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第69話:クロイゼン・フォン・カンパネラ・ラリーハリー・ウォルズの悪巧み
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「セイジュ、繰り返すが人間のおまえが俺と結婚し、一国のファースト・レディ的存在になるということは相当な国際問題だ。人間の国から何かしらのリアクションが来ることは確実だし、おまえの家族も驚くだろう。他の国の連中も——」
「だから聞き飽きたってそれ! そういう覚悟できたって何回も言ってるじゃん!」
セイジュとクロイゼンは、王都ラリーハリーの王城、そのバルコニーに出る一歩手前に立っていた。
セイジュは全身黒いタキシード、クロイゼンはオフホワイトの燕尾服を身に纏っていた。
いよいよ、『王妃(仮)』のセイジュくんお披露目の時が来たのだ。
今現在は、威厳あるゴツゴツした姿に魔法で変装したあの少女ことウォルズ国王が、赤子からエルフに擬態した麗しい姿で前説を述べている。
「ところでセイジュ、俺はひとつ大きな問題を見つけてしまった」
「え、何それ、今言う必要のあるやつ?」
「いや、父上の話が長そうなんでな」
クロイゼンは言いながら視線を泳がせている。
「言って。今。なう」
セイジュが押し殺した声で言うと、クロイゼンは改めてセイジュの方へ向き直った。
「人間の寿命は長くて百年程度だと聞いた」
「そうだね、それくらいだね」
「俺はあと二十万年は生きる」
「え」
思わず声をあげたセイジュだが、クロイゼンの表情筋がぴくぴくしているところからして、何か策を思いついていることは察せた。
「おまえが百年で死んでしまったら残りの人生、絶望に暮れたまま過ごすことになる。それは困る。だから、おまえと俺の寿命が同等になるようにしようと思ってだな」
言いながらクロイゼンが笑いをこらえているので、セイジュは苛立ちだした。
「魔法を使って不老不死にでもなるの?」
「不老でも不死でもない。同じように老い同じように死ぬようにちょっと調節するだけだ。あと子供の問題もあるだろう、そっちはすでに手配が済んでいる」
セイジュが目と口をぽかんと開いた。
「それってどういう——」
「お二人さん! バルコニーに出てくれ!」
アヴィの指示で、セイジュは恐ろしく嫌な予感を抱きながらも王城のバルコニーに出、多くの国民から祝福された。
「だから聞き飽きたってそれ! そういう覚悟できたって何回も言ってるじゃん!」
セイジュとクロイゼンは、王都ラリーハリーの王城、そのバルコニーに出る一歩手前に立っていた。
セイジュは全身黒いタキシード、クロイゼンはオフホワイトの燕尾服を身に纏っていた。
いよいよ、『王妃(仮)』のセイジュくんお披露目の時が来たのだ。
今現在は、威厳あるゴツゴツした姿に魔法で変装したあの少女ことウォルズ国王が、赤子からエルフに擬態した麗しい姿で前説を述べている。
「ところでセイジュ、俺はひとつ大きな問題を見つけてしまった」
「え、何それ、今言う必要のあるやつ?」
「いや、父上の話が長そうなんでな」
クロイゼンは言いながら視線を泳がせている。
「言って。今。なう」
セイジュが押し殺した声で言うと、クロイゼンは改めてセイジュの方へ向き直った。
「人間の寿命は長くて百年程度だと聞いた」
「そうだね、それくらいだね」
「俺はあと二十万年は生きる」
「え」
思わず声をあげたセイジュだが、クロイゼンの表情筋がぴくぴくしているところからして、何か策を思いついていることは察せた。
「おまえが百年で死んでしまったら残りの人生、絶望に暮れたまま過ごすことになる。それは困る。だから、おまえと俺の寿命が同等になるようにしようと思ってだな」
言いながらクロイゼンが笑いをこらえているので、セイジュは苛立ちだした。
「魔法を使って不老不死にでもなるの?」
「不老でも不死でもない。同じように老い同じように死ぬようにちょっと調節するだけだ。あと子供の問題もあるだろう、そっちはすでに手配が済んでいる」
セイジュが目と口をぽかんと開いた。
「それってどういう——」
「お二人さん! バルコニーに出てくれ!」
アヴィの指示で、セイジュは恐ろしく嫌な予感を抱きながらも王城のバルコニーに出、多くの国民から祝福された。
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