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童貞でもいいのでしょうか
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『いいよ』と言いそうになってハッとした。
いや、いい訳ないじゃないか!! 僕は童貞なんだぞ!? 絶対上手くできっこない!! 尚君はきっと初めてなんだ! ここは僕がリードしなきゃいけないんだぞ!?
「……」
いや、本当に初めてなのかな? 僕は今尚君が行った行為の数々を思い起こした。
……どう考えても初めての人がやる行動じゃない気がする。それどころか尚君の行動はセックスに慣れた人の動きだ。
僕は恐る恐る口を開いた。
「尚君……。君、セックスは初めてだよね?」
「え? 違うけど。あ、でも安心して。そんなに経験人数は多くないから」
「!!」
初めてじゃなかったのか……。
そりゃあそうだよな。だって尚君って美しいもんな……。こんな美青年を周りがほっとくわけないか。
そこで僕は大変な事に気が付いた。
尚君がセックス経験者なら、僕が童貞なのは尚更マズイんじゃないか?
だって今までの男と比べられるじゃないか。
『藍沢さん……。セックス下手くそだなぁ。全然気持ち良くない。他の男達の方が上手かったなぁ……』とか思われるかもしれない!
僕はサァーッと血の気が引いた。やっぱり今はまだセックスできない!!
もっと勉強をして自分に自信が持ててからじゃないと!!
僕は尚君の下でガムシャラに暴れた。
「ちょ、ちょっと藍沢さん。今更暴れないでよ……」
「退いてくれ! 君とはセックスしたくない!」
「……」
尚君は僕の言葉にムッとしたようだ。口をへの字にして僕を睨んでいる。兎に角逃げようと暴れていたら、尚君がアザになるんじゃないかってくらいに僕の両手をギュッと拘束した。
「セックスしたくないって何だよ!! 藍沢さん、俺の事好きって言ったじゃん!!」
「言ったけど、それとこれとは別なんだ!」
「ふざけんな!!」
尚君の怒鳴り声にビクッと身体が縮こまった。
「セックスしたくない好きって何だよ!! そんなの本当の好きじゃねーだろ!!」
「な、尚君……」
「俺は藍沢さんの事もっと知りたい。触れたいし、繋がりたいし、色々な表情を見てみたい!!」
「……」
「藍沢さんはそうは思ってくれない訳!?」
「……」
尚君はくしゃりと顔を歪め、泣きそうな顔で話を続けた。
「俺なんか虚しいよ。俺ばっかり藍沢さんの事好きだ。これじゃあまるで片想いみたいじゃん……」
「そんな事……」
「藍沢さん、俺の顔だけが好きなんじゃない? セックスしたくないって事は見てるだけでいいって事だろう……?」
「ち、違うよ……」
「違わないよ。そんな『好き』じゃ俺、報われないよ。このままの関係じゃ辛いよ……」
「……」
僕は黙り込んだ。
尚君がそんな事を考えていたなんて知らなかった。
僕の行動が尚君を不安にさせてしまったんだ……。
どうしよう……。
何て言葉をかけて良いか分からない。ここで僕が『そんな事ない! 尚君の事は大好きだよ!』と言っても尚君には響かない気がする。
尚君は僕がセックスしたがらないから不安になっているんだ。だったらスッパリとセックスに応じるのが一番の解決策だ。
でも……、いざ本番になった時、僕は上手く立ち回れれるだろうか……。
きっと失敗する……! 尚君に幻滅されてしまう!
「藍沢さん……。何か言ってよ……」
「……」
あぁ、尚君が不安そうな顔をしている。何とかしなければ。
僕はゴクリと唾を飲み込んだ。
――言おう。
言ってしまおう、僕が童貞である事を。
それで幻滅されるならもうしょうがない。それより今は尚君の不安を解消してあげたい。
「な、尚君……実はね……」
僕は尚君の顔がマトモに見れなくてギュッと目を瞑りながら叫んだ。
「僕! 童貞なんだ!!」
「は?」
尚君は呆けたような声を上げた。僕は構わず話を続ける。
「童貞だから、セックスが下手なんだ! 多分上手に尚君を抱けないと思う! だから君を拒んでたんだ! 本当は君の事子供なんて思ってないよ! 君に幻滅されたくなかっただけなんだ……! でも、それじゃあダメだって――」
「ちょ、ちょっと待って!」
尚君は僕の言葉を遮って大慌てで口を開いた。
「色々ツッコミどころが多いんだけど、まず確認! 藍沢さん、俺に突っ込みたいの!?」
「え? 突っ込みたいと言うか……。僕が抱かれる側なんて気持ち悪いだろう? だから僕が抱く側をやろうと……」
「全然気持ち悪くないよ! そんな理由なら俺が突っ込んでもいいよね!?」
「え"っ……!」
「俺、藍沢さん抱きたいんだけど……」
えぇ……!? 尚君本気か……!? 気持ち悪くないのかなぁ……。
僕が困惑していると、尚君は僕の唇をそっと撫でた。
「ダメ? 藍沢さん……」
甘えるような声音で囁かれた。
「でも……」
「お願い」
……よく考えたら僕は別にどっちでも良いのだ。
ただ尚君が抱かれる側の方が似合うと思ったから……。ダメだな僕は。そういう事は最初に確認しなければいけなかった。よ、よし。僕も覚悟を決めよう。尚君が抱く側をやりたいと言うのならやらせてあげたい。
「い、いいよ。尚君がそうしたいなら……」
「やった」
尚君は嬉しそうに微笑むと、僕の顔中にキスの雨を降らせた。
「じゃあもういいよね、セックスしようよ」
「ま、待ってよ! 僕の童貞問題はどうなったの!? 僕セックス下手くそだけど大丈夫?」
「そんなの気にしないよ。だって俺が藍沢さんを抱くんだよ? 藍沢さんは何もしなくていいよ」
「ほ、本当にそれでいいのかい? 幻滅しない?」
「しない。それよりもう焦らさないでよ。俺さっきから藍沢さんの裸見ててムラムラしてんだよ」
「ムラムラって……」
僕が赤面していたら尚君の唇が僕の首筋をスーッと撫でた。そのまま鎖骨に移動してペロリと舐められた。僕はそれだけで身体が熱くなった。
「藍沢さん、俺もう止まれそうにないわ」
「う、うん。僕も興奮してきた」
「じゃあいいよね?」
「うん……」
僕が弱々しく頷くと同時に、尚君が僕の乳首をペロリと舐めた。
「あ……」
そのままペロペロ舐められる。
そんなとこ舐めないでくれ……。身体がゾクゾクする。
居ても立っても居られなくなってモジモジと足を動かした。
「藍沢さん、乳首感じるんだね。……じゃあこれは?」
今度はカプカプと優しく噛まれた。空いている方の乳首は指先でクリクリと弄られる。
「んぅ……」
「は……。可愛い声。滅茶苦茶興奮する」
そのまま舌と指で思う存分弄られた。
僕の性器が再び立ち上がってきた。トロリとした先走りが性器を伝う。
「尚君……。乳首はもういいよ。それより……」
「はは。下触って欲しいんだ」
僕は泣きそうな顔で弱々しく頷いた。
「あー。一応準備して来てよかった」
尚君がゴソゴソとポケットを探る。中から携帯用のローションが出てきた。いつも持ち歩いているのかな? 準備いいなぁ。
「後ろ触るから足開いて」
「う、うん……」
僕は言われた通り、恐る恐る脚を開いた。尚君は僕の脚の間に座り込み、僕の脚を持ち上げた。
や、やだこの体勢。アナルが丸見えじゃないか……。恥ずかしくて唇を噛んだ。
尚君はギラギラした目でローションを指にまとい僕のアナルをそっと撫でた。
ツプ……と指がアナルに侵入した。
異物感が凄くて僕はフーフーと深呼吸した。
「痛い?」
「痛くはないけど、変な感じ」
「そっか。なら大丈夫かな。こっちも触ってあげるからね」
そう言うと、空いている方の手で僕の半勃ちの性器を掴んだ。上下に優しく扱かれながら、別の手でアナルをまさぐられる。
僕は性器が気持ち良くてそちらに意識が向いた。
「はぁ……。はぁ……。ん……気持ちいい……」
気持ちいいとアナルに入っている指先をキュウキュウと締め付けてしまう。締め付けると、また別の快感が僕を襲う。
段々僕の喘ぎ声が切迫つまったものになってきた。
「あっ……あっ……。そこぉ……」
「……ここ?」
尚君の指がある一点に触れた。僕は甲高い声で喘いだ。
もう大丈夫と判断したのか、尚君は僕のアナルに二本の指を入れてグチョグチョと掻き回していた。
「そろそろいいかな……」
尚君は僕のアナルから指を引き抜いた。
僕のアナルは何か太いものを求めてパクパクと開閉している。
尚君はそれを見て、エロいな……と呟いた。
ハァハァ荒い息を吐きながら尚君を見ていたら、尚君がズボンと下着をずらした。
ブルンと音がしそうな性器が顔を出した。
顔に似合わずご立派なモノをお持ちで……。
僕は圧倒されてゴクンと喉を鳴らした。
尚君が再び僕に覆いかぶさってくる。そしてピタリと僕のアナルに性器を押し付けた。
「挿れるよ」
「あぁ……」
尚君の性器がゆっくりと僕の中に入ってきた。指なんかと比べものにならない太さで、僕は息を呑んだ。
もうこれ以上奥には入らないというところまできて、尚君の動きが止まった。
そのままジッとしてくれている。
「はっ……。すごい締め付け」
「尚君、気持ちいい?」
「うん、気持ちいいよ」
尚君の顔が近付いてくる。
僕達はピチャピチャと舌を絡め合った。
「そろそろ動くよ?」
「うん……」
尚君はゆっくりと性器を引き抜いた。そして再び押し込む。それを何回か繰り返した。
多分、ゆっくりなのは僕の身体を気遣ってくれているからだ。そんな尚君の優しさに胸が熱くなった。
僕は尚君にそっとキスをした。
「もっと激しく動いていいよ」
「いいの?」
「うん、大丈夫だよ」
「じゃあ……」
尚君の腰の動きが速くなってきた。
「あっ……あっ……」
気持ちいい……。
すぐに達してしまいそうになるのをグッとこらえた。
尚君は僕の腰を掴み、何度も強靭な突きを繰り返した。
僕はもう何が何だか分からなくなって、声が枯れるんじゃないかってくらい喘いだ。
「藍沢さんっ……。中に出していい?」
「う……んっ。いいよ……!」
尚君の動きが止まり、勢いよく射精した。熱い……! それにすごい量だ。
「あぁ……っ!」
僕は一際大きな声で喘ぐと、中を濡らされた快感でピュッと射精した。
※※※※
二人の息が整うと、尚君はゆっくりと僕の中から出ていった。そして僕の頬にチュッとキスをした。
「可愛かったよ藍沢さん」
「尚君は……、カッコよかった……」
尚君が照れた様に笑ったので僕もニコリと微笑んだ。
その後尚君はお湯で濡らしたタオルを持ってきて、僕の身体を優しく拭いてくれた。
流石は尚君。アフターケアもバッチリだ。
いつまでも裸でいる訳にはいかないので、急いで衣類を身に付けた。
「何で着るんだよ。裸でいてよ」
「や、やだよ。尚君だって洋服着てるじゃん」
尚君はセックスの最中殆ど衣類を脱がなかった。尚君の裸も見てみたかったのに残念だ。
「尚君。次は尚君も脱いでね」
「! それはまたセックスしていいって事!?」
「う……。そ、そうだよ」
「やった!」
尚君はベッドに座っている僕の身体をぎゅうぎゅう抱き締めた。抱きつかれながら僕はホッと胸を撫で下ろした。
――良かった。尚君と仲直りできて。
それに童貞である事も引かれなくてよかった。尚君は心が広いんだな。
「尚君尚君」
「ん?」
「ありのまま僕を受け入れてくれてありがとう。今までごめんね」
尚君はニッコリと笑い、うんと頷いた。
いや、いい訳ないじゃないか!! 僕は童貞なんだぞ!? 絶対上手くできっこない!! 尚君はきっと初めてなんだ! ここは僕がリードしなきゃいけないんだぞ!?
「……」
いや、本当に初めてなのかな? 僕は今尚君が行った行為の数々を思い起こした。
……どう考えても初めての人がやる行動じゃない気がする。それどころか尚君の行動はセックスに慣れた人の動きだ。
僕は恐る恐る口を開いた。
「尚君……。君、セックスは初めてだよね?」
「え? 違うけど。あ、でも安心して。そんなに経験人数は多くないから」
「!!」
初めてじゃなかったのか……。
そりゃあそうだよな。だって尚君って美しいもんな……。こんな美青年を周りがほっとくわけないか。
そこで僕は大変な事に気が付いた。
尚君がセックス経験者なら、僕が童貞なのは尚更マズイんじゃないか?
だって今までの男と比べられるじゃないか。
『藍沢さん……。セックス下手くそだなぁ。全然気持ち良くない。他の男達の方が上手かったなぁ……』とか思われるかもしれない!
僕はサァーッと血の気が引いた。やっぱり今はまだセックスできない!!
もっと勉強をして自分に自信が持ててからじゃないと!!
僕は尚君の下でガムシャラに暴れた。
「ちょ、ちょっと藍沢さん。今更暴れないでよ……」
「退いてくれ! 君とはセックスしたくない!」
「……」
尚君は僕の言葉にムッとしたようだ。口をへの字にして僕を睨んでいる。兎に角逃げようと暴れていたら、尚君がアザになるんじゃないかってくらいに僕の両手をギュッと拘束した。
「セックスしたくないって何だよ!! 藍沢さん、俺の事好きって言ったじゃん!!」
「言ったけど、それとこれとは別なんだ!」
「ふざけんな!!」
尚君の怒鳴り声にビクッと身体が縮こまった。
「セックスしたくない好きって何だよ!! そんなの本当の好きじゃねーだろ!!」
「な、尚君……」
「俺は藍沢さんの事もっと知りたい。触れたいし、繋がりたいし、色々な表情を見てみたい!!」
「……」
「藍沢さんはそうは思ってくれない訳!?」
「……」
尚君はくしゃりと顔を歪め、泣きそうな顔で話を続けた。
「俺なんか虚しいよ。俺ばっかり藍沢さんの事好きだ。これじゃあまるで片想いみたいじゃん……」
「そんな事……」
「藍沢さん、俺の顔だけが好きなんじゃない? セックスしたくないって事は見てるだけでいいって事だろう……?」
「ち、違うよ……」
「違わないよ。そんな『好き』じゃ俺、報われないよ。このままの関係じゃ辛いよ……」
「……」
僕は黙り込んだ。
尚君がそんな事を考えていたなんて知らなかった。
僕の行動が尚君を不安にさせてしまったんだ……。
どうしよう……。
何て言葉をかけて良いか分からない。ここで僕が『そんな事ない! 尚君の事は大好きだよ!』と言っても尚君には響かない気がする。
尚君は僕がセックスしたがらないから不安になっているんだ。だったらスッパリとセックスに応じるのが一番の解決策だ。
でも……、いざ本番になった時、僕は上手く立ち回れれるだろうか……。
きっと失敗する……! 尚君に幻滅されてしまう!
「藍沢さん……。何か言ってよ……」
「……」
あぁ、尚君が不安そうな顔をしている。何とかしなければ。
僕はゴクリと唾を飲み込んだ。
――言おう。
言ってしまおう、僕が童貞である事を。
それで幻滅されるならもうしょうがない。それより今は尚君の不安を解消してあげたい。
「な、尚君……実はね……」
僕は尚君の顔がマトモに見れなくてギュッと目を瞑りながら叫んだ。
「僕! 童貞なんだ!!」
「は?」
尚君は呆けたような声を上げた。僕は構わず話を続ける。
「童貞だから、セックスが下手なんだ! 多分上手に尚君を抱けないと思う! だから君を拒んでたんだ! 本当は君の事子供なんて思ってないよ! 君に幻滅されたくなかっただけなんだ……! でも、それじゃあダメだって――」
「ちょ、ちょっと待って!」
尚君は僕の言葉を遮って大慌てで口を開いた。
「色々ツッコミどころが多いんだけど、まず確認! 藍沢さん、俺に突っ込みたいの!?」
「え? 突っ込みたいと言うか……。僕が抱かれる側なんて気持ち悪いだろう? だから僕が抱く側をやろうと……」
「全然気持ち悪くないよ! そんな理由なら俺が突っ込んでもいいよね!?」
「え"っ……!」
「俺、藍沢さん抱きたいんだけど……」
えぇ……!? 尚君本気か……!? 気持ち悪くないのかなぁ……。
僕が困惑していると、尚君は僕の唇をそっと撫でた。
「ダメ? 藍沢さん……」
甘えるような声音で囁かれた。
「でも……」
「お願い」
……よく考えたら僕は別にどっちでも良いのだ。
ただ尚君が抱かれる側の方が似合うと思ったから……。ダメだな僕は。そういう事は最初に確認しなければいけなかった。よ、よし。僕も覚悟を決めよう。尚君が抱く側をやりたいと言うのならやらせてあげたい。
「い、いいよ。尚君がそうしたいなら……」
「やった」
尚君は嬉しそうに微笑むと、僕の顔中にキスの雨を降らせた。
「じゃあもういいよね、セックスしようよ」
「ま、待ってよ! 僕の童貞問題はどうなったの!? 僕セックス下手くそだけど大丈夫?」
「そんなの気にしないよ。だって俺が藍沢さんを抱くんだよ? 藍沢さんは何もしなくていいよ」
「ほ、本当にそれでいいのかい? 幻滅しない?」
「しない。それよりもう焦らさないでよ。俺さっきから藍沢さんの裸見ててムラムラしてんだよ」
「ムラムラって……」
僕が赤面していたら尚君の唇が僕の首筋をスーッと撫でた。そのまま鎖骨に移動してペロリと舐められた。僕はそれだけで身体が熱くなった。
「藍沢さん、俺もう止まれそうにないわ」
「う、うん。僕も興奮してきた」
「じゃあいいよね?」
「うん……」
僕が弱々しく頷くと同時に、尚君が僕の乳首をペロリと舐めた。
「あ……」
そのままペロペロ舐められる。
そんなとこ舐めないでくれ……。身体がゾクゾクする。
居ても立っても居られなくなってモジモジと足を動かした。
「藍沢さん、乳首感じるんだね。……じゃあこれは?」
今度はカプカプと優しく噛まれた。空いている方の乳首は指先でクリクリと弄られる。
「んぅ……」
「は……。可愛い声。滅茶苦茶興奮する」
そのまま舌と指で思う存分弄られた。
僕の性器が再び立ち上がってきた。トロリとした先走りが性器を伝う。
「尚君……。乳首はもういいよ。それより……」
「はは。下触って欲しいんだ」
僕は泣きそうな顔で弱々しく頷いた。
「あー。一応準備して来てよかった」
尚君がゴソゴソとポケットを探る。中から携帯用のローションが出てきた。いつも持ち歩いているのかな? 準備いいなぁ。
「後ろ触るから足開いて」
「う、うん……」
僕は言われた通り、恐る恐る脚を開いた。尚君は僕の脚の間に座り込み、僕の脚を持ち上げた。
や、やだこの体勢。アナルが丸見えじゃないか……。恥ずかしくて唇を噛んだ。
尚君はギラギラした目でローションを指にまとい僕のアナルをそっと撫でた。
ツプ……と指がアナルに侵入した。
異物感が凄くて僕はフーフーと深呼吸した。
「痛い?」
「痛くはないけど、変な感じ」
「そっか。なら大丈夫かな。こっちも触ってあげるからね」
そう言うと、空いている方の手で僕の半勃ちの性器を掴んだ。上下に優しく扱かれながら、別の手でアナルをまさぐられる。
僕は性器が気持ち良くてそちらに意識が向いた。
「はぁ……。はぁ……。ん……気持ちいい……」
気持ちいいとアナルに入っている指先をキュウキュウと締め付けてしまう。締め付けると、また別の快感が僕を襲う。
段々僕の喘ぎ声が切迫つまったものになってきた。
「あっ……あっ……。そこぉ……」
「……ここ?」
尚君の指がある一点に触れた。僕は甲高い声で喘いだ。
もう大丈夫と判断したのか、尚君は僕のアナルに二本の指を入れてグチョグチョと掻き回していた。
「そろそろいいかな……」
尚君は僕のアナルから指を引き抜いた。
僕のアナルは何か太いものを求めてパクパクと開閉している。
尚君はそれを見て、エロいな……と呟いた。
ハァハァ荒い息を吐きながら尚君を見ていたら、尚君がズボンと下着をずらした。
ブルンと音がしそうな性器が顔を出した。
顔に似合わずご立派なモノをお持ちで……。
僕は圧倒されてゴクンと喉を鳴らした。
尚君が再び僕に覆いかぶさってくる。そしてピタリと僕のアナルに性器を押し付けた。
「挿れるよ」
「あぁ……」
尚君の性器がゆっくりと僕の中に入ってきた。指なんかと比べものにならない太さで、僕は息を呑んだ。
もうこれ以上奥には入らないというところまできて、尚君の動きが止まった。
そのままジッとしてくれている。
「はっ……。すごい締め付け」
「尚君、気持ちいい?」
「うん、気持ちいいよ」
尚君の顔が近付いてくる。
僕達はピチャピチャと舌を絡め合った。
「そろそろ動くよ?」
「うん……」
尚君はゆっくりと性器を引き抜いた。そして再び押し込む。それを何回か繰り返した。
多分、ゆっくりなのは僕の身体を気遣ってくれているからだ。そんな尚君の優しさに胸が熱くなった。
僕は尚君にそっとキスをした。
「もっと激しく動いていいよ」
「いいの?」
「うん、大丈夫だよ」
「じゃあ……」
尚君の腰の動きが速くなってきた。
「あっ……あっ……」
気持ちいい……。
すぐに達してしまいそうになるのをグッとこらえた。
尚君は僕の腰を掴み、何度も強靭な突きを繰り返した。
僕はもう何が何だか分からなくなって、声が枯れるんじゃないかってくらい喘いだ。
「藍沢さんっ……。中に出していい?」
「う……んっ。いいよ……!」
尚君の動きが止まり、勢いよく射精した。熱い……! それにすごい量だ。
「あぁ……っ!」
僕は一際大きな声で喘ぐと、中を濡らされた快感でピュッと射精した。
※※※※
二人の息が整うと、尚君はゆっくりと僕の中から出ていった。そして僕の頬にチュッとキスをした。
「可愛かったよ藍沢さん」
「尚君は……、カッコよかった……」
尚君が照れた様に笑ったので僕もニコリと微笑んだ。
その後尚君はお湯で濡らしたタオルを持ってきて、僕の身体を優しく拭いてくれた。
流石は尚君。アフターケアもバッチリだ。
いつまでも裸でいる訳にはいかないので、急いで衣類を身に付けた。
「何で着るんだよ。裸でいてよ」
「や、やだよ。尚君だって洋服着てるじゃん」
尚君はセックスの最中殆ど衣類を脱がなかった。尚君の裸も見てみたかったのに残念だ。
「尚君。次は尚君も脱いでね」
「! それはまたセックスしていいって事!?」
「う……。そ、そうだよ」
「やった!」
尚君はベッドに座っている僕の身体をぎゅうぎゅう抱き締めた。抱きつかれながら僕はホッと胸を撫で下ろした。
――良かった。尚君と仲直りできて。
それに童貞である事も引かれなくてよかった。尚君は心が広いんだな。
「尚君尚君」
「ん?」
「ありのまま僕を受け入れてくれてありがとう。今までごめんね」
尚君はニッコリと笑い、うんと頷いた。
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