3 / 9
第3話:柳さんのお仕事
しおりを挟む
「ここの十階。そこにエレベーターあるから」
そう言われた俺の視界に映っていたのは、もう、超高級マンション。オーラが、放たれるオーラが違う。つか何階建て? 十階なんて俺デパートでも行ったことないよ?
「あ、もしかして高い所苦手とかある?」
「ないですないです! ただ十階って今まで行ったことのない高さなんでちょっとビックリしただけで」
「じゃあ念のためカーテンは全部閉めよう。個人的には、俺の映画鑑賞室を大津くんがどう思うかが気になるけど」
「え」
映画鑑賞室? 映画を見るだけのために部屋設けてるのこの人? こんな高そうなマンションの一室を?
頭が期待と緊張でふらふらしながら、俺と柳さんはエレベーターに乗り込み、十階で降り、角部屋の柳さんの部屋へと向かった。その時思わず下を見て俺が内心でヒャー! と恐怖の雄叫びをあげたことは内緒だ。
部屋に通されると、もう玄関から何から何もが高級品の塊、高級品の大安売りという語義矛盾が生まれるような豪華なリヴィングが広がっていた。
「あ、そうだ。その服じゃキツいでしょ、後で寝間着貸すよ、着てないやつ」
「え、いえ! 大丈夫です! 恐縮です!!」
俺がビビりまくってるのが分かっているのか、柳さんは薄い笑みをたたえたままカウンターキッチンに入っていった。え、っていうかこの人料理もできるの?
柳さんのスーパーハイスペックぶりについて行けない俺は『スパダリ』って実在するんだ……とか何とか茫洋と思っていた。
「はい、アイスティー。たまには俺が出すのもいいだろ?」
「あ、ありがとうございます!」
カウンターは、行ったことはないけどバーみたいな作りになっていて、高い椅子が三つ並んでいた。ダメだ、俺こういうおしゃんてぃーな所行ったことないからどう振る舞っていいかわかんねえ!
「そこ座ってよ、俺、横座るから」
柳さんは優しく言って、自分もアイスティーに(これまた高級そうな瓶詰めの)蜂蜜を垂らしてグラスを手に取った。俺は恐る恐る、おそらくはスツールと呼ばれる椅子に座り、アイスティーに口を付けてみた。
ら。
何だこれ! 香りすげえ! 茶葉が! 甘酸っぱさも絶妙! 氷も洒落た形してる!!!
思わず俺はアイスティーを一気飲みしてしまった。
「なんかさっきから緊張してる?」
心配げな顔で、柳さんがこちらを向いた。
「い、いえ! あまり体験したことのないことが発生しているので……、あ、あれ——?」
頭が急にぐるぐる回り始め、俺は思わず柳さんの肩を掴んだ。が、そのまま自重で床に転がってしまった。
「またディーラーも強いの仕込んできたなぁ。大津くん、意識ある?」
柳さんは無様に倒れたままの俺を起こそうともせずにそう尋ねてきた。
意味が分からなかった。意識ははっきりある。柳さんがいつもの微笑みとは多少違う類の笑みを浮かべていることも知覚した。そして、意識はあるのに身体が言うことを聞かない、という金縛りのような状態。
なに、これ……。
「じゃあ大津くん、始めるね」
柳さんは表情を変えず、軽々と俺をお姫様抱っこして、ベッドルームのツインベッドに放り投げた。
そう言われた俺の視界に映っていたのは、もう、超高級マンション。オーラが、放たれるオーラが違う。つか何階建て? 十階なんて俺デパートでも行ったことないよ?
「あ、もしかして高い所苦手とかある?」
「ないですないです! ただ十階って今まで行ったことのない高さなんでちょっとビックリしただけで」
「じゃあ念のためカーテンは全部閉めよう。個人的には、俺の映画鑑賞室を大津くんがどう思うかが気になるけど」
「え」
映画鑑賞室? 映画を見るだけのために部屋設けてるのこの人? こんな高そうなマンションの一室を?
頭が期待と緊張でふらふらしながら、俺と柳さんはエレベーターに乗り込み、十階で降り、角部屋の柳さんの部屋へと向かった。その時思わず下を見て俺が内心でヒャー! と恐怖の雄叫びをあげたことは内緒だ。
部屋に通されると、もう玄関から何から何もが高級品の塊、高級品の大安売りという語義矛盾が生まれるような豪華なリヴィングが広がっていた。
「あ、そうだ。その服じゃキツいでしょ、後で寝間着貸すよ、着てないやつ」
「え、いえ! 大丈夫です! 恐縮です!!」
俺がビビりまくってるのが分かっているのか、柳さんは薄い笑みをたたえたままカウンターキッチンに入っていった。え、っていうかこの人料理もできるの?
柳さんのスーパーハイスペックぶりについて行けない俺は『スパダリ』って実在するんだ……とか何とか茫洋と思っていた。
「はい、アイスティー。たまには俺が出すのもいいだろ?」
「あ、ありがとうございます!」
カウンターは、行ったことはないけどバーみたいな作りになっていて、高い椅子が三つ並んでいた。ダメだ、俺こういうおしゃんてぃーな所行ったことないからどう振る舞っていいかわかんねえ!
「そこ座ってよ、俺、横座るから」
柳さんは優しく言って、自分もアイスティーに(これまた高級そうな瓶詰めの)蜂蜜を垂らしてグラスを手に取った。俺は恐る恐る、おそらくはスツールと呼ばれる椅子に座り、アイスティーに口を付けてみた。
ら。
何だこれ! 香りすげえ! 茶葉が! 甘酸っぱさも絶妙! 氷も洒落た形してる!!!
思わず俺はアイスティーを一気飲みしてしまった。
「なんかさっきから緊張してる?」
心配げな顔で、柳さんがこちらを向いた。
「い、いえ! あまり体験したことのないことが発生しているので……、あ、あれ——?」
頭が急にぐるぐる回り始め、俺は思わず柳さんの肩を掴んだ。が、そのまま自重で床に転がってしまった。
「またディーラーも強いの仕込んできたなぁ。大津くん、意識ある?」
柳さんは無様に倒れたままの俺を起こそうともせずにそう尋ねてきた。
意味が分からなかった。意識ははっきりある。柳さんがいつもの微笑みとは多少違う類の笑みを浮かべていることも知覚した。そして、意識はあるのに身体が言うことを聞かない、という金縛りのような状態。
なに、これ……。
「じゃあ大津くん、始めるね」
柳さんは表情を変えず、軽々と俺をお姫様抱っこして、ベッドルームのツインベッドに放り投げた。
12
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
召喚された美人サラリーマンは性欲悪魔兄弟達にイカされる
KUMA
BL
朱刃音碧(あかばねあおい)30歳。
ある有名な大人の玩具の開発部門で、働くサラリーマン。
ある日暇をモテ余す悪魔達に、逆召喚され混乱する余裕もなく悪魔達にセックスされる。
性欲悪魔(8人攻め)×人間
エロいリーマンに悪魔達は釘付け…『お前は俺達のもの。』
マフィアのペットになりました。
かとらり。
BL
藤谷真緒はごく普通の日本人。
ある時中国に出張している父親に会いに行ったら、チャイニーズマフィアに誘拐されて次期トップの李颯凛(リ・ソンリェン)に飼われることになってしまう。
「お前は俺のペットだ」
真緒は颯凛に夜な夜な抱かれてー…
【R18】執着ドS彼氏のお仕置がトラウマ級
海林檎
BL
※嫌われていると思ったら歪すぎる愛情だったのスピンオフ的なショート小話です。
ただただ分からせドS調教のエロがギッチリ腸に詰めすぎて嘔吐するくらいには収まっているかと多分。
背格好が似ている男性を見つけて「こう言う格好も似合いそう」だと思っていた受けを見て「何他の男を見てんだ」と、キレた攻めがお仕置するお話www
#濁点喘ぎ#電気責め#拘束#M字開脚#監禁#調教#アク目#飲ザー#小スカ#連続絶頂#アヘ顔#ドS彼氏#執着彼氏#舌っ足らず言葉#結腸責め#尿道・膀胱責め#快楽堕ち#愛はあります
【完結】聖アベニール学園
野咲
BL
[注意!]エロばっかしです。イマラチオ、陵辱、拘束、スパンキング、射精禁止、鞭打ちなど。設定もエグいので、ダメな人は開かないでください。また、これがエロに特化した創作であり、現実ではあり得ないことが理解できない人は読まないでください。
学校の寄付金集めのために偉いさんの夜のお相手をさせられる特殊奨学生のお話。
旦那様、お仕置き、監禁
夜ト
BL
愛玩ペット販売店はなんと、孤児院だった。
まだ幼い子供が快感に耐えながら、ご主人様に・・・・。
色々な話あり、一話完結ぽく見てください
18禁です、18歳より下はみないでね。
クソザコ乳首くんの出張アクメ
掌
BL
おさわりOK♡の家事代行サービスで働くようになった、ベロキス大好きむっつりヤンキー系ツン男子のクソザコ乳首くんが、出張先のどすけべおぢさんの家で乳首穴開き体操着でセクハラ責めされ、とことんクソザコアクメさせられる話。他腋嗅ぎ、マイクロビキニなど。フィクションとしてライトにお楽しみください。
ネタの一部はお友達からご提供いただきました。ありがとうございました!
pixiv/ムーンライトノベルズにも同作品を投稿しています。
なにかありましたら(web拍手)
http://bit.ly/38kXFb0
Twitter垢・拍手返信はこちらから
https://twitter.com/show1write
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる