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第63話:淫乱もここまできたら才能レベル
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「あの、クロイゼン。さっき言おうとしたことなんだけど……」
すでに第2ラウンド開戦の準備とも言わんばかりにセイジュを後ろから抱きかかえているクロイゼンに、セイジュが弱々しい声でそう言った。
「お願い、というやつか。何でも言え。我々は伴侶だ」
「うん。あのーもしこれからもっかい、その、エッチなことするなら……」
「しないのか? 俺はする気満々だしおまえもその気だろう」
「えっ! うん、したいんだけど……そのー……」
「さっきから何なんだ! 好きは言えても愛してるが言えんだとか、行為の際の要求ができんなど、対等ではないように感じるのは俺だけか?」
「だ、だってぇ……!!!!!」
クロイゼンはぎょっとして身をわずかに引いた。
セイジュが、突然幼児のように泣き始めたからだ。
「だって、俺、誰かに愛してるなんて言われるの、ウォルズに来てからなかったし、こういう気持ちいいことするのも初めてだし、嫌な人にされるのがどんなに苦痛かも味わったし、だから今クロイゼンとできるのは凄く嬉しいからぁぁぁぁあああああ!!!」
「お、お、落ち着け、セイジュ! とりあえず鼻水を拭け!!」
「……俺がクロイゼンが変装してた白い鳩に話しかけてたこと、覚えてる?」
すんすんと鼻を鳴らしながら、セイジュが尋ねた。クロイゼンは一瞬眼を細めてゆっくりと頷いた。
——おまえも大変だよな
——知性がないだけまだマシか
——ただ生きてるだけで人を不快にさせる。そんなつもりないのにね
——『忌むべき鳥』にシンパシーを感じる時点で俺も相当だな
「あの時はさして注意も払わず、おまえの個人的な事情と捉えていたが、よくよく考えてみれば、あれはおまえが人間であることの葛藤だったのだな」
「うん……。だから今、クロイゼンに好きって言われて、必要とされて、求められるのがすっごく嬉しいんだ。こんなに幸せな気持ちになったことは生まれて初めてかもしれない」
一瞬、沈黙が落ちた。
「では、おまえの願いはなんだ? 悪いが今の言葉で俺も多幸感でいっぱいだ。何でも聞くぞ」
「え! えっとね……」
セイジュはそう言うと、クロイゼンの首に両手を回し自ら軽いキスをした。
「四つん這いじゃなくて、その、クロイゼンの顔、見ながら、したい……。へ、変かな? 俺は——」
次の瞬間、セイジュはクロイゼンに口づけられたまま仰向けに押し倒されていた。
舌が絡み合い、クロイゼンはすでにセイジュの胸にふれている。
「おまえという奴は、どこまでかわいいのだ!」
「は、はい?」
「このまま続ける。俺を見ていろ。俺もおまえの顔を見ていたい」
優しく微笑んだクロイゼンに対し、セイジュもぎこちなく、だがしっかりと頷いた。
すでに第2ラウンド開戦の準備とも言わんばかりにセイジュを後ろから抱きかかえているクロイゼンに、セイジュが弱々しい声でそう言った。
「お願い、というやつか。何でも言え。我々は伴侶だ」
「うん。あのーもしこれからもっかい、その、エッチなことするなら……」
「しないのか? 俺はする気満々だしおまえもその気だろう」
「えっ! うん、したいんだけど……そのー……」
「さっきから何なんだ! 好きは言えても愛してるが言えんだとか、行為の際の要求ができんなど、対等ではないように感じるのは俺だけか?」
「だ、だってぇ……!!!!!」
クロイゼンはぎょっとして身をわずかに引いた。
セイジュが、突然幼児のように泣き始めたからだ。
「だって、俺、誰かに愛してるなんて言われるの、ウォルズに来てからなかったし、こういう気持ちいいことするのも初めてだし、嫌な人にされるのがどんなに苦痛かも味わったし、だから今クロイゼンとできるのは凄く嬉しいからぁぁぁぁあああああ!!!」
「お、お、落ち着け、セイジュ! とりあえず鼻水を拭け!!」
「……俺がクロイゼンが変装してた白い鳩に話しかけてたこと、覚えてる?」
すんすんと鼻を鳴らしながら、セイジュが尋ねた。クロイゼンは一瞬眼を細めてゆっくりと頷いた。
——おまえも大変だよな
——知性がないだけまだマシか
——ただ生きてるだけで人を不快にさせる。そんなつもりないのにね
——『忌むべき鳥』にシンパシーを感じる時点で俺も相当だな
「あの時はさして注意も払わず、おまえの個人的な事情と捉えていたが、よくよく考えてみれば、あれはおまえが人間であることの葛藤だったのだな」
「うん……。だから今、クロイゼンに好きって言われて、必要とされて、求められるのがすっごく嬉しいんだ。こんなに幸せな気持ちになったことは生まれて初めてかもしれない」
一瞬、沈黙が落ちた。
「では、おまえの願いはなんだ? 悪いが今の言葉で俺も多幸感でいっぱいだ。何でも聞くぞ」
「え! えっとね……」
セイジュはそう言うと、クロイゼンの首に両手を回し自ら軽いキスをした。
「四つん這いじゃなくて、その、クロイゼンの顔、見ながら、したい……。へ、変かな? 俺は——」
次の瞬間、セイジュはクロイゼンに口づけられたまま仰向けに押し倒されていた。
舌が絡み合い、クロイゼンはすでにセイジュの胸にふれている。
「おまえという奴は、どこまでかわいいのだ!」
「は、はい?」
「このまま続ける。俺を見ていろ。俺もおまえの顔を見ていたい」
優しく微笑んだクロイゼンに対し、セイジュもぎこちなく、だがしっかりと頷いた。
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