2 / 4
人生の始まり。
しおりを挟む
6月12日、私は東京の端っこで生まれた。
当時母と父は仲が良く幸せな家族だった。
その幸せな家族がバラバラになるのは、とてつもなく早かった。
ある日、父がべろべろになって家に帰ってきた。私は当時6歳であと少しで小学生になる寸前だった。早くランドセルを背負って学校に行きたい!そう目を輝かせていたのだ。
いつものように玄関まで父を迎えに行くと、そこにはべろべろに酔ってお酒の匂いを漂わせている父とは思えない人がいた。
母はそんな父を優しく抱きかかえ「お疲れさま。」と呟いて部屋に運んだ。
こんな父を見たのは初めてで、父の姿を見たのは、これが最期だった。
次の日の朝、私はいつものように起きて母のもとに向かった。するとそこには真っ赤に染まった床にじっと一転を見つめ固まっている母の姿。
私は、幼かったため母が何をしているのか、どうして床が真っ赤に染まっていたのかが理解できなかった。
「ねえ、お母さん?どうして、真っ赤なの?.....ねえお母さん?」
私が何回話しかけても母は応答してくれなかった。ただ一点を見つめボーとしてるだけ。
母が何を見ながらボーとしているのか、私が母と同じ目線に座り目線をやるとそこには
真っ赤に染まった父が倒れていた。
私は、声が出なかった。すると外からピーポーとサイレンの音が聞こえすぐさま警察の人や救急の人が入ってきた。
倒れている父にお辞儀をして連れていく白い人たち。
ぼーと座っている母を連れて行こうとするおまわりさん。
私は必死にその人たちにしがみつき何度も叫んだ。
「ねえ!!私のお母さんとお父さんをどこに連れていくの?!」
「話してよ!!お母さん!お父さん!」
誰も幼い私の声なんて聴いてくれなかった。
あっという間に家は私一人になり、母も父も連れていかれた。
私は数分その場で立っていると、そこへ警察官が来て
「お姉ちゃん、少し私といようか・・・。」
女の警察官は何も言わない私の体を包み込むように抱いて、肩を震わせた。
私はなにも考えられなかった。
母も父も昨日まで笑顔で。
本当は私を包み込むように暖かい手で包み込んでくれるのは母なのに。
その母は今ここにはいない。
代わりに残ったものは、警察官の女の人と床に広がった赤いシミだった。
当時母と父は仲が良く幸せな家族だった。
その幸せな家族がバラバラになるのは、とてつもなく早かった。
ある日、父がべろべろになって家に帰ってきた。私は当時6歳であと少しで小学生になる寸前だった。早くランドセルを背負って学校に行きたい!そう目を輝かせていたのだ。
いつものように玄関まで父を迎えに行くと、そこにはべろべろに酔ってお酒の匂いを漂わせている父とは思えない人がいた。
母はそんな父を優しく抱きかかえ「お疲れさま。」と呟いて部屋に運んだ。
こんな父を見たのは初めてで、父の姿を見たのは、これが最期だった。
次の日の朝、私はいつものように起きて母のもとに向かった。するとそこには真っ赤に染まった床にじっと一転を見つめ固まっている母の姿。
私は、幼かったため母が何をしているのか、どうして床が真っ赤に染まっていたのかが理解できなかった。
「ねえ、お母さん?どうして、真っ赤なの?.....ねえお母さん?」
私が何回話しかけても母は応答してくれなかった。ただ一点を見つめボーとしてるだけ。
母が何を見ながらボーとしているのか、私が母と同じ目線に座り目線をやるとそこには
真っ赤に染まった父が倒れていた。
私は、声が出なかった。すると外からピーポーとサイレンの音が聞こえすぐさま警察の人や救急の人が入ってきた。
倒れている父にお辞儀をして連れていく白い人たち。
ぼーと座っている母を連れて行こうとするおまわりさん。
私は必死にその人たちにしがみつき何度も叫んだ。
「ねえ!!私のお母さんとお父さんをどこに連れていくの?!」
「話してよ!!お母さん!お父さん!」
誰も幼い私の声なんて聴いてくれなかった。
あっという間に家は私一人になり、母も父も連れていかれた。
私は数分その場で立っていると、そこへ警察官が来て
「お姉ちゃん、少し私といようか・・・。」
女の警察官は何も言わない私の体を包み込むように抱いて、肩を震わせた。
私はなにも考えられなかった。
母も父も昨日まで笑顔で。
本当は私を包み込むように暖かい手で包み込んでくれるのは母なのに。
その母は今ここにはいない。
代わりに残ったものは、警察官の女の人と床に広がった赤いシミだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
お尻たたき収容所レポート
鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。
「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。
ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
婚約者とその幼なじみがいい雰囲気すぎることに不安を覚えていましたが、誤解が解けたあとで、その立ち位置にいたのは私でした
珠宮さくら
恋愛
クレメンティアは、婚約者とその幼なじみの雰囲気が良すぎることに不安を覚えていた。
そんな時に幼なじみから、婚約破棄したがっていると聞かされてしまい……。
※全4話。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる