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第53話:フラフィ
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「な、何だろ、ここ……」
突如として現れた『なんかでっかいふわふわ』に呼ばれるように、わずかに開いた入り口に飛び込んだセイジュだったが、まずはその内部に驚いていたのだ。『なんかでっかいふわふわ』の物理的な大きさは直径一メートル程度だったのに、内部は果てしなく広い。
そして、様々なものが陳列されていたり、床に転がったりしていた。
子供が好きそうな古い玩具、綺麗な石が詰めこんである箱、それらを眺めながら、セイジュはゆっくりと歩き進めた。そして徐々に感じ始める。
——これはクロイゼンの何かだ。
分かる自分がいた。
理由は分からない。だが、セイジュは確信していた。そして歩くにつれて、段々とクロイゼンの年齢が上がっていくのも見て取れた。子供用の玩具などが多かった入り口とは違い、楽器や機械があったり、床にバタフライナイフが無造作に捨てられていたり、書籍が増えていっていた。
——クロイゼンの、物置?
『失礼な! 俺の宝箱だ!』
「クロイゼン?! クロイゼンなの?!」
好意を自覚した上で聞く彼の声は、セイジュの心に安心感と暖かさを与えた。
——この声を聞くだけで俺はこんなにも安堵するようになってたんだ
改めて自覚すると、少々気恥ずかしかった。
突如として現れた『なんかでっかいふわふわ』に呼ばれるように、わずかに開いた入り口に飛び込んだセイジュだったが、まずはその内部に驚いていたのだ。『なんかでっかいふわふわ』の物理的な大きさは直径一メートル程度だったのに、内部は果てしなく広い。
そして、様々なものが陳列されていたり、床に転がったりしていた。
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——これはクロイゼンの何かだ。
分かる自分がいた。
理由は分からない。だが、セイジュは確信していた。そして歩くにつれて、段々とクロイゼンの年齢が上がっていくのも見て取れた。子供用の玩具などが多かった入り口とは違い、楽器や機械があったり、床にバタフライナイフが無造作に捨てられていたり、書籍が増えていっていた。
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好意を自覚した上で聞く彼の声は、セイジュの心に安心感と暖かさを与えた。
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