」
「秘密基地——!」
突然ウキウキした声をあげたのはタクトだった。
「リアル・ガン・フォックスの秘密基地作れるね! 楽器とか機材全部置いて、入れるの僕たちだけにして、こっそりそこでいっぱい練習して、僕もいっぱい曲書いて、うわぁ~楽しそう!!」
……やっぱりこいつは年中さくら組の幼稚園児だ……。
そしてスタジオを出た俺ら三人は、自然とアキラと俺がアキラの部屋の方へ向かい、タクトは駅方面に歩き始めた。
「あのさぁ結斗」
「ん?」
「帰ったら速攻で抱いていい?」
「はぁ?! ちょ、そういうことは公共の場では!」
「知るかよ。なんかすげえおまえ食いたい」
「残念ですが俺は食い物ではありません……」
とか言いつつ、ちゃっかりドキドキしている俺がいる。
晴れて『恋人』同士になってから、ちゃんとしてないからだ。
あーやばやば、三津屋アキラが、あの三津屋アキラが、俺に好意を抱いた状態で俺を——
と、ぐるぐるしていると、何か冷たいものが俺の右手に触れた。
ん?
違和感を抱いたのも一瞬。
次の瞬間には、その冷たいもの、三津屋アキラの手が、俺の手を握っていた。
「だあああああああああああ!!! アキラ!! それはちょっと!!!」
「え、なんで?」
「こ、公共の場、ですので——!」
「結斗って結構そういうの気にするんだな、ちょっと意外」
アキラはニヤッと笑って、再び俺の手を取りその腕力で俺を引き寄せた。
「いいじゃん、どうせ5分ちょいだし、人気も無いし」
結局俺は言いくるめられる感じで、でもすげえ嬉しさもあって、マンションまで手を繋いで歩いた。
バタン、と俺の身体がアキラの部屋に入りドアが閉まった瞬間だった。
「んっ!」
アキラが俺に口づけてきて、ギグバッグを下ろし、ジャケットを脱ぎながら舌を入れてきた。
「結斗……」
熱っぽくアキラは俺の名を呼び、俺のベースと荷物を玄関に置くよう動かし、そのまま俺の胸を触りだした。
「んっ——!」
「結斗」
「あっ! な、なに」
アキラは答えずに俺のベルトをすっと抜き、デニムを脱がそうとしてきた。
「ちょ、ア、アキラ! ベッド行こうよ!!」
「無理」
「無理って?! あ、あぁ、そこダメ!!」
俺の上着を脱がしたアキラは、玄関から続く廊下に俺を押し倒し、自分はその上に覆い被さった。
「アキラ——?」
「結斗」
言うとアキラは俺の鎖骨付近を舐め始めた。ここは最近聖なる性獣アキラさんによって開発された俺の変な性感帯だ。
「ふっふあっ! あ、あん! い、やだ!」
「相変わらず感度良いな」
アキラは両手で俺の胸を撫で始めたけど、中心を避けてばかりで、俺としては生殺し状態、思わず身をよじってしまう。
「もう腰振ってんの? これだから小悪魔ビッチなえろえろ結斗くんは」
「んんー!! だって、アキラが——!」
「俺が何? 結斗」
「ん、ちゃ、ちゃんと触って、くれない、から……」
俺は限界だった。もう何をしても先端に触れて欲しかった。しかもアキラは俺のTシャツ越しに触ってるからもどかしさは倍だ。
「結斗、どうして欲しい? ここ」
「あ、あ、あ!!」
アキラが少しTシャツで突起を擦る。頭から理性が消し飛ぶ。
「あぁ、触って、ねぇアキラ、ちゃんとアキラの指で触ってぇ!」
「よくできました」
アキラは満足げに言って、両手をTシャツの中に滑り込ませ、容赦なく先端をつまんだ。
「ああぁぁぁ!!」
「結斗」
「ア、アキラ、好き! もっと、もっと来てぇ!」
「結斗、マジかわいいな」
——結局玄関で二回して、ベッドでは睡眠をとるだけの夜だった。
まあ流石に何日も家に帰らなかったり、折角入った大学で授業を全く受けなかったりしたらまずいので、最低限の授業には出席し、親にはアキラのことは曖昧に、バンド始めて忙しくなるから外泊が増える、とは告げた。
問題は金銭面だった。スタジオ代や楽器のメンテなんかは案外馬鹿にならない。
部活棟の四階の部室は一応防音だが、タクトもアキラもそこでは練習する気が無いようで、もう受付の人に顔を覚えられた例の地下ブースのあるスタジオにばかり行っている。
タクトはこう言った。
「僕はね、一応タダで曲書いてあげてたんだけど、半分くらいの人が、『これはお金を払わないといけないくおりりーです!』ってお金くれてて、それ貯めてるから多分大丈夫」
と、あっけらかんと言ってのけた。つか『クオリティ』は言おうぜタクト。
「へぇ、どんくらいあんの?」
アキラが聞くと、タクトはスマホを取り出し、おそらくは銀行関連のアプリを起動したのだろう、そして、
「えっとね、32に0が4つ」
俺とアキラが一瞬考え、次の瞬間飛び上がった。
「320万?!」
「あ、そんなにあるんだぁ」
「だぁ、じゃねんだわ!」
半ばキレ気味のアキラに、タクトが聞き返す。
「二人はどうなの? お金ないと練習できないし、ちゃんとしたスタジオでレコーディングもできない。まあライブはまだ先だろうけど、お金はあった方が良い」
「……お、俺は、皆無。バイトするわ……」
俺がうつむき加減で言うと、
「いや、結斗の分は俺が持つ」
とアキラが言い放った。タクトが少し眉を上げる。
「自分で言うのもアレだけど、俺んち金だけはあるから。それに俺が住んでるマンション全室防音だから、適当に理由付けてバンド用に一部屋がめてもいい」
俺は驚いてアキラの顔を見た。
「え?! あの部屋賃貸じゃないの?!」
「言ってなかったっけ? あのマンション俺の親のなんだわ」
「秘密基地——!」
突然ウキウキした声をあげたのはタクトだった。
「リアル・ガン・フォックスの秘密基地作れるね! 楽器とか機材全部置いて、入れるの僕たちだけにして、こっそりそこでいっぱい練習して、僕もいっぱい曲書いて、うわぁ~楽しそう!!」
……やっぱりこいつは年中さくら組の幼稚園児だ……。
そしてスタジオを出た俺ら三人は、自然とアキラと俺がアキラの部屋の方へ向かい、タクトは駅方面に歩き始めた。
「あのさぁ結斗」
「ん?」
「帰ったら速攻で抱いていい?」
「はぁ?! ちょ、そういうことは公共の場では!」
「知るかよ。なんかすげえおまえ食いたい」
「残念ですが俺は食い物ではありません……」
とか言いつつ、ちゃっかりドキドキしている俺がいる。
晴れて『恋人』同士になってから、ちゃんとしてないからだ。
あーやばやば、三津屋アキラが、あの三津屋アキラが、俺に好意を抱いた状態で俺を——
と、ぐるぐるしていると、何か冷たいものが俺の右手に触れた。
ん?
違和感を抱いたのも一瞬。
次の瞬間には、その冷たいもの、三津屋アキラの手が、俺の手を握っていた。
「だあああああああああああ!!! アキラ!! それはちょっと!!!」
「え、なんで?」
「こ、公共の場、ですので——!」
「結斗って結構そういうの気にするんだな、ちょっと意外」
アキラはニヤッと笑って、再び俺の手を取りその腕力で俺を引き寄せた。
「いいじゃん、どうせ5分ちょいだし、人気も無いし」
結局俺は言いくるめられる感じで、でもすげえ嬉しさもあって、マンションまで手を繋いで歩いた。
バタン、と俺の身体がアキラの部屋に入りドアが閉まった瞬間だった。
「んっ!」
アキラが俺に口づけてきて、ギグバッグを下ろし、ジャケットを脱ぎながら舌を入れてきた。
「結斗……」
熱っぽくアキラは俺の名を呼び、俺のベースと荷物を玄関に置くよう動かし、そのまま俺の胸を触りだした。
「んっ——!」
「結斗」
「あっ! な、なに」
アキラは答えずに俺のベルトをすっと抜き、デニムを脱がそうとしてきた。
「ちょ、ア、アキラ! ベッド行こうよ!!」
「無理」
「無理って?! あ、あぁ、そこダメ!!」
俺の上着を脱がしたアキラは、玄関から続く廊下に俺を押し倒し、自分はその上に覆い被さった。
「アキラ——?」
「結斗」
言うとアキラは俺の鎖骨付近を舐め始めた。ここは最近聖なる性獣アキラさんによって開発された俺の変な性感帯だ。
「ふっふあっ! あ、あん! い、やだ!」
「相変わらず感度良いな」
アキラは両手で俺の胸を撫で始めたけど、中心を避けてばかりで、俺としては生殺し状態、思わず身をよじってしまう。
「もう腰振ってんの? これだから小悪魔ビッチなえろえろ結斗くんは」
「んんー!! だって、アキラが——!」
「俺が何? 結斗」
「ん、ちゃ、ちゃんと触って、くれない、から……」
俺は限界だった。もう何をしても先端に触れて欲しかった。しかもアキラは俺のTシャツ越しに触ってるからもどかしさは倍だ。
「結斗、どうして欲しい? ここ」
「あ、あ、あ!!」
アキラが少しTシャツで突起を擦る。頭から理性が消し飛ぶ。
「あぁ、触って、ねぇアキラ、ちゃんとアキラの指で触ってぇ!」
「よくできました」
アキラは満足げに言って、両手をTシャツの中に滑り込ませ、容赦なく先端をつまんだ。
「ああぁぁぁ!!」
「結斗」
「ア、アキラ、好き! もっと、もっと来てぇ!」
「結斗、マジかわいいな」
——結局玄関で二回して、ベッドでは睡眠をとるだけの夜だった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説


百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる