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第10話:種族差別主義者登場、つかもう王宮にぶち込まれてる件
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「ん……」
セイジュが意識を取り戻し、ゆっくりと目を開けると、そこにはいつもの藁葺きの天井ではなくワインレッドの布が見えた。
——なんだここ。
少しずつ意識が戻るにつれ、そのワインレッドの布が天蓋付きベッドの飾りだと気づいた。
……って、えっ?!
「お目覚めですか、セイジュ様?」
温度の低い声が聞こえた。感情のこもっていない声だ。
「あ、えーと、はい」
とりあえずそう応えると、声の主がベッド脇までやってきた。
すると、セイジュはまた息をのむこととなる。
長身で、長めの髪の毛は銀髪、瞳の色はグレー、黒い衣服はセイジュでも見たことのある、王室直属の近衛兵の制服だった。
……なんかまた、かっこいい人出てきちゃった……。
茫洋とセイジュは思ったが、いや、違うから。今おまえが突っこむべきはそこじゃないから。
「わたくしはクロイゼン王子の側近、シクロフスキと申します。シクロとお呼びください。お着替えはベッドサイドにございます。わたくしは部屋の前で待機しておりますので、お着替えが済み次第——」
「え! ちょっと待ってくださいシクロさん! ここどこですか?! 俺は森の奥の村にいたはずで——」
セイジュが大声で言うと、シクロは眉間にしわを寄せ、今にも舌打ちでもしそうな複雑な表情を浮かべた。
「セイジュ様、貴方はクロイゼン王子の婚約者として王宮入りされたのですよ。村には二度と戻すことはないと王子はおっしゃっています。ですので、とりあえずお着替えを……」
「二度と戻れない?!」
再度セイジュが喚いた。
その次の瞬間、シクロが剣を抜いた。
本物の剣などもちろん初めて見る。農具とは大違いの刃の輝きに言葉を失っていると、
「人間ごときがギャーギャー騒ぐな。耳障りだ」
シクロがそう言って剣の切っ先をセイジュの顎にペタペタと当ててきた。
「まったく、王子も何を考えてらっしゃるのか。こんな下等生物を娶るとは、ご乱心したとしか考えられん。おい人間、貴様王子に何か取り入るようなことをしたのか?」
刃がセイジュの頸動脈に当たる。
口をパクパクと動かして言葉を発そうとするが、恐怖が勝って発声できない。
「こんな根性無しにそんな度胸もないと見た。いいか人間、ひとつだけ忠告してやる。この王宮に人間に優しいクリーチャーがいると思うな。以上だ。とっとと着替えて出てこい」
シクロは剣を収め、部屋から出て行った。
セイジュは恐怖に凍り付いたまま、しばらく動くことができなかった。
セイジュが意識を取り戻し、ゆっくりと目を開けると、そこにはいつもの藁葺きの天井ではなくワインレッドの布が見えた。
——なんだここ。
少しずつ意識が戻るにつれ、そのワインレッドの布が天蓋付きベッドの飾りだと気づいた。
……って、えっ?!
「お目覚めですか、セイジュ様?」
温度の低い声が聞こえた。感情のこもっていない声だ。
「あ、えーと、はい」
とりあえずそう応えると、声の主がベッド脇までやってきた。
すると、セイジュはまた息をのむこととなる。
長身で、長めの髪の毛は銀髪、瞳の色はグレー、黒い衣服はセイジュでも見たことのある、王室直属の近衛兵の制服だった。
……なんかまた、かっこいい人出てきちゃった……。
茫洋とセイジュは思ったが、いや、違うから。今おまえが突っこむべきはそこじゃないから。
「わたくしはクロイゼン王子の側近、シクロフスキと申します。シクロとお呼びください。お着替えはベッドサイドにございます。わたくしは部屋の前で待機しておりますので、お着替えが済み次第——」
「え! ちょっと待ってくださいシクロさん! ここどこですか?! 俺は森の奥の村にいたはずで——」
セイジュが大声で言うと、シクロは眉間にしわを寄せ、今にも舌打ちでもしそうな複雑な表情を浮かべた。
「セイジュ様、貴方はクロイゼン王子の婚約者として王宮入りされたのですよ。村には二度と戻すことはないと王子はおっしゃっています。ですので、とりあえずお着替えを……」
「二度と戻れない?!」
再度セイジュが喚いた。
その次の瞬間、シクロが剣を抜いた。
本物の剣などもちろん初めて見る。農具とは大違いの刃の輝きに言葉を失っていると、
「人間ごときがギャーギャー騒ぐな。耳障りだ」
シクロがそう言って剣の切っ先をセイジュの顎にペタペタと当ててきた。
「まったく、王子も何を考えてらっしゃるのか。こんな下等生物を娶るとは、ご乱心したとしか考えられん。おい人間、貴様王子に何か取り入るようなことをしたのか?」
刃がセイジュの頸動脈に当たる。
口をパクパクと動かして言葉を発そうとするが、恐怖が勝って発声できない。
「こんな根性無しにそんな度胸もないと見た。いいか人間、ひとつだけ忠告してやる。この王宮に人間に優しいクリーチャーがいると思うな。以上だ。とっとと着替えて出てこい」
シクロは剣を収め、部屋から出て行った。
セイジュは恐怖に凍り付いたまま、しばらく動くことができなかった。
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