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第22話:天然なりの知識発揮その弐
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「あ、そっか!」
セイジュが黒露の葉入りライスを食べ始めてすぐ、大きな声で納得の声を上げた。
「くるみが入ってるから毒素が抜けて効力だけが残ってるんだ! 流石、王宮の料理は凄いなぁ!」
「何の話だ?」
「黒露の話。一応効用があって、えーと、俺はよく分からないんだけど、村のみんなは『夜元気になる』って言ってた!」
無邪気に言うセイジュに対し、クロイゼンは『こいつはおそらく効用の意味を理解していないな』と確信した。
「しかしこのライスには乾燥されていないものが入っているのだろう? これはどういうことだ?」
「俺も実践したことはないんだけど、黒露の葉の毒素はくるみに弱いって聞いたことがあってさ。多分これを作ってくれた方は、俺が弱ってるから元気になるようにってあえて黒露を入れてくれたんだと思う!」
「なるほど、厨房にもなかなか頭が回る奴がいるようだな。ところでセイジュ、その黒露とやらの効用、『夜元気になる』、というものは、俺にも作用すると思うか?」
セイジュは首を傾ぐ。
「どう、かな……他のクリーチャーと悪魔の内臓の仕組みとか違いが分からないから何とも……」
「上等上等、ものは試しだ、一口もらうぞ」
「えっ」
セイジュの許可無しに、クロイゼンは大きなスプーンで具だくさんライスをすくって口に放り込んだ。
「ふん、黒露というやつは味もしないし噛み応えもないな。薬草に近いのか。ま、効用には期待しておこう」
……というやりとりを経て、現在セイジュとクロイゼンは『夜元気』になっているのである。
セイジュが黒露の葉入りライスを食べ始めてすぐ、大きな声で納得の声を上げた。
「くるみが入ってるから毒素が抜けて効力だけが残ってるんだ! 流石、王宮の料理は凄いなぁ!」
「何の話だ?」
「黒露の話。一応効用があって、えーと、俺はよく分からないんだけど、村のみんなは『夜元気になる』って言ってた!」
無邪気に言うセイジュに対し、クロイゼンは『こいつはおそらく効用の意味を理解していないな』と確信した。
「しかしこのライスには乾燥されていないものが入っているのだろう? これはどういうことだ?」
「俺も実践したことはないんだけど、黒露の葉の毒素はくるみに弱いって聞いたことがあってさ。多分これを作ってくれた方は、俺が弱ってるから元気になるようにってあえて黒露を入れてくれたんだと思う!」
「なるほど、厨房にもなかなか頭が回る奴がいるようだな。ところでセイジュ、その黒露とやらの効用、『夜元気になる』、というものは、俺にも作用すると思うか?」
セイジュは首を傾ぐ。
「どう、かな……他のクリーチャーと悪魔の内臓の仕組みとか違いが分からないから何とも……」
「上等上等、ものは試しだ、一口もらうぞ」
「えっ」
セイジュの許可無しに、クロイゼンは大きなスプーンで具だくさんライスをすくって口に放り込んだ。
「ふん、黒露というやつは味もしないし噛み応えもないな。薬草に近いのか。ま、効用には期待しておこう」
……というやりとりを経て、現在セイジュとクロイゼンは『夜元気』になっているのである。
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